温かいバトン

 あの衝撃を忘れられない。

 今まで築き上げていたものが、何もかも壊されていく。

 恐怖と戸惑いと達成感が、体と心を支配した。

 あれは、一種の麻薬に手を染めたような、甘く、逃げられない余韻。

 「私の人生が、どれほど水平で有り触れていたのか、知らなかった。」

 腕の中で小さな鼓動が響く。暖かく重く、脆い命に自然と口角が上がる。

 君は何を夢見ているのかな。どんな体験をするのだろうか。

 小指が遅い五指に包まれ、私は再びあの衝撃を味わう。

 一緒に、生きていこう。

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