路線変更

何かが僕を唆す。

甘い香りに誘われて、引き寄せられる虫達は

捕食されることを意識せず、本能のまま落っこちる。

「跳べ!そこから考えろ!」

この声は勇気か逃避か脅迫か。

前へ踏み出すこの意思を、誰か教えてくれないか?

後ろから悲鳴や嘆息聞こえるが、既に僕は崖の下。

緑の鉄車が見えてくる。鳴り連れてくる終着を。

体を覆う浮遊感が、衝撃をもって霧散した。

現実だ。

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