それでも、上を向く

 どこを歩いても、私の居場所が見当たらない。

 笑う声に誘われて自意識だけで支えてる。

 怖がるのは、自分が足りないせいなのだ。

 叱咤する激情に、親指の爪を噛み砕く。

 そんな姿を現身が無言で街から浮かんでは、

 目が合う度、互いにそらし笑い合う。

 臓器などない絡繰りは執拗に私を追いかけて、

 卑しい笑みで、あの言葉を囁いた。

「どうして僕を見てくれないの?」

 暗いのは、夜のせいだからだろうか。

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