真夜中の明るさ

 夜風に冷やした穂が揺らぐ一月。

 田んぼひしめく田舎にて、浮かぶ眩しい島ひとつ。

 準備中のない店で、何度目かの夜が過ぎていく。

 相方は控えで舟をこぎ、俺はゴミと格闘中。

 この時間帯の睡魔には、体を温柔に攻める技がある。

 道路に向いて伸びをした。乾いた身体はアスファルト。

 腕時計を刻む秒針が、心と静かに同期する。

「…何も起きないな。」

 俺は、あの稲に成れているのだろうか。

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