2.浮浪者 ラットマン
名前【ラットマン】
性別【男性】
年齢【六十歳前後】
職業【浮浪者 害獣駆除】
外見【小柄 痩身 右手小指末節欠損】
彼は女神像の近くにいた浮浪者である。話を聞くと、路上生活をしながらたまに依頼されてネズミなどの害獣駆除を行うことで生活しているとのことだった。浮浪者の何人かに話を聞いたのだが、彼が被害者についての情報を一番語ってくれた。
――あんたの言う男はたぶん噴水さんだよ。デカくて痩せてて尖った顎と彫りの深さ、まあ他におらんよ。別に仲良くしてたわけじゃねえが、よく見かけたからね。彼はいつもそこで寝てたよ。そこだよそこ。女神像の西側にさ、屋根の下にベンチが二つあるだろ。その奥の方が彼の寝床さ。ああ、俺も古株だけど噴水さんも昔からいるよ。少なくとも十年はここで寝泊まりしてるはずだ。ここは便利だからね。商店街も近いし屋根もあるし水も汲める。いや、多分無口な方だと思うよ。彼が誰かとしゃべってるのを俺は見たことはないね。もちろん最近もそうさ。そんなに変わった様子はなかったなあ。
昼間かい? 昼はここにはいないよ。俺もそうだし。多分食料調達だろうな。日が暮れたら帰ってきて、人がいなくなったら女神像のところでアミュレット握って祈り捧げて、たまに身体を拭いて、ベンチで寝る。ただそれだけさ。何もないよ。よく祈ってた? んー、まあそれなりに信心深い方だったんじゃないかな? あんななりなのにアミュレットだけは三大神の良いのを持ってたからさ。路上者はだいたいよく祈るよ。それぐらいしかすることねえからな。俺もそうだし。
女神像は新しくなったよ。先月お披露目式があって、あの時はここも賑わってたな。皆で祈り捧げてさ。中には古いのが良かったって人もいたと思うよ。でもさすがに百年経って老朽化していたからね。石像だったら修繕できたんだろうけど。
知らないって年齢なんて。話はしねえからな。女神像の水を噴水代わりに使ってたから噴水さんて呼ばれてるってことぐらいだ。なにも知らねえ。殺された理由なんて分かんねえよ。ていうかさ……俺を疑ってんのか? 意味ないだろ同じ浮浪者同士でそんなこと。住みにくくなるだけで何一ついい事なんてねえじゃねえか。俺はこうして街の隅っこで細々生きてるだけだよ。多分、彼もそうだったはずさ。なあ保安員さんよ。早く犯人捕まえてくれよな。頼むよ。俺も殺されるんじゃないかってビビって暮らすの嫌なんだよ。
これだけ話したんだからさ、なんかないのかい? そうそう、そういう奴。へっへ、わかってるねえ。俺さ、指をネズミに齧られてから酒飲んでないと疼くんだよ。ひゃー嬉しいね。ありがとよ。
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