ヤバイ映像が見れる部屋6p

 ぐらり、ぐらり。

 まるで撮影しているカメラが揺れるように映像が揺れる。

 そんな風なのがすこし続いた後、やっと映像の乱れは治まった。

 そして、パッと色のついた映像が映し出される。

 彼は、前のめりになってテレビ画面を食い入るように見た。

 画面には白目を向いた人間の顔がアップで映し出されていた。

 その顔は、どうやら女の顔らしいということが、顔つきから、彼には分かった。

 ほんの数秒、その女の顔を映して映像はまた黒に戻る。


 これは一体何なのか。


 彼は、またテープを少し巻き戻し、白目を向いた女の顔を見て見る。


 もう一度巻き戻し、また見てみる。


 テレビ画面の中の女の口からは、涎が、たらりと流れていた。


 彼は、今度は早送りにしてテープを回した。

 何も見逃がすまいとテレビ画面を睨んで、最後までテープを回す。

 そうして最後まで見ても、女の映像以外は全て黒かった。

 どうやら、このテープには女の映像以外には何も映ってはいない。

 百二十分間録画できるテープに映っているのは、ほんの数秒の女の顔だけだ。


 じゃあ、他のテープには?


 彼は、ビデオテープの収まる戸棚に向かうと迷うことなく、№151のテープを戸棚から取り出していた。

 そうして、テレビの前に戻り、№152のテープと交換して№151のテープを観て見る。

 再生すると、№151のテープも、映像は、当たり前のように黒かった。

 彼は、早速、早送りにしてテープを回す。

 しばらく早送りにすると、色が映る。

 そこで巻き戻し、再生する。

 黒い映像の後に、映像が、ぐらりと乱れる。

 そして、色のついた映像が映し出される。

 それは、また、女の顔であった。

 さっきの女だ。

 今度は、アップよりも少し引いたようにして女の顔は映っていた。

 女は相変わらず、白目を向いて、口から涎を垂れ流している。

 カメラのブレなのか、女の顔はわずかに、左右に揺れていた。

 №152のテープもそうだが、このテープの映像は、下手なカメラマンが撮影したのかと思われるほど荒い。

 そして、テープが古いのか、テレビデオが古いのか、画像の質も悪かった。

 砂嵐がふつふつと湧き、時折、白く細い閃光が縦に、横に、斜めに走っていく。

 ずっと画面を見ていたら目が悪くなりそうな感じだ。

 このテープの映像も数秒で終わった。

 彼は、このテープも早送りにして最後まで見て見たが、№152のテープと同じく、女の顔の映像以外は黒いだけで、後は何も映っていなかった。

 彼は、吐き出したため息とともに戸棚の方を見る。

 そうして、唾をのみ込んだ。

 彼は立ち上がる。

 戸棚の前へ立つ。

 戸棚から№150のテープを引き抜いて彼は動きを止める。

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