9 「想像」説明図

図:https://19084.mitemin.net/i335166/


図1の説明において、

文明とは〝高度な技術を伴う知的生命活動の様式〟である、

と書きました。


現在のところ、文明生活を営んでいる生物は、人間だけです。

では、人間のどのような性質が、それを可能にしているのでしょうか?


高度な技術を持てるような、高度な知性の特徴とは、

限りない想像力と欲求だと思います。


ここでは前者の想像力が、3つの文明活動に対して個別的に、

どのようにして好ましい影響を与えるかを描きました。


ここでいう想像力とは、合理的な推論から完全な空想にまで至る、

抽象的な思考能力です。


第一に、想像力は、科学・技術の研究・開発を可能にします。

合理的な推論は、科学・技術の目的である、

法則性の発見(ああいう時はああいうことが起きる、

こうすればこうできるという、一般的な因果関係の認識)や、

法則性を体系化した理論の形成を可能にします。


また、推論と空想の境界は地続きです。

様々な科学的仮説は、実証されれば事実となり、

誤りと分かれば想像だったことになります。

たとえば生命の起源や燃焼の過程、

原子や宇宙の構造に関する学説の歴史は、それを示しています。

波動関数理論や超弦(超ひも)理論仮説に至ってはもはや、

『事実は小説よりも奇なり』と思わせる内容です。

そこでここでは推論から空想までを、想像という言葉でまとめました。


第二に、想像力は文明活動の本体すなわち、

全ての人々による(行政・文化活動も含めた)経済・社会活動の

基礎にもなっています。

こんな商品や政策、家事の工夫があったらいいなという思いが、

日々の仕事や家庭生活の生産性や健全性を高めています。


第三として、意外なことに想像力は、

完全な虚構フィクションであっても、社会科学(社会工学)的な技術の基礎になり、

制度・政策の実現に役立っています。

権利・義務や法人格・役職などの法律概念や、

一定規格の紙片や金属片、電子情報に与えられる貨幣価値、

といったものが、それにあたります。


以上のように、知性の一翼をなす想像力は、

科学・技術、制度・政策、経済・社会活動という、

3つの文明活動全てに対し、それらを可能にしたり、

支援したりするという働きを持っています。


私はそのことを、岸田秀先生やY.N.ハラリ先生の本で知りました。

両先生は様々な宗教や思想イデオロギーもそれに含めていますが、

後者の方が新しい分、想像と事実の地続き性というか、

全てではないが事実的な基礎は多いだろうと思います。


蛇足だそくですが『 神や悪魔は異星人だった! 』といった、

『古代宇宙飛行士(古代の宇宙人)』仮説というのもあり、

そんな夢のある説に知的刺激を受けて素人SF小説を書いていたら、

この文明論を考えることができました。

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