第4話 夢の続き

私が、夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹に出逢えたのは、奇跡だったのか?偶然だったのか?それとも、必然だったのか?悪魔からの誘いだったのか?天使の誘惑だったのか?神のいたずらだったのか?不思議でしょうがない感覚があった。

しかし、止めどもなく、涙がこぼれ落ちて私の心が満たされていく事を感じていたのだった。


私は、安田 陽一(36)は今日も、不安を抱えながらの日々を送っていた。

勤めていた大手スーパーが不景気の煽りを外資系企業が買収する事により、正社員から契約社員に移行する話が上がった。

その為、契約社員になれば、月の給料は保証されるが、ボーナスや雇用の維持は難しくなる。

又、外資系企業の為に、優秀な社員は世界50店舗より、派遣する事が出来る為に、英語とフランス語、ドイツ語などが出来ないと正社員にはなれないという厳しいものであった。

又、それに伴い今後の生活や将来の老後に関しても不安がよぎるのであった。

同僚の酒井 尊(36)は「ここは無理だなぁ…契約が続くだけで、残る意味は見つからないなぁ…というよりも、高卒の私は、どうあがいても10年以上かかるなぁ…これなら、職業訓練でもして手に職つけるなぁ…女房には面倒かかるけど…それの方がこの先、有難いってさぁ!もちろん、職業訓練がない、土日はバイトするけどなぁ…」

「でも、ちょっと、待てよぉ…次の就職先が見つかるとは限らないぜぇ…ボーナス分の保証がなければ、ダブルワークをすれば良いじゃん?」

「馬鹿だなぁ…今でも、この仕事辛いのに、身体壊すって、止めとけって…どうせ、ダブルワークって言いながら、競馬に賭けるんだろう…現実見ろって!確かに、このスーパーには思い出もあるけど…25歳まで俺はパチ屋でフリーターして、秋にはこのスーパーに紹介でアルバイトして29歳から準社員、そして、30歳から正社員になりここで知り合った優子と32歳で結婚して、4年だぁ…こんな、俺でも守るべき、家族が出来た。だから、優子の両親に土下座して、もう一度だけチャンスを頂き、料理人になる事を決めたんだぁ…。そのきっかけが、今回の買収の話だぁ…もちろん、正社員として、保証されていれば、残るつもりでいたけど…現実は甘くないよぉ。」

「いやいや、料理人って…マジないよぉ。おまえこそ、料理人の世界は厳しいんだぜぇ…半年間、職業訓練受けて料理のイロハを知りました…でぇ、料理人って、世の中甘くないぞぉ…それに、賃金だって安いって聞いているぜぇ。どうなんだよぉ?子供を養っていけるのかよぉ。地道に、この業界残るか、ライバル店に頭下げるで良いじゃんよぉ。それに、酒井は俺と違って、惣菜コーナーのチーフしてたんだから、職業さえ選ばなければ何でも雇ってもらえるよなぁ…」

「だからこそ、この際に調理士を取ってみたくなったんだぁ!というよりも、女房とも話して、女房の茨城にある食堂を一緒にやらないかぁ?って言う話まであるんだぁ。」

「そっか、そこまで念入りに考えているとはなぁ…本気なんだなぁ。俺は、独り身でアパート暮らしで貯金もないしなぁ…無理だなぁ…」

「えぇ…マジかぁ…なら、今のまま残った方が良いなぁ。でもさぁ…俺たちはなんだかんだぁで、長い付き合いだなぁ…」

「そうだなぁ…25歳の時からかぁ…なげなぁ…たいてい、競馬のG1のレースを前日に予想する為に安いチェーン店の飲み屋で飲んでいた記憶しかないけどなぁ…そして、昼頃、起きて、立川の場外馬券場に買いに行ってたなぁ…懐かしいなぁ…30歳からはお互いに別のセクションになってから交流はなくなったけど、毎年恒例の熱海の旅行は楽しかったなぁ…」

「あの時、優子は20歳で短大卒業したばかりだったよなぁ?あの時は、安田が付き合っていたんだよなぁ?」

「あぁ…、告白されたから、仕方がなく…まぁ、恋愛対象というかぁ…母親みたいでなぁ…正直、熱海の旅行ではおまえが近くにいて良かったと思う。」

「えぇ…何だよぉ…あの時さぁ、ここだけの話、パートの吉永さんって、覚えているかぁ?実は優子から告白される前に付き合っていたんだぁ…」

「マジかぁ、おまえ、最低だなぁ…」

「まぁ、若かったからなぁ…」

「そういや、吉永って当時、腹膨らませていたよなぁ?」

「もしかしたら、別れた原因って、吉永が妊娠したからかぁ…」

「まぁ、そうはなるんだけど…夜の営みが恋しくて、つい、優子と…」

「でぇ、付き合う事に…おまえは最低だなぁ…優子は知っていたのかぁ?」

「かぜの噂で、社内で広がれば別れると思ったから…なぁ。」

「それで、悩み相談をするようになって、俺と付き合うようになったんだぁ。

なるほどなぁ…でも、あの後、吉永さんがなぁ…子供をおろして、実家の九州に帰ったとはなぁ…連絡先は交換しなかったのか?」

「出来る訳ないじゃんよぉ!妊娠した事もおろす事もしないで、一人で決めちまうしなぁ。一声言ってくれでば考えたのによぉ。」

「いやぁ、あの当時の陽ちゃんは最低だったからなぁ…俺も女だったとしても、子供はおろすなぁ…」

「何でだよぉ!」

「かぁ…陽ちゃんは俺よりも背が高くて、人気があるし、女性から人気があったじゃないかぁ?覚えているよなぁ…?一方、パートの吉永は?簿記だったかぁ…忘れたけど、専門卒でパートだったよなぁ。

就職も出来なかったから、公務員の試験を目指して昼は公務員の勉強して、17時から22時までパートしてたよなぁ?

すごく、頑張っていたけど黒縁の眼鏡に内気だったからなぁ…同じ、20歳でも優子とは正反対。黒と白…だったなぁ…もちろん、当時の陽ちゃんはどちらも好みではなかったからなぁ…」

「馬鹿かぁ…俺だってなぁ、本当のブスは抱かない…それに、一度、抱いたら好きになるって…」

「でもなぁ…職場内じゃ、付き合っても人気があったから、声はかけづらいって…でもさぁ…そういや、吉永は元気なのかなぁ…電話して見れば…登録してないのかぁ?」

「ごめん、俺、あの後、怒って連絡先消したから覚えてないなぁ…」

「しょうがねぇなぁ…俺は吉永の連絡先知ってるよぉ。それに、吉永とは、あの後、優子と3人で何度かあったけど…」

「マジかぁ、仲間外れかぁ…、そりゃ、そうだよぉ…職場で血相変えて、休憩室の机を倒すし、人事部に詰めよって、吉永の居場所を問い詰めれば、知っていても…本社しか知らないと嘘をつくよぉ。犯罪になると思うからなぁ…」

「まぁ、確かに、冷静ではなかった。」

「それに…あの後はレジの人妻と不倫したり、したよなぁ…」

「まぁ、あの当時は優しくされたら、その気になったけど…傷が癒されなかったから本気にはなれなかった。」

「あれから、4年経過したから、教えるけど…本当は5年なんだけど…まぁ、とりあえず、俺から連絡取ってみるよぉ。」

「それじゃ、すべて俺が悪かったのか?」

「いやぁ、そんな事はないよぉ。お互いが悪かったとしか言えないかなぁ…」

「俺だって、吉永さんの妊娠をきっかけに真面目になろうって考えたよぉ。」

「でもなぁ…吉永さんと寝た時に、「はい、2万円」はないって…」

「いやぁ、あの時は、公務員を勉強していて、大変だろうなぁ…って思ったから…」

「そりゃ、そうだけど…吉永さんは売春した軽い女としたとしか考えないって…タイミング悪過ぎるってその後、泣いて帰ったらしいよぉ。」

「その後、1週間ぐらいして、電話かけたけど…普通に会話して、デートしたけどなぁ…」

「だから、その後も体調大丈夫かぁ…って気遣えば良いのに…明日は、フットサルやるから遊ぼう!だろ?」

「だめだったかぁ…いやぁ、だめとかでなくてさぁ…30歳も過ぎた大人ならさぁ。最近、疲れてない…良かったら、癒されに行かない?この時期は暖かいから、海か山ならどっちがいいかなぁ?…って話をふるよなぁ…」

「あぁ…確かになぁ…今まで女性が行きたいから付き合ってたからなぁ。だから気遣いが出来ないだよぉ。本当に今まで気付いていなかったのかよぉ。」

「今、はじめて気付いたよぉ。」

「そっかなら、俺から話をしておくよぉ。たぶん、今のおまえは吉永さんを傷つけるからなぁ…あぁ…そうそう、恒例で熱海に行った時にたまたま、取った写真に俺と優子、吉永さんと安田が写ている写真があったから、渡そうと思っていたんだぁ。」

「えぇ…そんな写真あったかなぁ…たぶん、俺と優子が付き合う前だから、丁度、安田が吉永さんと付き合っていた頃だなぁ…あの時は、俺も優秀も安田が吉永さんとそんな関係になっている事も知らないから…うちらは、あり得ねぇ…って思ったなぁ…でも、その日に限って吉永さんはコンタクトレンズに化粧していたから、この旅行をきっかけに安田さんに近づいたのかと思ったよぉ。だから、安田の隣は、優子がガッチリガードして、申し訳なさそうに吉永さんが座っているよなぁ。でも、よく見ると視線はお互い向いていたから…後になって気付いたよぉ。好きだったのかぁ…って、俺はこの写真からも解るだろうけど優子一筋だぁ…」

「いやぁ、懐かしいなぁ…確かに、静岡おでんを駅前で食べて少し、酔い冷ましに寒い冬の海岸を歩いて夕暮れをバックに写真撮ったなぁ…熱海城をバックにねぇ。

あの時は、吉永さんとはまだ、仲が良かった程度で一緒に帰ったり、棚卸しの後にラーメン食べたり、ファミレス寄ったりぐらいの関係だったかなぁ…そういや、旅行に行く1週間前に一緒に朝まで酒を飲んだなぁ…吉永さんがお酒強くて…送ってもらったなぁ…」

「本当に、30歳過ぎているのかよぉ。」

「それじゃ、吉永さんには連絡入れておくよぉ。安田ぁ…LINE教えて大丈夫だよなぁ…」

「あぁ…大丈夫だぁ!じゃ、連絡待っているなぁ…」



ピポォ、何だよぉ、誰からだぁ…

久しぶりの休みなんだがら、寝かせてくれよお…うぅ…眠いなぁ…うだぁ〜よぉ、酒井かぁ…久しぶりだなぁ…2年ぶりかぁ…どうせぇ、優子と旅行に行きました幸せのお裾分け何だろうなぁ…

「優子が妊娠しました。マジかぁ…おめでとう!でぇ…明日、吉永 百合が遊びに来ます。」

「マジかぁ!おめでとう!久しぶりだなぁ…逢いたいなぁ…行くよぉ。楽しみ。」と返信した。


その後、「10月4日(木)○○駅前 16時集合」と返信があった。


そういや、吉永 百合もまだ、24歳になったばかりかぁ…

あの時は吉永 百合も20歳と若かったから、

許してくれるかなぁ…それとも、まだ引きずっているかなぁ?もしかして、子供はおろしていなくて、実家で両親と暮らしているかなぁ?でも、どちらにせよ、しっかりとした大人として、向き合わなきゃなぁ…

さてぇ…ところで、今、何時だぁ…

今、14時半だぁ…昨日は、なかなか寝れなかったからなぁ…、そういや、朝方に寝たからなぁ…


はぁ…何とか間に合ったなぁ…

「わりぃ、わりぃ…」

「ちょっと、相変わらず時間通り来ないんだから…」

「何だよぉ…ちょっとは気遣えよぉ…広田はぁ…」

「ちょっと、旧姓で呼ばないでよぉ、せめて優子とか酒井さんって呼んでよぉ。」

「まぁまぁ、二人が逢うと喧嘩から始まるのは相変わらずだなぁ…」

そういや、尊…「吉永はまだかぁ?」

「実はなぁ…久しぶりに集まるから、吉永さんには17時に来るようにしてもらったんだぁ…」

「酒井、尊やるなぁ!」

「わざわざ、九州から来るんだから、手ぶらじゃなぁ…だから、プレゼントを買いに行こうっと持ってねぇ…」

「なるほどなぁ…」

「そういや、尊は吉永と連絡取っていたんだろ?」

「そうだねぇ…まぁ、九州の大分だったかなぁ…別府市に住んでいるらしいけど…えらい田舎に住んでいて、別府の旅館で働いているって言ってたなぁ…」

「そっか、元気なら良かった。」

「でも、最近、体調があまり良くないって言ってたなぁ…まぁ、逢えば解るけどなぁ。」


「見て、見て、かわいいのがあったよぉ。」

「おいおい、おこちゃまかぁ…だってねぇ…ベビー服みるとテンション上がるから…」

「まぁ、今、妊娠してるから…悪いなぁ」

「それよりも、吉永にプレゼントだなぁ…」

「そういや、優子はどんなのが好きなんだぁ…そう言えば、花が好きって言ってたなぁ…特にラベンダーの花や香りや色が好きって言ってたなぁ…」

「私は、カモミールねぇ…」

「おい、誰も聞いてねぇ〜ぞぉ。」

「安田には言ってません。尊に言ったんです。」

「優子!マジ、ムカつくなぁ。」

「おいおい、本当に仲が良いのか?悪いのかぁ?解らないなぁ…」

「好きだったから、嫌いになった…」

「まぁ、そうなるよなぁ…別れる時に嫌いになれって言ったからなぁ…」

「とはいえ、喧嘩でも、言い合えるのは、まぁ、良いかぁ…」

「もう、尊、真顔で言う事…ぷぅ…はっはっはっ…腹が痛い」

二人して、笑うなって…

「おまえたち、本当に怒るぞぉ…」

「どうかなぁ?このラベンダーの匂いのキャンドルと花柄のコップはどうかなぁ…?」

「素敵じゃない。このキャンドルは使用後は置物になるし、下のスイッチを入れるとランプにもなる。私も、同じの欲しい…すごい、4種類もあるんだぁ…」

「わかった、今度、さりげなく買うから…」

「楽しみにしてます。」

「おい、そろそろ、17時だなぁ…」


「吉永はどこだぁ?」

「あれかぁ…なわなけないよぉ、髪の毛はあんなに長くないし、あんなに痩せていないよぉ…」

「ちょっと、待って、電話してみるなぁ。」


「もしもし、尊だけど…」

「駅にいるけど…どこだぁ?」

「自販機の前にいるけど…」

「特徴は…髪の毛長くて、昔より地味になったかも…」

「自販機、自販機はどこだぁ…もしかして、さっきの女性かぁ…」

「もしかして、吉永?」

「はい、お久しぶりです。」

「もしかして、安田さんと優子さんですか?」

「あれぇ、覚えていないのかぁ…?」

「いえ、冗談ですよぉ。覚えてますよぉ。陽ちゃんとの思い出は宝物ですよぉ。私の事、探していたんですねぇ?」

「そりゃ、そうだよぉ。連絡なしに実家に帰るし、専門学校も退学するし…せめて、連絡や手紙ぐらいくれても良かったのに…」

「まぁまぁ、立ち話も何だから…居酒屋予約しているから…行こう。」


「はい、いらっしゃいませ。」

「今日、4名で17時30分に予約している、酒井です。」

「はい、こちらへどうぞ…はい、お通しです。まずは、飲み物の注文を先にお願い致します。」

「何飲む?」

「私は、ビールかなぁ…いやぁ、ハイボール。」

「私は、烏龍茶かなぁ…」

「はぁ、何だよぉ。しらけるなぁ…」

「ごめんねぇ、明日は朝イチの便で帰るから…」

「なら、しょうがないかぁ…」

「俺はビールかなぁ。」

「生が2つとハイボール1つと梅酒を1つ」

「はい」


「はい、お待たせしました。生2つとハイボール、烏龍茶です。」

「それでは、懐かしい友人との再開に乾杯!」

「いぇ〜い!」


「いやぁ、懐かしいなぁ…みんなと逢うのは何年ぶりだぁ…」

「そう言えば、百合が九州の大分の実家に行ってからだから…4年ぶりになるかなぁ…」

「そうだなぁ…そう言えば、百合はこの4年何をしていたんだぁ?」

「うん、実は実家が大変な事になっていて…お父さんがリストラにあって、仕送りが途絶えてしまって…妊娠したと言ったら、おろして、実家に戻って来いって…」

「はぁ…あり得ねぇなぁ…」

「それだけなら、良かったのだけど…祖母の介護で母親が倒れてしまったから家計が火の車と言われたらおろすしかないなぁ…って思ったのぉ…」

「そっか…そりゃ、言えないよなぁ。」

「陽ちゃん、ごめんねぇ?」

「そっかそうだったのかぁ…でも、陽ちゃんの事が嫌いになったわけではないけど…」

「でも、今は誰も好きにはなれないだぁ…というよりも好きになってはダメなんだぁ。」

「おいおい、意味深だなぁ…」

「まぁまぁ、それよりも、百合は尊と優子の馴れ初めが聞きたいよなぁ…」

「知ってますよぉ…私が尊と優子に相談にのってもらっていたからねぇ?」

「マジかぁ、知らなかったのは、俺だけかよぉ。まぁまぁ、陽ちゃん、怒るなぁ…って」

「そう言えばさぁ…今度、みんなで旅行いかねぇ〜かぁ?」

「百合は別府だから、俺たちも別府に遊びに行ってもいいかぁ?」

「もちろん、来ても良いけど…私は、たぶん、この世にはいないと思うなぁ…」

「はぁ?百合大丈夫?何を言っているかぁ…意味解っているのぉ?」

「本当の事だから…」

「少しは痩せたけど…元気じゃん。それに髪の毛もサラサラだし、うらやましいなぁ…」

「これでも…そう思う?」

「髪の毛がないのぉ…白血病なのぉ…末期だって…」

「マジかぁ…とにかく、髪の毛は戻せって…」

「もう、しんみりさせて、ごめんねぇ。」

「笑っよぉ…笑って欲しいなぁ…たぶん、これで、最後になるから…」

「ばかぁ、最後になるわけないだろう!」

「そうだよぉ…なるわけないだろう!」

「そうよぉ、なるわけないじゃん。」

「そうそう、陽一ねぇ…あの後もねぇ、遅刻の常習犯なのぉ?それに、今でも、怒りっぽいのぉ…」

「笑えるよねぇ?」

「ど、どうしたの?陽ちゃん…?」

「無理だよぉ…こんな状態で笑えねぇ〜よぉ…!涙が止まらないよぉ…どうしたら良いんだよぉ…」

「とにかく、ここでは、迷惑がかかるから、出よう…近くに公園あったなぁ…」


「ほらぁ、水飲めよぉ…」

「ごめんねぇ、陽ちゃんには逢わない方が良いのかぁ?それとも…ちゃんと挨拶しなきゃ…って1年前から悩んでいたのぉ…きっと、挨拶しないで亡くなった事を知ったら立ち直れなくなると思ったから、今回、尊さんと優子さんに頼んだのぉ…」

「私も、本当なら家庭環境が悪くなければ、本気で陽ちゃんと一緒になりたかった。まだ、若いから、大丈夫って思っていたけど、白血病になるとはねぇ…?これも、陽ちゃんの子供を勝手におろした罰だねぇ?」

「でも、逢えて、本当に良かった。ありがとうねぇ。ちゃんと、私よりも綺麗な人を大事な人をお嫁さんにするんだよぉ。」

「わかったよぉ。」

「おい、陽ちゃん、頭上げろよぉ…百合を見送りに行くぞぉ…。」

「わかったよぉ、行くよぉ。」


その後、大分に着いた、百合から「ただいま、帰って来ましたよぉ…陽ちゃんは元気かなぁ?」とメールが入ってきた。

さすがに、3日も返信が出来ないでいると百合から電話がかかってきた。

プルル…プルル…プルル…もう、何だよぉ…

「百合だけど…」

「はぁ、何のよう…?」

「陽ちゃん、元気出してよぉ…何で、何で何だよぉ…何でこんなにも苦しんだよぉ…」

「解っているいる…私も、苦しいけど…陽ちゃんは辛くても生きなければならないでしょ?これから、たくさんの素敵な思い出つくるでしょ?というよりも、私の方が辛いんだから…生きたいのにぃ…」

「おい、電話切るなよぉ…」

「百合、俺だぁ…出てくれ…頼む…」

「はぁ、はぁ…はぁ」

「百合、大丈夫かぁ…?百合、死ぬなぁ…」

「はい、冗談ですよぉ。」

「大丈夫だよぉ…ありがとうねぇ。

百合、元気になったら、大分遊びに行くなぁ…というよりも、ちゃんと、両親に挨拶に行くよぉ…何なら、俺、大分で働く。結婚してくれ。」

「もう、相変わらずに勢いだけはあるなぁ…そういうところは好きだなぁ。真面目だぁ…!ありがとう。でも、今度はちゃんと手を離さないでねぇ?」

「もちろんだぁ…離すものかぁ。それじゃ、ちゃんと頑張って、春には迎いに来てねぇ!じゃ、また連絡するねぇ。」


そして、ベッドに入っていた、眠りについた。


ピンポーン!おめでとうございます。

夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹の想い出を辿る旅に当選しました。


「はぁ、何だぁ、突然?」

「陽ちゃん、来たんだぁ…良かった。来れるか、心配だったけど?」

「あれぇ、吉永 百合だなぁ…久しぶり、あれ、実家に帰ったんじゃなかたかぁ?あれで、誰の子供だぁ…?」

「何を言ってるのぉ?あなたの子供じゃないのぉ…もぅ、4歳よぉ。あなたに似てわんぱくに育ったねぇ。今度、大分の別府の実家にに一緒に帰るでしょ。楽しみねぇ。妊娠した時に帰ったきりだから、3年ぶりになるけどねぇ。」

はい、それでは、上に参ります。

「あれぇ、ここは、熱海かぁ…」

はい、奥様の百合様からリクエストで二人の想い出の地と言うのかぁ…何としても、想い出の地をたどり直したいと…

「あぁ…確かに、あの時は優子が隣にいたからなぁ…」

はい、それでは、これより、鳥の目線で辿っていきます。

まずは、「来宮神社です。」

「そうそう、ここでは、みんなで甘酒とこがし入り汁粉を食べたなぁ…」

「もう、今は二人きり何だからだぁ…」

「あぁ…ごめん、ごめん。」

「でも、こうやって、幸せなのも、縁結びの神様だなぁ…」

「本当ねぇ?でも、本当に陽ちゃんは鈍感だったなぁ…」

「はぁ、もぅ、何度も二人きりになったのに、手をつなぐ事もしないし、キスもしないだもの…」

「しょうがないよぉ…頑張っているのに、勉強の邪魔になると思ったし、何か守って上げたかったからなぁ…軽い女ではないと思っていたからなぁ…」

「まぁ、それはうれしいけど…あまりに真面目過ぎるのもどうかなぁ?」

「おい、おい、おまえが言うかぁ…まぁ、正直、どう付き合えば良いのかぁ?解らなかった。」

「でたぁ…ご飯食べて、綺麗な景色見て、映画でも見て、ショッピングして、たまには愛の言葉でもかけてくれでは良いだけじゃん。」

「そうだったのかぁ…」

「それに、好きでもない人に会わないし、一緒にいたいと思う?」

「会わないなぁ…」

「でしょ…?

もちろん、いきなり好きですアピールされると引くけど…結構、多いねぇ…まぁ、悪くはないけど…真面目な人に多いかなぁ…襲われそうで怖いけど…」

「かぁ…男心が解っていないなぁ…それだけ、男は一途何だよぉ…誰でも良ければ適当に対応するけど、本気な女ほど狩るのさぁ!」

「なるほどなぁ…そう何だぁ!」

「それじゃ、こっちが待てなくて、狩りをしたのぉ?」

「そうだよぉ…もちろん、もう少し話したりすれば、性格なども理解出来るけど、そうなると襲うこと出来るかぁ…?」

「出来なくなっちまう!友達だから、話すことは出来ても一線を越えたいと思わなくなるのさぁ…」

「そう言えば、そうかも…」

「だから、酒の勢いで付き合ってしまうんじゃないかぁ?それに、男よりも女の方が気持ちが良いのは持続するらしいぞぉ…」

「もう、何を言っているのかしら?でも、そうかも…」

では、ゆっくりと、山側を通りながら、海岸沿いを辿っていきます。

「あれぇ、あれはサンビーチだねぇ?」

「あぁ…本当だぁ…懐かしいねぇ。」

良かったら、行きますか?

「えぇ、降りる事出来るんですか?」

あぁ…、すいません、実際に触ることも、食べたり、飲んだり出来ますが…この後に、食事がありますので控えて頂ければ…

「陽ちゃん、見て見て、冷たいよぉ…」

「百合、本当だぁ…すげぇ〜なぁ…本当にしょっぱいなぁ…」

「あぁ…本当だぁ…しょっぱいなぁ…」

「ちょっと、冷たいじゃない…」

「ほらぁ…」

「ちょっと、汚れたじゃない…」

「やっぱり、百合はかわいいなぁ…」

では、そろそろ、おいて行きますよぉ。

「ちょっと、待って、待って…」

はい、次はこちらです。

「あぁ…お宮の松だぁ…」

「金色夜叉の貫一とお宮だなぁ…」

確か、真似したなぁ…

「あの時出来なかったから、貫一とお宮になって写真取ろうよぉ…」

「大丈夫ですか?」

はい、大丈夫ですよぉ…

最近では、その逆をとる女性も多いですけど…

「ちょっと、ちょっと、それは言わないで下さいよぉ…」

「撮るよぉ!」

「はい、はい、撮りましょう…」

「はぁ、これからが恐ろしいなぁ…」

はい、それでは、上に上がっていきます。

「陽ちゃん、ロープウェイだよぉ…」

「本当だねぇ…」

「すごいよぉ、博樹見てごらん?」

「あぁ、本当だぁ…すげぇ。」

「えぇ、博樹?」

「やだぁ、自分の子供の名前を忘れたのぉ?」

「一緒に決めたでしょ?将来は博士にでもなるかぁ…大学院にでも行って私達が出来なかった夢を実現して、しっかりと大地に根を下ろして大樹になるようにって…」

「そうだったなぁ…」

「ほらぁ…見て、お城があるよぉ?」

「そうだよぉ、あそこからみる、熱海の町並みは最高なんだぞぉ?」

「へぇ、そうなんだ?早く見てみたいなぁ〜?」

「ほらぁ…着いたぞ見えるぞぉ。」

はい、ありがとうございました…

これは、あなた方が本当は見る事が出来た映像です。

「そんなぁ…こんなの辛いですよぉ…」

「私達の博樹は何処ですか?」

解りました…これから、博樹君との最後の晩餐会にお連れ致します。

こちらへどうぞ。


こちらです。

「ここは、熱海城からの眺めですねぇ?」

そうです。

「こんな素敵な場所があったんですねぇ?」

では、博樹君をお呼び致します。

「パパ、ママ、逢いたかったよぉ…一緒に色々な場所で遊びたかったんだぁ…何でだよぉ、何で僕は生まれる事が出来なかったのぉ?」

その言葉を聞いた瞬間、崩れるように、二人はしゃがみこみ抱き合いながら…「博樹、許してくれ、俺たちが馬鹿だった…っと嗚咽とともに泣き崩れたのだった…」

「もう、パパもママも顔を上げてよぉ…僕ねぇ…死ぬ前に一度だけ、両親の顔を見たかったんだぁ…ずっと、逢いたかったからねぇ…楽しくご飯食べようよぉ…笑ってよぉ?」

「そうだよぉなぁ…ハッハッハッハ〜」

ほらぁ、ママも笑ってよぉ…

「そうだねぇ…ハァハァハァ〜」

「ありがとう。」


はい、それでは、サンビーチから熱海城をバックに撮った写真を再現した食事をお持ち致します。


まずは、食前酒をお持ち致します。

こちらは、「博樹の雫」になります。

熱海のお酒「宮のしずく」に博樹君の逢いたかった想いを凝縮しております。

一口飲めば、博樹君との想い出が味わえます。

「やだぁ〜、誕生のシーンですねぇ?」

「本当だぁ…手を握っていたんだなぁ…」

これ以上は、映像は差し控えさせて頂きますが…陽一さんと百合さんの脳裏でお楽しみ下さい。

これで良いですか?博樹君?

「うん、もう、忘れないよねぇ?」

そうですねぇ…忘れないと思いますよぉ…


では、これより、一枚プレートをお持ち致します。

では、こちらが、熱海城を型にはめて、酢飯になります。

そして、今回は夜空に見えるのは、熱海海上花火…シュ〜パンパン シュ〜〜〜〜〜パンパン…

あぁ…花火を上がりましたねぇ?

「えぇ…さっきまで明るかった熱海城から景色が暗くなって花火とは…すごい、演出ですねぇ?」

はい、こちらは百合さんのリクエストで食事前の演出で…

どうぞ、こちらのベランダで思う存分、二人きりの時間をお楽しみ下さい。

「陽ちゃん、見て、見て…綺麗だねぇ?」

「百合、本当だなぁ…とても、綺麗だねぇ?」

「もっと、近くによって…ほらぁ。」

「もう、陽ちゃんたら、人が見ているよぉ…」

「大丈夫だよぉ。」

「本当に夢のようで素敵ねぇ?」

「何、言っているんだぁ…百合の方が花火より、素敵だよぉ。」

…そして、キスをしたのだった。


はい、そろそろ花火も終わりになり、名残惜しとは思いますが、料理の説明に入ります。

先程、見た花火をイクラ、マグロ、ハマチ、ウニ、エビ、カニなどの魚介を配置致しまして花火に再現しました。

「すごいよぉ、パパ、ママ、花火だぁ…」

「すごいなぁ…博樹もお寿司は初めてだよなぁ?」

「うん、初めてだよぉ。うれしいなぁ…ねぇ

?食べて良い?」

博樹君は待てないねぇ…食べながらで大丈夫ですよぉ…

それでは、次は写真には載ってはいませんが…熱海にきたら、伊勢海老の姿焼きと伊勢海老の刺身と鯛の甘露煮は食べてもらいたいと思いまして…真ん中のお皿をお開け下さい。

ドライアイスの煙とともに、姿を現した。

「すごいねぇ…こんなに、豪華なのは始めて!この2つだけで、2万円はするねぇ?」

「百合、値段の話はやめておけって…」

「そうだねぇ…エヘェ。」

そして、熱海駅前平和通りで食べ歩いた、温泉まんじゅう、手焼きせんべい、串ぬれおかき、お魚のすり身です。

「もう、こんな演出最高!」

「そうだねぇ…熱海をまるごと運んできたみたい。」

ありがとうございます。

では、最後にデザートになります。

こちらは、「金色夜叉」貫一とお宮の銅像を100分の1に再現した、チョコレートケーキになります。

「本当だぁ…すごいなぁ…」

「これ、食べる事が出来るんですか?」

はい、すべて食べる事ができます。

「いやぁ、最高、こんな素敵な演出、こんなにも贅沢な食事は初めてです。感動して涙が止まりません。ありがとうございました。」

「私も、こんなに感動して、鳥肌が立つような食事は初めてです。これを作るのはさぞかし、大変だったのでは?」

そうですねぇ…4年以上はかかっていると思います。

といっても、ここでの年月にはなりますが…

博樹君は?

「最初で最後の食事だったけど、両親と過ごす事が出来て、本当に嬉しかった。ありがとうございました。」


はい、それでは、夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹をご紹介致します。

今日は、奇跡の出逢いにより、素敵な想い出を共有出来た事にとても感謝しております。

その特別な日に、想い出を辿る料理を提供出来、素晴らしい日になったと想うとうれしくなります。

ここでの、僅かな時間をゆっくりとお過ごし下さい。

こちらの都合になりますが、顔をお見せ出来ませんが、ご了承願います。

声だけとなった事をお許し下さい。


「えぇ…、そんな、せめて一目だけでも…」

「お願いしますよぉ…」

申し訳ございません。


「そうですかぁ…ありがとうございました。」

「最高の料理をありがとう!」


そう言えば、博樹君から、最後に両親へのコメントがあります。

宜しいでしょうか?

「やだぁ、博樹ったら、うれしいなぁ。」

「いやぁ、照れるなぁ…何て言うのかなぁ…」

「はい、宜しくお願い致します。」

あれぇ?緊張してるのかなぁ…

「大丈夫です。伝えます。しっかりと聞いて下さい。」


「おまえたちは最低だぁ!地獄に堕ちて償え!!」


そんなぁ…そんなぁ…そんなぁ…そんなぁ…


「はい、あぁ…そうなんですかぁ…百合が亡くなったのですか?」

「いつですか?」

「昨日の夜ですねぇ…」


一方、昨日は最高だったなぁ…

「百合に告白したから逢いに行かなきゃなぁ…楽しみだなぁ…たまには、コンビニに行って、祝い酒だなぁ…」

「いやぁ、気分が良いなぁ…最高!最高!」

「久しぶりに、この橋の上で飲むぞぉ…3本目…うまい、うめぇ〜なぁ…」

「やべぇ、足元がおぼつかねぇ…」

「あぁ…、ヒュー……バチャン!!」


次の日、同じ時刻に亡くなった事が判明したが…二人の顔は満面の笑顔とはいかずに、誰かに驚かせられた、無惨な顔で亡くなったが、目頭から涙を流していた事を誰一人として気づかなかったのであった…










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