ダイエット
「お前なあ、マジ太り過ぎだって!」
「えーっそう?」
「本当だよ!隣のあいつらと比べるとお前倍近い体重になってるんじゃね?」
「しょうがないだろ、こんな生活してるんだから!」
「こんな生活ってよ、まあ俺もあまり人の事言えた義理じゃないけどな、本当お前やせた方がいいって!」
「オレ頭悪いからよくわかんないけど、やせるとどういい事がある訳よ?」
「ああなー……ぶっちゃけお前モテたいだろ?」
「まあオレも男だし。ってか、やせるとモテるのか?」
「まあそう言う事だ。それに、お前長生きしたいだろ?」
「そりゃあまあな」
「ホント、太ってる奴は早死にするぜ。以前ここにいた奴だってそのせいで短い生涯を終える事になっちまったんだからよ」
「そうか…わかった、お前、オレに付き合ってくんないか?」
「おういいぜ。俺もちょっと太り過ぎだって思ってたしな」
「しかしどうやったらやせられるんだよ?」
「とりあえずは運動だな」
「それは無理だろ……こんな状況じゃ」
「そうなんだよな~……とりあえず、食事制限でもするか」
「まあ、そんなところだろうな」
「ま、一応運動もやってみるけどさ、それなりにな」
「そうだな。とにかく、オレも頑張ってダイエットするからさ、お前も頑張れよ」
「ああ、頑張ろうぜ」
誰も知らないこんな会話がなされてから、ひと月の時が流れていた。
「本当にどこも悪くないんですか?」
「ええ……」
とある建物の中で、二人の人間が向かい合いながら腕組みをしていた。
「食事を取らなくなったのはひと月前ぐらいからなんですね?」
「ええ」
「他に何か変わった事は?」
「なぜか体を頻繁に上下させていましたが」
「にしてもこれだとちょっと無理ですね……」
「繁殖用にでも回しますか……」
養鶏農家の男性と獣医は、突如体重の減少した二羽のブロイラーを見ながら、溜息と腕組みをやめる事はしなかった。
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