第2話

「そういえば大久さんはなんで卓球部に入ったの?」

1人しかいないってわかってても入るってことはかなり思い入れがあったりするのかな?

「家に卓球台があって…あとは人が少なくて安心できるから…」

「あっ私も私も!あんまり人が多いと落ち着かないんだよねー」

「…」

か、会話が続かない…。

あんまり話好きそうな子じゃなさそうだけど卓球の話題ならお話ししてくれるかな?

「そ、そういえば大久さんのラケットの形と私が握ってるラケットで形が違うよね!」

「柳沢さんの手全体で握るような形のラケットがシェイクハンドっていうラケット…フォアでもバックでも強いボールが打ちやすいのが特徴…私の指で握ってるラケットがペンって言うの…軽い分台上でも動かしやすいのが特徴…。」

一気に饒舌になったね、表情もイキイキしてて可愛い

「へ、へー大久さん詳しいんだね。私全く卓球知らないし卓球教えてください師匠!」

「し、師匠?!…うん…私にわかることなら…」

「それではさっそく特訓お願いします!師匠!」

「わかったから師匠は止めて…恥ずかしい…じゃあまずは私の体の右側にボールを打ってきて…私も柳沢さんの右側にボールを返すから…これをフォア打ちって言うの…」

「ふぉあ打ちだね!では行きます。はいよ!」

一発で大久さんのコートに入っちゃった、これは私天才なのでは?

ん?大久さんボール取っちゃったぞ…。

「違うの…サーブは自分のコートにまずワンバウンドさせないといけないの…」

「そうなんだね!了解ですししょ…うーん呼び方どうしようかなー。そうだっ大久由紀恵ちゃんだしユッキーって呼んでもいい?」

「う…うん…ありがとお…(ぽろぽろ)」

「えええなんで泣いちゃうの?!ちょっ、大丈夫?ユッキーって名前嫌だよね。勝手に付けてごめんね」

「違うの…嬉しくて…私ちっちゃい頃虐められてて…変なあだ名しか無かったから。あんまり人と関わらないように…してたから友達もできなくて…」

暴力を振るわれる辛さ。終わりのない嫌がらせ…私にも痛いほどわかる。

半年前まで私も似た様な環境だったから。

私はユッキーを抱きしめて頭を撫でててあげる。

「…辛かったね。よく頑張ったね。よーしよーし」

「柳沢さんは私を…認めてくれるんだね…ありがとお…」

ユッキーが落ち着くまでしばらくそのままでいた。

「ボールのコントロールよりも…ボールの高さに注意して」

「了解、ユッキー!」

さっきよりもちょっと明るくなって目を見て話してくれるようになってくれて嬉しい。

「ごめん変なところいった!あああ!今度は真上に?!えええなんで下に落ちるのおおお?!」

けど私の下手くそさで全くラリーにならない…。

「下校時間だし…そろそろ切り上げよ…」

「もうそんな時間か。ごめんねユッキー…私が下手くそで全然練習にならなくて」

「ううん…最初からできる人なんていないよ…それよりも私とで本当にいいの?」

「いいのって何が?」

「柳沢さん…明るいし運動神経も良さそうだし。卓球なんかよりもっと皆とするスポーツのほうがいいんじゃ…」

「そんなことないよ。ここがいい、卓球って今までやったことなかったけど難しくて楽しいし」

そう、あんまり人数が多くて騒がしいと私の癖が出てしまう。

「じゃあ…明日も…ここで待ってるね…」

「うん、今日はありがとうユッキー!明日もよろしくね!」

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