遠い本質

 やるせない。

 長い日々を過ごしたのに、僕は何を集めたの。

 改めもせず、踏み出しもせず、ただ茫然と立ち尽くした教室で。

 夕暮れで合わさった二人をただ、影を伸ばして見つめていた。

 あの時ほど、平たい画面が恋しい、と寒く笑ったことはない。

 ペダルを踏んだ、あなたを想う熱い気持ちを置き去りに。

 漕いでも見えない目的地、やり切れなくて枯れる喉。

 けれど、今確かに残る思い出は、

「物語には何故か前を向かせるものがある。」

 と言った、僕が知ってる横顔だけ。

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