第7話 ゴールドの世界

 敵はナ〇ス、アー〇ットとナサスの相性、どちらのチャンプを使う俺にはよくわかる。俺がナサスを使うと、序盤のアー〇ットには負けたりしない。他のプレイヤーや大したことないゴールドやプラチナ、ダイヤならナ〇スが負けるというだろう。しかし、俺は知っている。アー〇ットは序盤絶対にナサスに勝てない。例え、アー〇ットがWスタートでもナ〇スには勝てない。寧ろ、Wスタートの方が弱い。自衛に走るなら、この頃のアー〇ットはWにシールドが着く、従って、俺が選んだのはWスタート、アー〇ットはミッドレンジチャンプといい、中盤が強い。それに比べてナ〇スはレイトチャンプ、後半になればなるほど強くなる。


「ナ〇スのスタックは700あるけど、今は中盤、いつでもやれる。」


 俺がそんなことを言うと味方は誰一人信用してくれなかった。だが、味方はいつでも仕掛ける気でいる。味方が仕掛けた時に、こっちでも戦いが起きるだろう。L〇Lというのは、そういうゲームでもある。


「ちょまって、捕まったわ。」


 味方の一人がそんなことを言えば700スタックのナ〇スがそちらによろうとしていた。ここで相手のナ〇スがタワーから離れたのだ。


「勝負!!」


 俺が攻撃を仕掛けた。相手のスキルを全て正面から受け止める。それと引き換えにこちらのスキルも全て受けてもらう。ダメージ交換は五部、しかし、こちらはミッドレンジチャンプ、この時間帯でアー〇ットに勝てるチャンプはCC持ちでなければ逃げることもできない。700スタックのナ〇スと殴り合ったが、余裕の勝利であった。


「これがミッドレンジチャンプだ!!」


 俺は試合が終わった後で退出してランクへと向かった。ソロランク、一人でランクに潜ること、ゴールドの世界になると、duoしてゴールドにいる者と、ソロでゴールドになる者には明らかな差が出る。


「なんて弱い味方だ。」


 ゴールドになればduoで誤魔化してきたプレイヤーは後半全くついてこれない。敵に強い奴がいる。俺と同じか、それ以上、レベル3テレポートで味方を助けてもへましている味方を庇いきれない。そのプレイヤーも自分が庇われていることすらわからないだろう。遠い位置でプレイしているが、存在が邪魔みたいなものだ。俺がゲーム開始5分でチャットする。


「このゲームはmid差が厳しすぎる。」


 そのチャットを理解した者が居るだろうか、勿論、midは理解していないため、俺に生存コールを連打してくる。


「ケイル生息中」

「ケイル生息中」

「ケイル生息中」

「ケイル生息中」…


 俺はチャットしようとした。しかし、他の者がチャットする。


「このmidはなんでゴールドに居るんだ? ブースティングか?」


 そう、ブースティングゴールド、代行だとか、duoブーストだとか、自分の力ではなく、他人の力でゴールドになった者だ。社会でも良くあることだ。コネだとか賄賂だとか、政治家がNHKに賄賂をし、法律で契約を義務付ける。弱者はどこにいても、どんな地位を得ても足を引っ張るだけだろう。


「mid レポートしましょうか?」


 試合が終わってから相手側からも言われてしまう。


「midがこの者でなければ、いい試合になったかもしれませんね………」


 そう言ってログアウトをした。ゴールドで初心者みたいな人間がいると強さではなく、差が大きすぎて勝てなくなる。これがプラチナでもあるというのだ。


「ここのレートはどこなんだ?」


 俺はランクマッチング画面でopggを開くと、ゴールドは俺しかいなかった。全員プラチナ4~2、恐らくプリメイド集団だろう。


「ゴールド4が相手にも一人だけいる。どうやら、落ちこぼれプラチナ集団の中に紛れ込んでしまったらしいな。」


 落ちこぼれだけではない。実力はあるが、運悪く落ちこぼれのレート帯にいるプラチナが紛れ込んでいる。それは味方ではない。敵だ。


「ち、こっちのプラチナはゴミみたいな奴らだが、相手のmidは本物のプラチナだ!!」


 相手のゴールド4が弱すぎる故にチーム差はなく、実質、俺vs敵のmidプラチナだ。


「これがプラチナレートか、まるでデフレスパイラルの日本みたいに周囲には不正して生きているゴミしかいない気分だな。」


 俺と相手のプラチナはそんなことを思っていただろう。相手からすれば皮肉なものだ。プラチナに邪魔されるのではなく、ゴールドの俺に邪魔されている。これがJPサーバーのプラチナレートだ。


「スキル一発が500ダメージ!!? ワンコンボで2000ダメージも一瞬で持っていかれる!!? こっちはファイターでタンクビルドだというのに!!」


 midの怖い所は瞬間火力だ。俺のチャンピオンは2500HPしかない。一瞬で2000もダメージを受けるのだ。それでも自分のチャンピオンを信じて戦うしかない。やはり、若干こちらが有利、それでも勝敗はギリギリ、紙一重だ。アサシンチャンプの弱点はスキルを使った後、相手が死ななければもうスキルは打てない。俺はその隙にしつこく付きまとい、ひたすらダメージを与えていた。タンクビルド故に、相手の通常攻撃は怖くない。


「よし、勝った!!」


 しかし、相手はアクティブアイテムであるストップウォッチを使用したのだ。これは3秒間無敵になるが動けなくなる。詰まり、スキルがまた使えるようになると言う訳だ。


「What!? ここまでか!!」


 三秒間では逃げることもできない。だが、チームは負けなかった。もともと自陣に近かったが誰一人寄ってこなかった。相手の方がよりが早く、遅れて来る味方に対し、俺は助けられた。


「遅すぎる援軍だな………。」


 将、そのくらいについていながら能力は平凡以下の者、援軍要請しても中々決断できない。まるで、今の政治家が何もできず、税金だけを上げる。そんな将軍だ。勝てるとわかった途端遅れて手柄を横取りする。JPサーバーとはそういう人材しかいないのだろうか、試合は俺のチームが勝った。相手のmidプラチナがこんなチャットをする。


「俺はプラチナで味方運がない。しかし、そっちにいるプラチナはゴールド4のお陰で勝てている。プラチナブースティングはlolやめればいいのに」


 そうチャットされて俺もこうチャットした。


「え? こいつらプラチナなの?」


 わざとプラチナだと知らないチャットをしたのだ。俺の味方プラチナは皆ログアウトした。まるで逃げ出すように、みんながいなくなった後で、こうチャットした。


「冗談です。opggで自分の味方がプラチナだと知ってました。本当にプラチナとは思えませんね。ブースティングとしてレポートしときます。といっても、レポートが通るかはわかりません、今の政治が選挙で成り立つように、レポート一つで変わるかは結局運ですがね。」


 上に行けば行くほど、不正者が目立つようになり、強き者も上に上がりづらい。それが日本サーバーだ。日本の悪い所は数の多い方に意見を耳にする。みんなで敗北しようと提案すればそれが通るのだ。いや、違う。負けようと思えば一人の力で負けることができる。負けるということは簡単なことだ。勝つことの方がよほど難しい。9割の人間がゴミならば、有能な一割にいつ耳を傾けるだろうか、俺はさらに上を目指す以上、ゴミで溢れたJPという場所でプラチナへと昇格するのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る