ヤバイ映像が見れる部屋4p

 彼はゆっくりとドアーに近づいた。


 隣の部屋は彼が下調べに入った時は空き家であった。


 彼はドアーに耳を当て、そっと隣の部屋に耳を澄ませる。

 隣からは何の音も聞こえてこない。

 彼はドアノブを見つめると、しばらくの間考えこんだ。

 そして、彼は答えを出した。


 このドアーが隣の部屋と繋がっているとしても、隣の部屋は、空き家だ。


 彼は一人頷き、この部屋での仕事を速やかに開始した。


 ここは、ちゃぶ台にテレビ、戸棚しかない殺風景な部屋だ。

 金目の物があるとしたらずらりと並んだ戸棚の中か、押し入れの中。

 それか、引き戸の向こう側のスペースか。

 彼は部屋の一番右まで間で移動すると、戸棚の前にしゃがんだ。

 そして、彼は、どこからともなくペンライトを取り出して、戸棚を青い小さな光で照らした。

 戸棚の白い色でライトの光が眩しく反射する。

 彼は目を細めた。

 戸棚は窓のある壁際に同じ形の物が数個、並べて置いてあった。

 戸棚には観音開きの戸が付いている。

 彼は目の前の戸棚の戸に手をかけて、開いた。


 二段に分かれた戸棚の中には、黒い色のビデオテープがぎっしりと詰まっていた。


 それを見て、彼は落胆した。

 彼は戸棚を閉めると、中腰のまま横に移動して隣の戸棚を開いた。

 

 その戸棚の中にもビデオテープだけが詰まっていた。


 彼はため息を吐く。

 また隣の戸棚を開く。


 またビデオテープだ。


 彼は、戸棚の中の一本のビデオテープにライトの光を当ててビデオテープに貼られた黄色く変色したラベルを見てみた。

 ラベルには、鉛筆で№17と書かれてあった。

 他のビデオテープも見て見ると、それぞれ№の振られた数字が書かれていた。

 彼は、その数字を目で追った。

 そして、どうやら、ずらりと並ぶビデオテープのラベルに書かれている数字が連番である事を、彼は分かった。


 と、いう事は、これらのビデオテープは、セットという事か。

 テレビドラマでも録画した物か。


 彼は舌打ちすると、次の戸棚の戸に手をかける。

 そして、彼は啞然とする。

 ビデオテープだ。


 その次も、その次も、そのまた次の戸棚もビデオテープに埋め尽くされていた。


 最後の戸棚を開けて、中をライトで照らしながら彼は苦い顔をする。

 部屋の戸棚の中は全てビデオテープだけが詰まっていた。

 

 彼は頭を掻いた。

 ライトの光に宙に舞うフケがうっすらと浮かび上がった。

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