見えない青春

 その時、心は白く塗り潰された。

 今年最後のインターハイ。主力選手の発表日。

 先生から告げられた言葉は、私を止まらせるのに最適すぎた。

 今までの自分は何だったのか。どうしてここにいるのだろうか。

 周囲が流す歓喜の涙は、視界を黒く滲ませる。

「私だって、まだやれるのに…。」

 なんの迷いか、思わず部室から走り出す。鼓膜は音を弾き出す。

 何も見えないはずの目に、揚羽が私を停まらせた。

 橙色な海を悠然と泳ぐ虹色に、私は夢を見た。

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