水も滴る部屋24p

 部屋から異臭がするとの近隣住民からの通報があり、警察が(中略)遺体は死後、二週間以上は過ぎており、部屋は内側から鍵の掛かった、いわゆる密室状態であった。

 しかし、〇美さんは衣服を身に着けたまま浴槽で水に浸かった状態で発見され、部屋から争った形跡も見つかった事などから警察は事件、事故の両面から捜査を行っているが、今だに解決には至っていない。


 このR荘、1915年(大正四年)に××大学の学生寮として建てられたレトロな建物であり、歴史的に見ても大変価値のあるこの建物であるが、(中略)××大学廃校とともに、寮としての役目を終えたR荘は現在、アパートとして使われており、一部の部屋を借りる事が出来る。

 さて、このR荘、オカルトマニアの間では噂に上る心霊スポットでもある事から、マニアの間では呪いではないかと(後略)


「これ、先生の部屋の事ぉ?」

「あーっ、一部、モザイク掛かっていますけど、この写真のアパートの外観、完璧うちのアパートですね。大正時代に建てられた元学生寮ってとこも同じですし。507号室は……私の部屋の番号と一致しますから、これ、私の部屋の事を書いているみたいですね」

 サイトの記事を読みながら、まるで他人事の様に答える茅野に対し、紺谷は、信じられないという表情で、「このサイトの記事が本当なら、〇美さん、先生の部屋の風呂場でヤバい感じに亡くなっているし、アパート自体、事故物件を超えてマニアの間で噂に上る心霊スポットって事ですよね。少なくとも、先生の部屋、こんなマニア御用達のサイトで記事を書かれる様なガチど真ん中の事故物件じゃないですか!」と、パソコンの画面に向かって、ピシッと指を指している。

 そんな紺谷を茅野は、「あの、落ち着いて下さい」となだめる。

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