6.溶解液で溶かす

 検証は二日目の夜に魔法屋で行った。

 溶解液は、冷凍装置と同じく魔法屋で見つけた品である。

 スライムという魔獣がいる。

 スライムは液体状の魔獣で、体内に取り込んだ対象を体内で溶かして吸収することができる。その性能を利用し、スライムの死骸から魔法の力を借りて作った物が魔法屋に置かれている溶解液なのだ。

 溶解液は褐色の硝子瓶に入れて保管する。日光に長時間当たり続けると分解してしまうからである。故にスライムは地下ダンジョンに生息しているのだろうと推測するが詳細は解明されていない。


 それはさておき検証である。

 検証には同じく鶏肉を使用した。僕は丸鶏に対し、硝子の棒を伝わせながら真っ直ぐに液体を垂らしてみたのだ。

 溶解液はしゅうしゅうと白い煙を上げながら、想像以上の早さで鶏肉と骨を溶かしてくれた。

 だが、溶かした断面と切断した断面は明らかに違っていた。溶解された鶏の断面は白く変色し、焼いたときのように堅くなってしまうのだ。

 溶解液で綺麗な断面を作ることができない。

 つまり、今回の事件に溶解液が用いられていないことが検証により明らかになった。

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