進化への足並み

「これに何の意味があるの?」

 少年が指さす斜めの窓の白い箱。

 温度が分かるんだ、と僕は言ったが、彼は釈然としないまま。

 どう伝えようか悩む横で、ポケットから液晶端末を見せてきた。

 名前と理由、説明と意味。

 思考が止まるには、十分な回答と情緒のない事実。

 少年は再び、同じ質問を投げかける。

 不意に天高く注ぐ太陽を仰ぐ。何も変わらぬ眩しさに自分の遅さを嚙み締める。

 僕は答えられず、公園の隅に佇むそれを、僕らは見つめた。

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