プロローグ2p
「結構です。私、ここで不動産屋、四軒目で、他でいくつか内見もして来ましたけど、決められなくて。どれも条件に合わない物件だったし、もう疲れちゃって、部屋なんて結局、見ても見なくてもどこも同じ事ですよ。時間も無いし、ここに決めます。まあ、確かにちょっと古そうなのが気にならないでもないですが、駅近だし、近くにスーパーとコンビニもあるし、部屋はバス、トイレ付きだし小さいみたいだけどキッチンもあるし、あ、エアコンも備え付けじゃないですか! いいですねぇ! ねぇ、問題あります?」
「オートロックじゃないけど」
「オートロックは条件に入れてないですから。それに、ここ管理人が在住しているんですよね? 問題無いですよ」
「でもさ、なんども説明したけど、ここ、訳ありの物件よ? 事故物件よ? 事故物件専門のブログに載っている様なところよ? あんた、大丈夫なのかい? ここさ、三日も経たずに解約したいとか言い出すレベルの事故物件よ?」
「だから、構いませんって。気になりませんよ。何らかの事が部屋であったんだとしても、クリーニングはしてあるんだろうし、新築じゃない限り完璧に綺麗な部屋なんて私は求めないです。それとも何ですか? 幽霊でも出るって言うんです? 非科学的ですし、私、霊感とか無いですし。条件に合えば、私はもうそれで。なので、そっちで問題が無いんなら早く契約しましょう。通帳も書類も印鑑も持って来てますから」
「うーん、ううーん、分かったよ。そこまで言うならさ! でも、何かあっても、うちも責任は取れないからね!」
力強く言う店員に、彼女も、はい! と力強く答える。
店員はやれやれ、と思っていた。
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