第1話
勢いでこの三人の面倒を見ると言ってしまったが、どこで遊ばせたりすればいいのだろうか。
自分の部屋に招き入れるのは、すごく犯罪臭がしてしまうので避けたいところであるが……。
「近くの公民館の管理人である二木さんが、少人数であれば一部屋分くらいは貸せるからそこに来るといいと言っていたからそこに行くといいぞ」
俺はその祖父の言葉に従って俺は近所にある地域の公民館に三人を連れて行き、そこで詳しい話を聞くことにした。
「なーちゃん、そのアクセサリーぴんくらーて?」
「そうそう。かわいいっしょ」
「うんうん」
ぴんくらて???? なんじゃそりゃ。
「おー、そう言っているりんりんもりんじぃーのお洋服可愛いですなー」
「ほんと? えへへ、嬉しいな」
りんじぃ?????
俺は公民館に徒歩で向かう間の約10分ほどの時間で話していたこの三人の話を全く理解できなかった。
公民館にたどり着くと、俺は管理人さんの二木さんに顔を出して挨拶してこれから一部屋使用させてもらうこと報告しに行った。
「こんにちは、二木さん。この数カ月、この三人の面倒をこの時間帯見たいので一部屋かしてもらってもいいですか?」
「はいよー。お、可愛い子たちじゃない」
二木さんは30代の落ち着いた女性。とてもきれいな人だ。
「間違っても手を出したらだめだよ?」
「や、やめてください! 今日あったばっかりで冗談でもこの子たちが怖がるので!」
「あはは! それもそうだね」
二木さんの許可を改めてもらった後、二木さんの案内で使うことになった部屋に案内してもらう。
「ここを使ってもらってもいいから。この部屋は予備の部屋だから基本的にいつでも空いてるから」
「了解です」
「ただ、週末でほかの部屋だと集まりやイベントやってたりもするから多分女の子たちだからないとは思うけど外に出て騒ぐのはやめてね」
それだけの二木さんは言うと、管理人室へ戻っていった。
部屋の中にはホワイトボードと何個か机と椅子があり、テレビもある。
「じゃあ、とりあえず適当なところに座ってくれる? まずは自己紹介といこう」
三人を座らせると、まずは俺から自己紹介をした。
「俺の名前は佐藤春輝。 高梨高校に通っている一年生です。これからみんなの面倒を数カ月間だけど見ることになりました。よろしく」
俺がそう言うと、三人はぱちぱちと拍手をしてくれた。
なにも反応がないのが一番困るので、とりあえず反応してくれただけいい子たちだと思う。
「わ、私の名前は中島鈴って言いますっ。恥ずかしがり屋で迷惑おかけするかもしれませんが……優しくしてほしいです……」
「うん、よろしく」
三人の中で一番最初に自己紹介してくれた鈴という女の子は紺色の肩にかかるくらいの髪をした可愛らしい女の子。
話し方、雰囲気からして大人しめな女の子のようだ。
「私は、春川奈々。これからお世話になるわね。ただ……変なことしたら容赦しないからね!」
「うん、気を付ける。よろしくね」
碧色の髪を鈴よりも少し長めにストレートに伸ばした三人の中で一番大人びて見える奈々。俺の事を警戒しているらしい。
きっとそれくらいの年ごろに入りつつあるのだろう。対応には気を付けなければならないな。
「私は伊藤美咲って言いますー。おにーさんにはお世話になりますよー。おにーさんとはたくさん楽しいことしたいですー」
「はーい、よろしく」
美咲は茶髪の女の子で少し天然系なのだろうか? そのあたりも少し話してみないと分からないな。
「えっと、三人は同い年かな??」
「よ、四年生です」
小学四年生。一番男子と女子で格差が小学校の中で一番出るときなのではないだろうか。
まだ低学年のノリが一切抜けてない男子とすでに高学年のような落ち着きが板についてくる女子。
それは男子に対する見方が一番厳しい年ごろかもしれない。気を付けないと。
「了解。普段は学校でこの時間何してる?」
「まずは勉強をするわね。そのあとお菓子を食べて遊んだりして過ごしているわ」
そんな話を聞きながら、俺はあれこれと考える。
勉強なら色々教えてあげられるだろう。お菓子も家にあるものやこの流れをきちんと説明すればお菓子を買うお金はもらえるだろうし、お菓子も十分提供できるだろう。
しかし、今の女子小学生何して遊ぶのだろう……?
ただでさえ、自分が小学生の時女子が何をして遊んでいるのかすらも把握できていなかった。
少なくとも男子のようにギャアギャア言って走り回ることなどしないはず。
だって、三人とも肌が雪みたいに白いぜ。日焼けって言葉知らなさそう。
ただでさえ、さっきの会話全く理解できてなかったしなぁ……。どうしたらいいものだろうか。
そうだ、さっきの用語。ぴんくらてとりんじぃについて聞いてみよう。
「あのさ。さっきここに来るまでに話してた内容でぴんくらてとりんじぃっていったい何の話??」
「ああ、知らないんですねっ」
「まぁ、男は知らないわね」
「おにーさんには縁がないものですからねー」
「俺には縁がない?」
「女の子のファッションの人気ブランドの名前ですよっ!」
「女の子のファッションの人気ブランド……!?」
衝撃。女子小学生四年生の言葉から人気ブランドということがさらっと出る。
先ほどの謎の単語のピンクラーテやリンジィーとかいう名前はブランドの名前らしい。
俺の時代はさすがにそこまでではなかった。
時代の流れ、おそるべし。
「え? 小学生なんて着る服ユ〇クロかし〇むらちゃうの? 俺そんなものしか着てないけどな……」
そう言った瞬間、この部屋の空気が凍り付くのを感じた。
自覚はないが、なんか今初めてこの子たちに言ってはいけないことを言ってしまったようだ。
「ユ、ユ〇クロ!? そんなもの下に着る物とかぐらいでみんなに見せる部分の服になんか着ないけど!?」
「あ、あの……」
「あのー」
奈々は大きく驚いて天下のユ〇クロをそのように評価を下し、鈴と美咲は少し戸惑ったようにこう切り出した。
「「し〇むらってなんですか??」」
「え……?」
「あ、それ私も思った。なにそれ?」
俺は今時の女子小学生の恐ろしさをこんなところで知るなどと全く思っていなかった。
ユ〇クロなんて、し〇むらって何。この女子小学生から繰り出された言葉に俺は雷に打たれたような衝撃に襲われていた。
「あ、あの春輝さん???」
「じょ、女子小学生怖い……」
俺は今どきの女子小学生のハイレベルさに恐れ震え慄いた。
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