3.ペブル診療所
最初に尋ねたのはペブル
実物の切断死体とやらをこの目で確かめておきたかった。ただ、殺害からすでに三日近く経っており、当時の状態から変わっているかもしれないとバークリィ氏は言った。
俺は受付に事情を話すが袖にされる。一時間ほど待たされようやくニーデック医師に会うことができた。
「おー、久しぶりじゃのう。で、
白衣を着た恰幅の良い髭面の大男が言った。
ニーデック医師は熊のような印象で、風貌だけで言えばはあまり
「それがなかなか」
バークリィ氏がそう言って
俺とキィハに関して、今回の件の協力者だと極めて簡潔な紹介の後で俺たちは遺体安置所に案内された。
そこは
少しひんやりとした空気の流れる遺体安置所で、皆で
遺体からツンとすえた臭いがして、俺は思わず顔を歪ませた。
その横でキィハは平然とした表情をしている。これまで彼女に嗅覚がないことを羨ましと思った事はないのだが、この時ばかりは少し嫉妬した。
「時期が良かったのう。そこまで劣化はしとらんよ。じゃが
バークリィ氏からの前情報の通り、遺体は見事なほどに二つに切断されていた。遺体は長身で痩せ型の男性だった。聞いたところによると
「断面を合わせるとピタリと一致する。綺麗なもんじゃ」
この様を綺麗と表現することに異論はあるが、確かに見事な切り口であることに異論は無い。
「この背骨の四と五のところが分かりやすい。断面が寸分違わず一致する。ノコギリや流水装置じゃこうはならんよ」
「刃物の使えない世界で起きた
俺は自嘲気味に言った。
横でバークリィ氏が頷いている。
とりあえず、本当に切断された死体が存在することに俺は納得した。
つまりはこれが
あとは
――
それが俺とバークリィ氏に課せられた
正直、被害者に対しての憐憫な気持ちはさほど持ち合わせていない。
俺が成すべきは、現場を
実際に切断された死体を前に、俺はある種の誓いのような気持ちを抱いていた。
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