ヤバイ映像が見れる部屋8p

 彼は映像を一時停止して、テレビ画面の中の部屋を凝視する。

 見れば見るほど映像の部屋と彼がいるこの部屋の作りは似ている。

 彼は振り返り、映像で女が首を吊っている場所と同じであろう景色を見る。

 隣の部屋との間を仕切る引き戸がある、その上。

 かもいがあり、かもいの上に採光を取り入れるために作られたのか、ガラスの収まった細く長い欄間がはまっている、そこ。

 欄間は真ん中が木の柱で仕切られている。

 その仕切りから左右に欄間は開け放たれる様になっている。

 欄間を開け放ち、真ん中の仕切りの木にロープを通す。

 するとそこに映像通りの首吊りのロープが完成する。


 あそこで女が首を吊った?

 この部屋で、そんな事が?

 いや、まさか。

 これは何かの冗談に違いない。

 このテープはまやかしで、まがい物だ。

 グロイ映像のマニアがこの部屋で撮影したフィクションに違いない。


 ビデオテープは嘘の産物だ、と彼は決めつけた。

 彼の口元に余裕の笑みが浮かぶ。

 彼はテレビの方に向きなおり、ビデオテープの挿入口からテープを取りだし、次のビデオテープと入れ替えた。


 大丈夫だ。


 そう彼は自分に言い聞かせる。

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