第3話 彼女からの二度目の告白

「じゃあ、そろそろ帰ろうか」


陽も傾き始め暖かなオレンジ色が強く光り出し自然と言葉が出てきた


「そうね、そろそろ帰りましょうか」


香恋が席を立つ


「私はもう少し買い物して帰るかな」


「そっか、今日は楽しかったよ」


話しながら会計を終わらせ出口へと足を向ける


「そっか、じゃあまた明日学校で」


「うんまた明日!香恋もまた明日!」


「はいはい、また明日」


だるそうにしていながらも、顔わ少し笑っていて嬉しそうだ


「忍くんって家どっちだっけ」


「こっちの方だけど」


「なら途中まで一緒にかえりましょう」


僕を待たず一足早く歩き出してしまう

それを追いかけ少し早足で追いかけ横に並んだ


「あの〜怒ってます?」


何となくそんな気がしたので聞いてみる


「別に水菜といきなり親しくなって、帰り際にいい雰囲気だった事なんかに怒ってないです」


「いや、理由まで教えてくれて怒ってるじゃ ん」


「怒ってないも〜ん」


口を尖らせて子供っぽくいじけられてしまった


「いやほらさ、今回は香恋がいてくれたから話しやすかっただけだよ」


「ほんと?」


「ほんとだよ」


まじでいきなり水菜と会ってもスルーして終わりか、話題が出てこず気まずかっただろう


「俺さ、口下手だからさ香恋さんと楽しく話せて嬉しかったし、香恋さんのおかげでどうにかなったんだ、ありがとう」


軽く頭を下げる


「ふっふん!なら許してあげる!」


とわ言っても顔はそっぽを向いたままだ



「やっぱまだ怒ってる?」


顔を覗き込もうと頭を傾ける


「ちょ、こっち観ないで」


またそらされてしまった

顔がまだ赤かかったからまだ怒っているのだろう

どうしたものか悩んでいると


「うえぇぇぇん!」


子供の泣き声が少し遠くから聞こえてきた

今置かれている状況など関係なしに走り出す


「ちょっと忍くん!?」


後ろから呼ぶ声が聞こえたが今は二の次だ


急いで泣いている子供に近寄る

歳は幼稚園児くらいだろうか、女の子で髪を後ろで縛っている


「大丈夫?どうしたの?」


出来るだけ優しく声をかける


「えぇぇぇん!」


だめだ、とても泣き止んでくれそういない


「ちょ、行くの早すぎ!」


香恋さんも追いついたようだ


「ごめんごめん、ついさ」


香恋さんがその子に近づき目の前でしゃがみ軽く抱きしめた


「よしよし、もう大丈夫だよ」


頭を軽く撫で安心させる


「ひっく、ひっ」


徐々に泣き止んできたきたようだ


「なんてゆうか、すごいな香恋さん」


「すごくないわよ」


俺が慰めてたら泣き止むのにどれだけかかったことか


「どうしたて泣いてたの?迷子?」


少し余裕ができてきて軽く女の子がうなづく


「お名前は言える?」


「つきなみ うみ」

ぼそりと精一杯答えてくれる


「そっかうみちゃんか、うみちゃんはどこで迷子になっちゃったの」


「ここ」


「そっか、お父さんか、お母さんと来た の?」


「お母さんと」


「そっか、じゃあお母さん探そっか!」


「うん!」


ようやく笑顔になってくた、ひまわりみたいで満面の笑みだ


「じゃあ探そっか!」


「うん!」


ここまで来たら俺も手伝える


「うみくんのお母さんいませんか?」


大きな声で叫んでみる


しばらくやってだめなようなら、迷子センターに行ってみよう

とか考えていた矢先


「私です!」


すごい勢いでうみちゃんのお母さんと思われる人が走ってきた


「お母さん!」


うみちゃんもお母さんに向かって走っていく


近くまで来るとうみちゃんを抱きしめた


「も〜心配したんだから」


安堵の声がお母さんからこぼれる

そして目線がこっちに向く


「ありがとうね二人とも」


「いえいえ、気にしないでください

良かったねうみちゃん!」


「うん!お姉ちゃんありがとう!」


「どういたしまして」


「お兄ちゃんもありがとう!」


「あ、うん、どういたしまして」


少し恥ずかしかしくて横を向いてしまったが

笑顔で返す


「本当にありがとうね!」


「いえいえ、お気になさらず」


「こんないいカップルがいるなんて、最近の若い人たちは優しいのね〜」


「え〜っと僕達カップルじゃ


「ありがとうございます!」


「え〜」


先に言われてしまった

まあ機嫌も直ったぽいし、今回はいいだろう

だがしかし、僕はあの人が好きなのだ


「じゃあ、そろそろ帰ろう」


「そうね、うみちゃんバイバイ」


立ち上がり歩き出そうとすると


「やだやだ!」


香恋さんに抱きついてしまった


「こら、バイバイしなさい」


「や〜だ」


いっこうに離してくれそうにない


「う〜ん」


香恋さんが少し考えるとポッケからメモ用紙を破りそこに電話番号を書いて渡した


「お話ししたくなったらいつでも

お話しできるから大丈夫だよ」


「そっか、じゃあ後でお話ししよ!

約束!」


「うん約束!」


そう言うと手を離した


「何から何まですみません」


申し訳なさそうに頭を下げられる


「いえいえ」


「お姉ちゃん、お兄ちゃんバイバイ!」


「うんバイバイ!」「バイバイ」


二人で並んでショッピングモールを出ると

外はもう真っ暗になっていた


「あ〜急がなきゃ」


「そうだな」


少し早足で歩く


「にしても香恋さんは優しいな、俺の出番が全く無かった」


思わす苦笑いをする


「そんな事無いよ、あの場ですぐ動けた忍くんの方が、かっこよくってますます好きになっちゃった」


「ちょっ!」


「えへへ、大好きだよ!」


僕はこの救いようの無いラブコメの主人公でいられるのだろうか



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