第5話 ラーメンの味

少し緊張しながら声を出す

「水菜さんよく本読んでるけどどんなの読むの?」


とりあえず当たり障りのない話題を振ってみる


「恋愛ものとか、実用書とかですかねぇ」

軽く首をひねりながら考えるポーズをとる


「へー実用書を学生のうちか読むなんて凄いね!」


「本当によね、憧れる」


基本的に僕からしたら本は娯楽の一種であるのにそれも勉強に当てるのだとゆうのだから全く持って尊敬してしまう


「2人とも是非読んでみてはどうですか?

意外と面白いですよ」


軽子微笑みながら勧めてくる

好きな子の趣味に興味を持つ事はいいこと

なのだろうが思わず苦笑いが出る


「せっかくだけど、まだ少しハードルが高いかなぁ」


「私も全然そうゆうのは読まないから、いきなりはちょっと辛いかな」


「そうですかぁ、残念です」


少し、しゅんとしてしまった


「逆に、他のジャンルだとなんか読んだりするの?」


「う〜ん、web小説とかですね

だんだん飽きてきたら気分転換に、読んだりしますよ、お金かから無いですし」


確かに学生にとっては本1冊五百円から千円

などとゆう価格では経済的に厳しい

今度バイトでも考えてみよう


「web小説ってなに?」


「えっと、ネットとかのに乗ってる小説で

個人で出してる小説みたいな?」


水菜さんの方を向いて確認を取る


「そんな感じですね」


「へー面白そうね、私も小説書いて

出せるの?」


「ええ出せますよ、そっから人気でしたら

実際に会社から本を出せたりしますしね」


「夢があっていいわね」


「でも実際に書籍化する人なんてごく一部

だしな」


「でも、だからこそみんな面白い作品を書こうと思うんだじゃないですか」


「確かに、それも小説を書く一つの理由

になるのかもな」


「盛り上がってきたところなんだけど

そろそろご飯食べに行かない?」


時計に目を移すと12時を回りそうだ


「そうだな、どっか適当に行くか」


「水菜さんも、もちろん来るでしょ?」


「ええ、ご一緒させていただきます」


「どこで食べたいとかある?」


好きな食べ物を知れないのでさりげなく聞いてみる


「う〜ん、特に無いですかね」


「そっか」


「ラーメンなんてどう?」


「ラーメン!?」


「ラーメン」


自分との驚きと対照的に香恋さんはごく当たり前に言う


「食べるの?」


「食べるよ?」


女性でも外食でラーメンとか選ぶ人いるのか

普段男性しか見かけないから、イマイチ想像が出来ない

まあでも、大人気小説でもめちゃ強い

女の子が男しかいないから入りずらいとか

ゆう可愛らしいセリフを言ってたから、

俺の認識不足かも知れない


「良いですね!行きましょう!」


「それなら行きますか」


香恋を先頭に三人で歩き始める


少し歩き始める


「そう言えば二人とも交流学習が終われば

もう予定はあるのか?」


あわよくば、水菜さんとどこかへ遊びに行けないだろうか


「そうね〜海外旅行位かしら、後偉い人の集まるパーティに付き添うとかそんなもん」


「まじか」


「えぇ」


おいおい、夏休みってレベルじゃねーぞ!

俺らの夏休みとは全く比べ物にならない


「水菜さんは?」


「えっと私は、実家に帰るとかそのくらいですかね」


そう、こうゆうのがベタだよな

昔あった、何とかの夏休みみたいな

知ってる人はいるのだろうか


「忍くんは?」


「僕もそんなもん」


「それならまたどっかで集まってまたみんな で遊びたいわね」


「そうだな」


「海とかどうです?」


「いいね!海!バーベキュウとかもして見たいかも!」


「それもいいですね!」


「楽しそうでいいな」


「でしょ!夏休みが待ち遠しい!」


自然にある考えが流れ込んでくる


「水菜さんって交流学習の班決まってる?」


「いえ、まだですけど?」


「どうせなら一緒の班にならない?」


この流れで誘えば邪な物だと思われずらいだろう


「ええ、喜んで!よろしくお願いします」


ぺこりとおたまを下げられる


「いえいえ、こちらこそ」


こっちも軽く頭を下げる


「俺料理とか出来ないから、そこら辺頼らせ

てもらうと思うし」


「なるほど、じゃあそこらへんは任せてください! 普段から料理するので、ある程度はできます」


「それは頼もしい、香恋さんは料理

できるの?」


「料理なんて生まれてから一度もやった

事ないよ」


「それはそれで、すげえな」


何だろう、家にシュフとかがいて作ってくれる感じなのだろうか


「ついたよ」


すると香恋さんが店の前で立ち止まる

店はあたかもラーメン屋とゆう感じで、

ドラマとかに出てきそうである


「ここか〜うまいの?」


「食べた事ないの、ただたまに遊んで帰る

途中に見かけて、いつか入ってみたいな

と思って」


「なるほど」


店の中からは、ラーメンのいい匂いが漂ってくる


「入ろうか」


「そうですね、もう我慢できません!」


「私も早く食べたい!」


スライド式の扉を開けると

厨房付近の右側にカウンター席

左側はテーブル席になっていた


「いらっしゃい!、注文決まったら

言ってくれ!」


カウンター側で作業していた、少し小じわの目立つ明るいおっちゃんの声が飛んでくる


「わかりました」


少し大きめ声で返し、テーブル席へと向かいみんなで座る


あれこれ話しながら注文を決めていく


「私、醤油ラーメンで」


「私は豚骨」


「俺は塩で」


「見事なまでに分かれたわね」


「まあ、人の好みは人それぞれだしな」


とは口では言ったものの男共と来て

塩ラーメンを頼まなかった暁には

みんなが塩ラーメン派になるまで力説

していたところだ


「美味しかった〜」


「そうだな、確かに美味しかった」


意外とラーメンを食べるがあそこは中々の

味だった

その後はみんなで雑貨ショップなどに寄り道しながら楽しく帰った




家に帰り料理を始める


今日は楽しかったなぁ


あんなに親しく水菜さんと喋ったのはあまりない

そして、京子さんを好きになったであろう

あの日が頭に浮かび始めた






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