Opening Phase

Opening 01

――――田中陽介


マナ:PC達は突然発生した大地震により、朝日台高校に閉じ込められた。暖かく支えてくれる陸、事態を訝しむ瑞希とともに脱出口を探すが、そこには陰謀を企む井上咲子の影があった。まずはこのグランドオープニングを演出します。全員登場でいいかしら。

田中:全員でいいんじゃね。

マナ:じゃあ全員登場の朝日台高校ね。

つばさ:侵蝕率が1増加で34。

田中:4だから42に。

仰倉:7増加して40。

マナ:出目は8で合計38。時間は放課後かな。

田中:補習かな。

つばさ:みんな頭悪そうだもんね!

田中:な! 古典とかにしよう。瑞希も補習になりそうだし。

仰倉:じゃあオレは屋上でタバコ吸ってる。

マナ:私は意味もなく音楽室でピアノとか弾いてるね。

田中:補習うけねーのかよ!!

つばさ:マナちゃんはともかくオクラは受けなよ!!

マナ:そうね、頭良くも悪くもない(という役を演じている)から補習対象ではないと思う。

田中:アイドルは勉強できないは鉄板じゃないのか!!


 ある晴れた冬の日。期末テスト期間が過ぎ、朝日台高校の校庭では生徒たちが活発さを取り戻していた。陽はだいぶ傾いてきて、肌寒い空気ではあるが、野球部やサッカー部が声をかけながら汗を流している。部活動に精を出す生徒たちの傍ら、ひときわ賑わっている教室がある。


田中:「ありをりはべり???」

つばさ:「いまそがり?」

田中:「あ――――――おっぼえらんねーよ!!」

つばさ:「磯辺焼き食べたくなってきた」

田中:「先生~わかりませ~ん!」

NPC/瑞希:「終止形接続、ラ行変格活用のときには連体接続か、なるほど……」

NPC/陸:「?? 何の呪文??」

つばさ:「それ新しいエフェクト?」

マナ:陸も補習受けてんのかーい。

田中:バカだからね。

NPC/瑞希:「いや、要は”す・い・か・と・め・て”ということだ」

つばさ:「すいかか~夏だね~」

NPC/陸:「すいか……ジェラートにしたらおいしそうだな。でもそのままがやっぱり……ブツブツ」

田中:「ミッキーすげえな!! なんでそこまで覚えられんのに補習なんだよ―――」

NPC/瑞希:「ふむ、覚えられるのにテストとなるとそれぞれの知識が組み合わさらないのだ」

田中:「器用貧乏だなミッキー!」

NPC/瑞希:「損な役回りといったところだな」

つばさ:「ねえねえ、園芸部のビニールハウス借りてスイカ育ててスイカ割りやろうよ!」

田中:「グッドアイディア!! んじゃ、明日園芸部の城田に言っとくわ!」


城田優(しろた・まさる)……たった今生み出されたNPC。


NPC/陸:「スイカ……野菜なのか果物なのか」

マナ:あ、私は今、音楽室の窓を開け放ち、ショパンなどを弾いているからね。

仰倉:「この音……マナちゃんだな……心が洗われる……」

マナ:なんか仰倉に音色届いてる(笑)

田中:オクラ(笑)

つばさ:キモイ!

田中:そうか、だからあいついつも屋上に……。

つばさ:古典の先生がかわいそうになってきたな。


 補習を受けているのかいないのかわからないとき、ズン!……と下から突き上げるような衝撃が起こる! 立つこともままならないほどの激しい揺れだ!


NPC/瑞希:「地震か!」

NPC/陸:「うわ―――揺れてる!!」

田中:「へいへーい! みんな机の下に隠れろ―――! いえー!」

つばさ:「きゃーきゃー!」

田中:(地震ナウ)←ツイッターで呟きました。

つばさ:「見て、この防災頭巾、お兄ちゃんが縫ってくれたの。りらっ●ま」

田中:「スゲーなそれ!」と驚きつつ(友人の防災頭巾手作りなのパネェ)とインスタに投稿しました。「ってマジヤベー揺れじゃん!!」


 地震は激しく、次第に学校中が軋む音がして、壁に亀裂が走った。


マナ:ツイッターしてる場合じゃねえ規模だ(笑)

つばさ:「すごい! 写メしとこ」

田中:(壁にヒビ入ったなう)とツイッターに呟きました。

マナ:あ、音楽室では、地震とともに何者かの気配を感じて警戒するマナがいますよ。


 しばらくすると揺れは収まった。


田中:「ふい―――びびったぜ―――。みんな大丈夫か―――?」

NPC/瑞希:「お前は全然平気そうだけどな」

NPC/陸:「な、なんとか~」

つばさ:「いでっ机に頭ぶつけた……」


 そして次の瞬間。空気が凍り付くような気配を感じる。それはオーヴァードであれば《ワーディング》であることに気が付く。クラスに残されたのは4人。古典の先生の姿が見当たらない。さきほどまで青空だったのに、窓から見える景色はどこか桃色に霞んでよく見えなくなっている。


つばさ:アホ毛がピピーン!「これは、《ワーディング》?!」

NPC/瑞希:「誰かがオーヴァードの力を使っている。けれど一体誰が……」

つばさ:「先生がいない! そうだ、オーヴァードじゃない人だから……」

田中:「なんてこたーい! 俺がオーヴァードってばれちゃうじゃんかー!」

つばさ:「よーちゃん!! いつの間に⁈」

マナ:そこはIFでも初お披露目なのね。

田中:「ばれてしまってはしかたなーい! サッカー部1の瞬足を誇る俺だが、それはかりそめの姿!!」バッとかっこ良さげなポーズを取る。

NPC/瑞希:「陽介……お、お前もオーヴァードだったのか」

田中:「マスターピース・田中とは俺のことなんだぜ!」とダブルピースをくりだす田中。ドドン!

マナ:こんな口軽いのになんで今までばれなかったのか謎。

田中:これが言いたかった(笑)

つばさ:「すごい! コードネームがあるなんて、よっぽどの使い手ね!」

田中:「おいおい、褒めてもDVDの投影くらいしかできねーぜ!」

つばさ:「いいじゃん! 多目的室で学園ハ●サム見ようよ!」

NPC/瑞希:「便利だな」

田中:「と、いうわけであらためてよろしくなー!」がしっとミッキーの肩をつかみますね!

NPC/瑞希:「あ、ああ、こちらこそよろしく」

つばさ:「そういえば、コードネーム、瑞希くんにはあるの?」

NPC/瑞希:「実はまだ新人であったので、特に決められてなかった」という体で。「その内決まるといいな。いや、自分で決めるのかな」

つばさ:「かっこいいの考えとこ!」

NPC/陸:「ところで、外も何か変な色で曇ってて見えないし、どうしようか……」おずおずと不安げな様子で陸が声をかける。

田中:「なんかおもしろそーだし、校舎内みてまわろーぜ!」と言いながら田中は教室を飛び出していく。

つばさ:「あ、私も行く!」


 不可思議な状況であったが、1人ではないということが心強く感じられた。つばさたちは教室を出て、事態を把握するため行動し始めるのであった。


       *   *   *


マナ:かたや、私は音楽室でモノローグ始めておくね。

つばさ:どうぞどうぞ(笑)


 時を同じくして、場所は音楽室に移る。やや険しい表情で、窓の外に漂う桃色の霧を眺める恭恵愛心の姿があった。


マナ:「……これは……まさかこの機会に乗じて動き出すつもりなの、”理想郷”」と呟く。私は"理想郷"について調べているから、原因に心当たりがある。

田中:なるほど。

マナ:それもあのお方からの命令なのだ。あ、あのお方にロイスとっとこ。

田中:すでにハンドアウトを忘れていた(笑)

マナ:「あのお方曰く、”理想郷”の領域が完成してしまえば、あのお方でさえも手だしできなくなる。今はただの妄想の空間だけれど、そのうちFHにも牙を剥きかねないわ。早いうちに消しておくに限るわね」

田中:仰倉はせ参じなよ。

マナ:「それにしても……まずはここから脱出しないと、ね。彼女の領域が完成する前に」

つばさ:ただのホモユリ空間っすよ。

マナ:「仰倉、出てきなさい」と呼んでみるね。

仰倉:「ここに」と片膝を立てて頭を垂れるね(一同笑)

マナ:そしてソラリスの能力を使って幻影の鏡を映し出すね。そこには瑞希達の現在の様子が映し出されている。

仰倉:「誰をぶちのめしましょうか」タバコを踏んで火を消す。

マナ:「今は彼らとは争ってはダメ。お仲間ごっこを演じるとしましょ。それもまた一興よ」

仰倉:静かにマナの話を聞いている。

マナ:「まずは彼らと合流するのがよさそうね。そして、願わくば彼らの力も利用して、彼女を消してしまいましょ。”理想郷”井上咲子をね」といってうすら笑うよ。

仰倉:「押忍」

マナ:「じゃあ、早速彼らの元へ行きましょう。哀れなレネビ、七海瑞希君とゆかいな仲間達の元へ」といって闇へ消えていくね。

田中:おおおお。

仰倉:歩いて瑞希たちの元へに向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る