私という味

 

「幼い頃の思いほど、僕に近いのかも。」

置き忘れていた記憶を拾う時、

滑らかな表面に驚いた。

ただ青く、硬く、苦い。

今より見えないはずなのに、

もう不味いと分かっているのに、

どうして口は求めたの?

舌に残るこの苦味は、けれど歯に付かず

棚に眠る思い出を、魔法のように呼び寄せる。

あの、赤いリンゴ。

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