水も滴る部屋23p
「いや、そこそこ重要な事じゃないですか? 不動産屋で、告知事項在りの部屋を借りる時、そこで一体何があったのかって、そこそこ重要な事じゃないですかねぇ。ここで頼むメニューを決める事以上には重要な事じゃないですかねぇ……」
紺谷は、額にうっすら掻いている汗を手で拭い、グラスに手を伸ばして水を飲む。
紺谷が水を飲みこむゴクリという音が、やけに大きく二人のテーブルに響く。
「そこまで言われると気になりますね……ああ、そうだ、確か不動産屋さんが、私の部屋の事、ネットに書かれているって言っていました。事故物件のサイトに……。不動産屋さんの冗談と思いますが。もしホントなら、そのサイトを調べれば部屋の事、何か分かるかも知れないですね」
茅野の台詞に紺谷は目を丸くした。
「え、事故物件専門サイトで紹介されている部屋かもって事ぉ? せ、先生、あの、今すぐ調べてみますから、先生の部屋の情報、教えて頂いてもいいですか」
ええいいですよ、と快く了承した茅野に教えられた通りに、紺谷は彼女が仕事用に使っているノートパソコンを鞄から取り出して、茅野の部屋をネットで検索する。
数件のヒット。
その中で、紺谷と茅野の目をあるサイトが釘付けにした。
廃墟や事故物件、心霊スポットを紹介するマニア向けのブログサイト。
そこに、茅野の部屋と思われる部屋について、こう書かれていた。
R荘。
R荘507号室。
20××年11月27日、R荘507号室の浴室の浴槽で女性の遺体が発見された。
女性はこの部屋に住む××〇美さん、24歳。
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