8 文明課題対策図
図:https://19084.mitemin.net/i495497/
人工知能(AI)を中心とする新技術と、それを活用した政策が、
現代の様々な課題を解決できることを示した図です。
理論的には図7のように分類できる文明課題を、
技術と政策が解決することになりますが、
ここでは実務的な政策の視点から課題を分け直したうえで、
それぞれの対策に活用できる技術を書きました。
なぜ文明課題を政策の視点から分けるのか?
技術は政策的な課題まで扱うのが難しいが、
政策は〝技術的政策〟において、
技術的な課題も扱えるからです。
人間以上に人工知能が発達して、
あらゆる政策的課題を扱えるようになれば、
全てが技術的な課題にもなりうるのかもしれませんが、
今はまだですし、丸投げするのは恐い気もします(笑)。
自然現象を制御し文明を発展させるのが技術ですが、
その恩恵を活かせるように社会的課題を解決したり、
それでも足りない場合は新技術の開発を助けたりして、
文明を健全に発展させるのが政策なのだと思います。
技術的政策における課題が、科学・技術の持続可能性です。
(資源枯渇、環境破壊、都市老朽化や災害・犯罪などの問題に対し、
富の安全を含む生産に役立つ科学・技術を、
健全に開発・利用し続けられるようにする政策の課題です。)
経済・社会政策における課題が、経済・社会活動の持続可能性です。
(拡大・複雑・加速化する経済・社会活動を健全に保つため、
富の再投資を含む分配を調整する政策の課題なので、
〝経済・社会活動〟の持続可能性となりました。)
人的資源政策における課題が、人的資源の持続可能性となります。
(少子高齢化や経済・社会の変化に対応するため、
政策の実現に必要な、富を作って分ける人々自身、
言い換えれば人々の健康・教育という、
最も重要な富を向上させる政策の課題です。)
行政管理政策における課題が、制度・政策の持続可能性となります。
(拡大・複雑・加速化する経済・社会活動に対応した、
政策の国際化など巨大化や、民主化・自由化など分権化の要請です。
これは、富を作って分ける人々自身、あるいはその健康・教育という、
最も貴重な富を活用する政策の課題です。)
しかし、以上の課題を既存の技術だけで解決するのは困難です。
人類は今、文明の転換期ともいうべき、
文明段階の移行期にあるからです。
ある一定の技術水準において政策が利害調整を極めると、
さらなる問題を解決するには次世代の技術、
そしてそれらを開発・普及する政策が必要となります。
農耕技術は、文明を生み出しました。
工業技術は、文明を世界的に拡大しました。
情報技術は、地球という空間的限界への到達による衝撃を緩和しました。
しかし私達はまだ、文明の時間的な持続可能性を見通せていません。
様々な資源・環境問題、経済・社会問題、
教育・医療や政策自体に関わる課題が表れつつあります。
そのため、次なる文明段階を
開発・普及・活用し得る政策が求められています。
この図では、既存技術のもとでの政策課題を整理したうえで、
その解決に役立つと期待される新技術を書き出しました。
人工知能(AI)を中心とした様々な次世代技術は、
生物など自然物と、機械など人工物の間の障壁を取り払い、
いわば
(体内環境を含めた)自然環境や社会環境に優しい、
持続可能性(環境親和)技術ともいうべき技術です。
研究・開発政策を初め、各種の政策が連携して、
そうした新技術の健全な開発・普及を助ければ、
それらの技術は社会をさらに豊かにするだけでなく、
新たな社会を健全に保つ、各種の政策も支援してくれます。
新素材・新エネルギー技術は、
主として
IoTとビッグデータ処理、知能ロボット、
産業振興・社会保障など経済・社会政策を助けてくれます。
先進医療・教育技術は
保健・教育といった人的資源政策を助けてくれます。
行政管理政策は組織運営、施設整備、人材育成など、
行政組織内における以上の政策ともいえるので、
上記のAI時代技術は全て、行政管理政策も助けてくれます。
以上はあくまで重点分野の実例なので、
技術と政策の相互支援は、両者の全ての分野同士に及んでいます。
しかし、現在において特に重要な点は、〝人的資源〟の向上が、
可能、かつ必要とされることだと思います。
人工知能(AI)を中心とした次世代技術は、
富の生産と分配に加え、富を作って分ける我々自身、
あるいは最も貴重な富と言うべき、我々自身の健康や教育までも、
画期的な方法で支援し、向上させることができます。
地球規模の自然的限界と社会的統合への接近、
あるいは大量破壊兵器の出現などを背景に、
淘汰の犠牲や
人的資源の維持・向上が求められています。
人間の能力や資質を向上させることができれば、
次には社会状況の変化に応じて、
それらを適切に活用することもまた、
重要になっていくことでしょう。
すでに現実の政策においても、
国連の〝持続可能な開発目標(SDGs)〟や〝
我国のソサエティ5.0やデジタル改革、スマートグリッド、
スマート(スーパー)シティ、マイナンバー、
データヘルス、エデュテック活用など様々な分野で、
以上のようなことが考えられていると思います。
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