水も滴る部屋9p
「ええ、ですよね、はい。大家さんが勝手にこの部屋へ出入りするつもりでいたなら困りますから。私も一応、女子ですし……あ、いや、違うんですよ! 大家さんが、自分が自由に行き来できる部屋を女子である私に貸しておいて、隙あらば私に、いかがわしい何かをするつもりなんじゃ無いのかとか淫らな妄想は私、決してして無いですから! 私が心配するとしたら、セキュリティ的な問題ですから! あ、いや、これも違うんです! すみません! 決して、決っして、大家さんの事を、人を見たら泥棒と思えのカテゴリーに当てはめている訳ではっ!」
「茅野さん、あなた、ものの数秒で俺の事を、めちゃくちゃネガティブな忖度したものですね。茅野さんのご心配もごもっともですが、俺って、そういう風に見えます? 女に対しても金に対しても貪欲な肉食系な感じに……。あーっ、マジかぁ、落ち込んじまうな、コレ」
藤宮は項垂れた。
「ああっ! 大家さん、そういう意味じゃなくてっですね! や、私も人間ですから、女子ですから、そう言う心配も全くしなくも無いですけど、ぶっちゃけ、めちゃくちゃ引いてますけどぉ……あ、いやぁ、大家さんがどう言うつもりかとかじゃなくてですね、もう、なんて言えばいいんでしょうか? あの、この部屋、……この部屋はなんなんです?」
この部屋はヤバイ。
何だかとてつもなく嫌な感じがする。
部屋の中に他の部屋と繋がるドアがあるという事以外に、何かこの部屋はマズいと、今、茅野の第六感が自身にそう訴えている。
ここは絶対に借りたらマズい部屋だぞと、茅野の第六感はそう警笛をならしているのだが、しかし……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます