発見にこんにちは

 一度味わったものを覚えていますか?

 鼻孔を震わせる風味。口内を埋める温度。

 噛むほどに染みわたる旨味と甘味。

 経験したことのない震えが体に鳥肌を作らせた。

 わからない。僕はどうして知らなかったのか。

 追加の注文を口が、胃が、腸が、脳が求める。

 人生の不足分をここで取り返すかように、食べる。周りなどどうでもいい。

 けれど、身体が満タンになったらしい。気勢だけは満たされない。

「記憶が無ければ良かったのにな。」 

 ここに来てまさか、贅沢な悩みを味わうことになろうとは。

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