対話は本の貸出  

 あの日出会った思い出は、遺跡となって風化した。

 同情し合った若者を、持ち上げていくテクノロジー。

 隣で聞こえる伝説も、今となっては弱弱しい。

 ならば私の演説など、なんの自慢になりゃしない。

 感傷に浸る贅沢は厚顔すぎて吐きそうだ。

 黙ろう、この終わらない現実を。

 教科書にない歴史を、私の中で織りなそう。

「この歩幅なら僕は描かれ続けるだろうか。」

 空気と旅をする、そして誰かが振り向いた。

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