第5話 あの頃は

私が夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹にあったのは、奇跡だったのか?偶然だったのか?それとも、必然だったのか?それとも、夢だったのか?天使の誘惑それとも悪魔の誘惑だったのか?悪夢だったのか?幻想だったのか?は未だに解らない。

ただ、止めどなく涙が溢れた事だけを覚えている。


大野 孝義(42)は中学で日本史を教えていた。授業は荒れ放題で、私立の高校を受験する生徒はイヤホンをつけて、問題集をやったり、公立の高校を受験する生徒でさえ、スマホを取り出して、ゲームをやったり、ラインでやり取りをしていた。

しかし、その中に、独りだけ、一番前の席で授業を聞いている生徒がいた。

その生徒は山田 康義(14)だった。

何でも、将来の夢が歴史の先生になる事らしく同じ道を辿ると思うと考え深い…とはいえ、私もこの生徒のおかげで少しだけ救われていた。

やはり、この生徒がしっかりとノートをとっている姿を見習う生徒が一人、二人と増えていった。

「先生は何で、歴史の先生を目指したのですか?」

「そうだなぁ…何でだったかなぁ…あぁ…思い出した。「兎の眼」だぁ…。」

「はぁ?「兎の眼」とは?」

「小学校の時なぁ…灰谷 健次郎「兎の眼」という作品を読んでからかなぁ…」

「えぇ…どんな話なの?」

「わかった、わかった、少しだけ話すからなぁ…その後は、授業聞けよぉ。」

まったく、好奇心だけはあるなぁ…山田は大変だなぁ…おまえたちは幼なじみだからなぁ…?

菅原 美幸(14)は小学校から山田と唯一、同じクラスだった。

「焼却炉に住む、じいさんと子供と新任の女の教師の話だぁ…」

「わかんない…だから、なぁ…その子がいじめられているんだぁ…お金もなければ汚い格好をしていたり、蝿を集めているんだぁ。でもなぁ、その蝿がとても貴重な蝿ですごく純粋な心を持っているんだぁ…そして、女性の教師が今まで、差別していた事に気付いて変化するんだぁ。」

「おっと、ごめんなぁ…つい、話してしまった。」

ところが、突然、教壇の上に立つて「おまえたちは先生の授業を聞けよぉ!今、感動している話をしているんだぁ!この授業は将来きっと役に立つからなぁ!」と叫んだぁ…。

大野先生は「自信がない、相手が聞きたくなる話をしろよぉ!自信がないから、話がつまらなくなる。」

「あれぇ?このフレーズは聞き覚えがあるなぁ…誰かに言われた事があったなぁ…」

「誰だったかなぁ…木下だぁ…中学の時に同じクラスで隣の席だったなぁ…」

その後は、授業を生徒が聞くようになった…


その後、山田と菅原が職員室に謝罪にきた…「すいません、こいつが又、問題起こしまして…」

「何かぁ…悔しくてさぁ…」

「そう言えば、菅原のお母さんは名前は何だぁ…薫だけど…?」

「薫って、木下 薫かぁ…?」

「えぇ…、先生、お母さんの事知っているのぉ?」

「知っているどころじゃないよぉ…ここの卒業生で、同じクラスだったぞぉ。」

「へぇ〜、そうなんだぁ。知らなかった。家に帰ったら聞いてみようっと…」

「おい、変な事聞くなよぉ…まいたっなぁ…」



「お母さん、ただいま。」

「あらぁ、美幸早いわねぇ?」

「ねぇ?大野先生って知っている?」

「大野先生がどうしたのぉ?」

「大野先生って、うちの中学の出身でお母さんと同級生だったらしいけど知っている?」

「えぇ…マジでぇ!名前は同姓同名だから、気になってはいたけど先生になれたんだぁ…」

「えぇ…どう言う事?実は、とても、勉強が出来るタイプではなくてねぇ…歴史だけが好きだったけど純粋な性格だから、女の子と話すと目を見て話せなくてねぇ…だから、イラッとして、自信がない、相手が聞きたくなる話をしろよぉ!自信がないから、話がつまらなくなる。って叫んだなぁ…その後は、自信を持って話すようになったなぁ。でも、打たれ弱いから気になっていたのよぉ。中学を卒業してから高校の時に付き合っていたんだよぉ。」

「へぇ、知らなかったなぁ…いつまで付き合っていたのぉ…?」

「高校1年の秋までだったかなぁ…まぁ、今でも大事な想い出かなぁ…写真も取ってあったと思うなぁ…鎌倉にデートに行った時の…

やだぁ、何を言っているのかしら?」

「ねぇ、本当のところ、何処に惹かれたのぉ?歴史が好きで自信がなかったのは解ったけど…違うよねぇ…」

「確かにねぇ…とにかく、相談にのるととにかく、真剣だったなぁ…あの言葉を叫んだ翌日には、一人ごとが増えたけど…。もともと、ぶつぶつ言ってたけど、常にイヤホンをしていたから、英単語でも、勉強していると思ったけど…実は何も流されていなかったのぉ?」

「えぇ…何でなのぉ?」

「実は、一人ごとの声が大きくて小学校の時にいじめられたらしいのぉ…」

「なるほどねぇ…確かにそれなら、気付かないよねぇ…」

「もちろん、当時の担任は、その事を知っていたから、授業中は耳が悪いふりして補聴器をつけていたけど…」

「へぇ、そうだったんだぁ…意外だなぁ…」

「そうそう、その独り言がとにかくおもしろいし何か物語になっているのぉ?今でも、覚えているけど…たまたま、授業中に「あぁ…辛いなぁ…机に向かうのしんどぉ…」って、ある生徒が叫んだのぉ?」

「でぇ、何て言ったの…」

「私が隣だったから、私はハッキリと聞いたけど…「解るなぁ、本当にしんどいよなぁ。でも、ちょっと、そこのお嬢ちゃんよぉ…待ちなされ…。さぁ?記憶を呼び起こしてごらん〜いくぞぉ、レッツ シェキングタイム〜うわぁ、ふぎゃ、どよ〜ん。ふぅ…ここは?今日は初めての歯みがきです。ウキャキャ…見て、見て、笑っているわぁ。でも、大丈夫かぁ…初めての歯みがきは泣くらしいぞぉ?はい、口の中に可愛い熊ちゃんが入りましたよぉ…おいしい、苺味。ウキャキャ…はい、入りましたよぉ…ゴシゴシ、サッサ…ゴシゴシ、サッサ…ゥウ…ウギャ〜なったよなぁ。最初は歯みがきと同じで嫌なものだぁ…俺もこの世界から、勉強何て無くなれば最高だと思ったなぁ…でもなぁ、違うんだぁ…違うんだぁ、違うんだぁ!というのも、歯みがきを嫌いでやめたらどうなる?口くさぁ〜、やばくないってなるやん?そうなると、アイツヤバいって、マジ、ゴキブリ飼ってるんやん?になるなぁ…、そうやでぇ、仲が良かった友達が一人減り、二人減り、しまいには、悪い虫がわんさか、パレードやパーティーやるぜぇ!そして、気付いた時には綺麗なカーペットに染みが出来て、マジかぁ…こんなところに穴開いてるやん。ギョエ〜マジかぁ…こりゃ〜補修出来なくなった…が虫歯や、差し歯や、入れ歯やぁ。だから、勉強はしなきゃならん、そして、気付いた時には手遅れになっちまう。そして、こう言うねん、ほんまぁ、アホやった、あの時、勉強しておきゃ良かったてなぁ。だからこそ、歯みがきと一緒やぁ。嫌な事から逃げたら、あかんのやぁ。少しずつで良いのだぁ…10秒、30秒、2分で良いのだぁ…習慣にすれば、当たり前になる。でもなぁ、歯みがきもやり過ぎると歯茎を痛めてしまうから…まぁ、長くても5分やなぁ…という事は10時間やなぁ。よしゃ、良いきっかけになったぜぇ…バキューン!撃たれた…」ってなるのぉ!」

「そうなんだぁ…面白いねぇ!」

「でしょ、もっと聞きたくなるでしょ?」

「そうだねぇ。何か解りやすいし、ためになるし、面白いねぇ。」

「それから、もっと聞きたくなってくだらない質問をしたなぁ…たまには、駅前のハンバーガー屋に行ってハンバーガーセットを頼んで、20時過ぎまで話したなぁ?この人の脳味噌を頭を缶切りで切ってご飯にのせてウニのように醤油垂らして食べたら、どんな味がするんだろう…って思ったりしたわぁ。」

「へぇ、そうなんだぁ…確かに、美味しいかも…他には?」

「他には、そうそう、どうすれば、売れない物と言うよりいらない物が売れると思う?」

「はぁ?ようするにゴミ?」

「そうねぇ、いらない人から見ればゴミになるし、必要な人には宝物にもなるけどねぇ?」

「へぇ、どんな話?」

「こんな話…どうすれば、いらない物が売れるかぁ…なるほどなぁ…じゃ、質問だけどどうして靴を履いている?」

「えぇ…足が汚れないし、足に傷をつけない為、他には足を守る為かなぁ…」

「なるほどなぁ…でも、靴を履かない国は実は意外と多いし、靴を履かない習慣の人は多いんだよなぁ…靴を見た事もないからねぇ…昔、昔、二人の靴屋さんが島で靴を売ってこようと考えた。そこは、港町から数キロしか離れていない綺麗な島でそこには、原住民が住んいた。漁を生活の支えにしており、港町に魚を卸をして、顔馴染みではあった。もちろん、二人の靴屋は、意気揚々として、靴を大量に発注出来ると思った。しかし、現地に行くと愕然とした。」

「えぇ…何でってなるよなぁ?」

「そうだねぇ…何でなのぉ?」

「聞きたいかぁ?」

「そりゃ、聞きたい…よぉ。教えて。」

「じゃ、帰りにクレープ奢って?」

「解った。」

「実はなぁ…サンダルすら、履いていなくて、皆が裸足なんだよぉ。そう、靴を履く習慣も見た事すらないんだぁ。それに、危ない物何て回りには何もないんだぁ。

その光景を見て、最初は二人は愕然としたけど…一人は「やった!宝の山だぁ…って叫んだんだぁ!」それを見た一人は「頭がいかれたなぁ、アホやんこいつはっと…」と言ってそそくさと港町に帰って行った。

しかし、一人で帰るなら、一緒に帰ろうと行って帰って行った。」

「ちょっと、ちょっと、一緒に帰ったら、靴は売れないじゃん?」

「だよなぁ…でも、一人でその後、島に行ったんだぁ。ある物を携えて…何だと思う。」

「そうだなぁ…魚と交換する肉とか?ナイフで脅す為のナイフ?わかった…お金じゃない?」

「おいおい、そうじゃないよぉ。2000本のビンに入ったジュースだぁ…」

「えぇ…何で?ジュースを売ったのぉ?」

「というのも、ビンに入ったジュースは当時は島では、見た事がなかったんだぁ。だから、漁師にみせて飲んでもらったら、瞬く間に売れたのさぁ…めでたし、めでたし。」

「って、肝心な靴は売れてないじゃん!」

「ハッハッハッハハッハッハッハ…気付いていないのかぁ?何で、ビンに入ったジュース何だぁ?それも、漁師にみせて飲ませた?そして、売った?子供でも、女性でも良かったのでは?」

「確かに、そうだねぇ…、何でなのぉ?」

「簡単だぁ…荒くれものだぁ…という事は、飲み終えたビンはその変に投げ捨てるし、割れる事もあるよなぁ…?」

「そうだねぇ…」

「だよなぁ…魚を取って来たらどうする?女と子供が取りに来る。」

「そして、怪我をする?」

「なるほどねぇ…必要に迫られて買うのかぁ。」

「そうだよぉ、買う環境や、必要になればどんな物でも、売れるのさぁ…もしかしたら、壊れた眼鏡でさえも売れるかもなぁ…そこに、宝の地図があって、老眼で片方でも見たければ…壊れた眼鏡が10万で売れるかもなぁ…だから、最近はのネット社会だから仮想オークション会場などに出品すると意外と売れるかもなぁ…」

「へぇ〜まんまと、クレープを奢ったんだぁ?」

「でも、途中で言われたら、奢ってしまうよぉ。でも、確かに、面白いし為になるし、聞きたくなるねぇ?」

「そんなに、仲が良かったのに、何で別れたのぉ?いつまでも、話を聞けそうなのにぃ…」

「確かにねぇ…常に真剣に、時には、親身になって話を聞いてくれて、優しかったけど…まぁ、お父さんから告白されたからよぉ…」「へぇ、そうなんだぁ…残念だなぁ…」

「そりゃ、当時は年上だと言うだけで舞い上がる年なのよぉ…それに、付き合っていたら、あなたは存在しないでしょ。」

「確かに、そうだけど…でも、離婚したじゃん。」

「まさかぁ…あんなにお金にルーズでギャンブル好きとは知らなかったわよぉ。それに、勝手に借金の保証人って…まぁ、私もちゃんと読まないで印鑑を押したのが悪かったけど…」

「へぇ、でも、大野先生はまだ、独身だよぉ?今からでも、より戻したら?私は良いけどなぁ…」

「何、言っているのぉ…私は、男は懲り懲りよぉ…」

「でも、素敵だと思うけどなぁ…それに、ダブルワークしてしんどくないのぉ?社員食堂の調理と居酒屋でしょ?」

「馬鹿ねぇ…あなたがいるから、頑張れるんじゃないのぉ! 一人なら、今頃、男つくって結婚してるわよぉ…」

「って、私がいないようになればと聞こえますけど…」

「冗談、冗談よぉ…今日は、ハンバーグ作ったから、食べましょう。」


次の日、菅原がニコニコしながら、職員室に朝早くから来たのだぁ。

「おはようございます。大野先生?」

「どうした、こんなに朝早くから?部活かぁ…?担任の萩原は来てないぞぉ…」

「違いますよぉ…お母さんから、大野先生の事聞きましたよぉ…」

「ちょっと、ちょっと、待て、待て、俺にとっては恥ずかしい記憶だぁ…勘弁してくれよぉ。」

「お母さんは俺の事何て言ってた…あいつには振られているから、素敵な想い出として、そっとして欲しいなぁ。」

「お母さんは今でも、大好きみたいですよぉ。」

「はぁ?今でも素敵な御主人と仲良くしているんだろう?菅原のままじゃないかぁ?」

「へぇ、知らないのぉ?中学に入学する前に離婚してますよぉ。15歳までは、菅原のまままでいるけど…中学を卒業したら、木下に戻しますよぉ…」

「そうなんだぁ…なるほどなぁ。」

「あれぇ?吉報だと思ったんだけどなぁ…」

「おい、おい、あいつと別れて26年だぞぉ…確かに、20歳頃まで引きずっていたけど…大学に行ってからは忘れようと努力して、教師になったんだぁ。」

「でも、今でも、好きだから、独身何でしょ?」

「ありがとうなぁ…でも、教師と生徒の母親の関係は流石にまずいだろう?」

「かぁ…古いなぁ…今はそんな時代ではないけど…なぁ。まぁ、今後、電話するように伝えるねぇ!お父さん。」

「おい、菅原!大人をからかうなぁ…」


「お母さん、ただいま。」

「美幸、お帰りなさい。どうしたの?ニコニコして…何か楽しそうねぇ?」

「今日ねぇ?大野先生に昨日の話をしたのぉ…さりげなくねぇ。」

「そうしたら、まだ、夫婦が仲良くしていて、離婚した事知らなかったよぉ…」

「ちょっと、何でそんな話をしたのぉ!私も大野先生が先生になって母校で働いている事も昨日、知ったのに…それに、他のクラスの副担任で接点もないんだから?変な噂が立つと私が学校に行けなくなるじゃない!」

「お母さんはすぐに嘘がばれるなぁ…解りやすいなぁ…うれしいのにねぇ…さぁ、勉強しよっと…」

「もう、美幸ったら…」


一方、その頃

「それにしても…木下がなぁ…離婚していたとはなぁ。」

「今日は、期末テストの問題の作成を早めに切り上げて帰るかなぁ…たまには、昔の写真でも見て酒でも飲んで明日、早めに来て作成するかなぁ…まぁ、今でも、目覚まし時計を起こすから、早めに寝るかなぁ。」

「今日は、お先に帰ります。」

「あらぁ、珍しく早いですねぇ?大野先生はいつも、最初に来て、最後まで残っているから同僚は心配してたんですよぉ?」

「ですよぉ、たまには、身体を休めて下さいねぇ?」

「そうだよぉ、この際、婚活でも…」

「いやぁ、まだ大丈夫ですよぉ。まぁ、その話は又、機会があれば…」

「ですねぇ。先輩、期待しておいて下さいよぉ…国際学院大の先輩の為に、後輩に声かけておきますねぇ。」

「おいおい、国際学院大はそんなに大声で叫ぶなって…日本理科大や慶王大や、同郷社大とは違うんだからぁ…」

「何、言ってるんですか?箱根駅伝に出たらメジャーの大学ですよぉ…胸、張りましょうよぉ…」

「先輩が頑張ったおかげで教師の夢を追いかける事が出来たんですから…それに、一番、頑張っている事は同僚は知っていますよぉ…」

「そうですよぉ、大学何て何処でも良いんですよぉ…採用試験に頑張って合格して、今では、ベテラン教師ですよぉ。」

「ありがとうございます。それでは、お先に失礼致します。」

「それじゃ、お疲れ様です。」


「かぁ…俺もベテラン教師かぁ…入った当時は大学名言った瞬間に馬鹿扱いだったのになぁ…3浪して入ったら、周囲も愕然としていたよなぁ…本来なら、3浪して、入るとこじゃない…日東駒専やMarchなら何とか許せるけど…何て言われたなぁ…」

「それに、木下がなぁ…もしかしたら、世界一幸せなのかなぁ…?」

さてぇ、駅前の交差点に着いたなぁ…

あれぇ?何かあの車、おかしくないかぁ、かなりスピード出しているけど…ちょっと、待て、おばあちゃんが渡れてないじゃないかぁ…

「おばあちゃん…ちょっと待ってろぉ!どいて、どいて…」

「あぁ…すまないねぇ。」

「ちょっと、見て!キャア〜!」

「キキィ…ドーン、バン!」

「あれぇ?俺、浮いているなぁ…おぉ…すごいなぁ…みんなにみられているなぁ…あぁ…そう言えば、交差点のミスドのパイなぁ…最近、食べていなかったなぁ…そう、そう、今日、天気が良かったから車で来なかったなぁ…こんな事になるとはなぁ…そういやぁ、木下に告白してなかったなぁ…逢いたいなぁ…元気な笑顔を見たいなぁ…ドスン、バタン…」

「ばぁ〜ちゃん、大丈夫かぁ…あたしは大丈夫だけど…あの人が…」

「誰かぁ、誰かぁ、いませんかぁ?」

「救急車を呼んで下さい。AEDを早く…」

「あぁ…駄目だ…意識が遠のいできた…」


そう言えば、駅の方が騒がしいなぁ…

「なんだろうねぇ?山田行ってみよう!」

「どうせ、何かのセールか何かじゃないかぁ…」

「ちょっと、待って、救急車とパトカーが止まっているから…事故じゃない?」

「それにしても、すごい人混みだなぁ…」

「赤信号無視して、交差点を突っ込んで来て、ビックリだよぉ!人をはねて、電柱にぶつかって…」

「すごいなぁ…これは!」

「車がかなり、へこんでいるなぁ…」

「見ろ、すごい出血の跡が…」

「えぇ…何か、うちの中学の先生がおばあちゃんを助けて…」

「私も、びっくりしたわぁ…」

「突然だからねぇ?」

「でぇ?誰なんだよぉ…」

「大野先生がぁ…」

「マジかぁ…」


ピンポーン!おめでとうございます。

夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹の想い出を辿る旅に当選致しました。

「はぁ?何だぁ…突然?何が起こったんだぁ…」

「あぁ…お久しぶりねぇ?元気だった?はい、誰ですか?覚えてないのぉ?嫌だなぁ…初恋から20年以上経過したからって覚えてないのは辛いなぁ…」

「どちら様ですか?こんな綺麗な人は初めてですが…」

「もう、忘れたのぉ?木下 薫です。」

「嘘だろぉ…こんなに綺麗とは…」

「そうだよぉ。お世辞でも、嬉しいなぁ…私は、木下 薫だよぉ…」

「いやいや、昔から綺麗だったけど、今はもっと素敵になったなぁ…?マジかぁ…、すごく逢いたかったなぁ…」

「私もよぉ…大野君にはすごく逢いたかったなぁ…」

「それにしても、老けたねぇ…?」

「おい、薫、久しぶりに逢って、第一声が老けたねぇ…はひどくないかぁ?」

「ごめん、ごめん、でもなぁ…眼鏡かけているし、少し、背が縮んだ?」

「そりゃ、大学に入る為に苦労したよぉ…歴史と国語は得意教科だったけど…英語が中学生レベルだったから、3浪もして大学に入って、2回も留年した。笑えるよなぁ…まぁ、そのおかげで教師になれたけど…」

「そうなんだぁ…でも、頑張ったんだねぇ?すごいなぁ…」

「そりゃ、薫にいつか逢える時には、振られた男が立派になっていないと…」


はい、はい、そろそろ良いかなぁ?

これより、上に上がって行きます。

おぉ…すごいなぁ…、鳥になったみたいだなぁ…

それでは、今回は江ノ島から鎌倉に向かって出発です。

「ねぇ、見て!江ノ島が見えるねぇ?」

「本当だなぁ…江ノ島は夏は最高だよなぁ?」

「私は、しらすアイスが食べたいかなぁ…」

「えぇ…そんなのあるんだぁ…」

「江ノ島に行った時に気になっていたけど、まだ食べた事がないからねぇ?」

「そうなんだぁ…少し、勇気がいるなぁ…」

「でも、美味しいらしいけど…」

「今度、大野君ご馳走してねぇ?」

「解ったよぉ。」

「でぇ、何時にする。明日かぁ…」

「そうだねぇ、いつかみんなで行きたいねぇ?」

「おいおい、俺とじゃないんかい?」

「どうしようかなぁ…」

名残惜しですが…これより、江ノ電に沿って鎌倉に行きます。

「あぁ…江ノ電だぁ!」

「懐かしいなぁ…江ノ電からの風景は懐かしくて、好きだなぁ。」

「私も大好き。電車と民家がぎりぎりで通るのも、魅力だけど、やっぱり、湘南の海が途中から、広がる光景とか、江ノ電に沿って道があるけどそれに、沿ってドライブしている車の中を想像するのも好きだなぁ。特に、夕方は幻想的で好きだなぁ…」

「確かになぁ…たいてい、デートであの道は一度は通るからなぁ…?」

「へぇ?どんな会話をしたのぉ…」

「まだ、ないよぉ…」

「そうなんだぁ…チャンスはあったでしょ?」

「そりゃ、あったけど…木下とドライブしたかったから、ここは通らなかったんだぁ」

「えぇ…、そうなんだぁ。うれしいけど…おもいよぉ。」

「おい、マジかぁ…男はなぁ…好きな人と行きたい場所は密かに行かないものなんだよぉ。」

「そうなんだぁ…行けば良いのに…」

「そうだけどなぁ…」

はい、解りました。それでは、車を用意しましょう…これは、予定にはない事ですが…

はい、えぇ…そうなんですよぉ?

大丈夫ですか?

あぁ…そうですかぁ…いえいえ、ありがとうございます。

次の吹越から稲村ヶ崎まで、ミラーイースですねぇ…はい、夕方でお願い致します。

それでは、車を用意致しました。

なお、今回は海側走行で夕方です。

「えぇ、マジですかぁ…?それに、海側は鎌倉の逆ですよぉ?」

はい、ここでは、可能です。

「やった!うれしいなぁ…」

「あぁ…これは、新型のミラーイースだぁ…」

「燃費も良くて、経済的で安いから、同僚も持っているんだよなぁ?」

「大野君は何を運転しているのぉ?ワゴンR」

「そうなんだぁ…私はタント…」

「それじゃ、乗りましょう。」

「はい、それでは、安全運転でいきますよぉ…シートベルトをお締下さい。」

「でも、嬉しいなぁ、孝ちゃんの運転でドライブは夢だったんだぁ…」

「俺も薫を乗せて運転する事が出来てうれしいなぁ」

「見て、ここは鎌高だねぇ?」

「本当だぁ…江ノ電を見ながら学生生活はどうだったのかなぁ?楽しかったのかなぁ?」

「どうかなぁ、意外と湘南の海に入らないで、学生生活を終えた人もいたかもなぁ…でも、その一方で夕方の浜辺で愛を語ったりしたのかもなぁ?」

「そうだねぇ、孝ちゃんはどっちかなぁ?」

「そりゃ、薫と手を繋いで夕日を見ながら愛のセリフを言ったかもなぁ…」

「せっかくだから、言って見てよぉ…」

「薫、今、車を運転しているから、無理だぞぉ…」

「えぇ…つまんないなぁ。」

「解ったよぉ…ちゃんと聞いておけよぉ!「おまえが好きだぁ〜〜〜〜〜!この世の中で一番、大好きだぁ…!」」

「ビックリした。私も大好きだよぉ。チュ。」

「初めてだなぁ…」

「おい、薫見てみろ!稲村ヶ崎だぞぉ…?」

「降りよぉ…」

「よし、降りよう。」

「見て、江ノ島が見えるねぇ?」

「本当だなぁ…夕方の江ノ島は綺麗だなぁ…でも、薫が一番綺麗だなぁ…」

「もう、何言っているのぉ?エイ!」

「おい、薫、海の水かかったぞぉ…こらぁ。」

「孝も私を捕まえてみなぁ…あぁ…冷たいなぁ…でも、うれしいなぁ。」

「はぁ、疲れたなぁ…木があるから、休もう…」

「本当だぁ…休もう」

「ちょっと、待って、ジュース買って来る。」

「えぇ…お金は?」

「さっき、もらった。大丈夫。」

「はい、おまえが好きだった、午後の紅茶レモンティー。」

「よく、覚えているねぇ?」

「そりゃ、忘れるかよぉ。おまえが好きな物は何だって覚えているさぁ…コンビニのカレーまんよりも、ピザまんが好きで肉まんの方が好き、でも一番好きなのはあんまんとレモンティー。実は、苦い抹茶が大好き。」

「本当によく、覚えているなぁ…」

「だってさぁ!コンビニに行くと毎日、お経のように口癖のように言ってたんじゃん。そりゃ、覚えるさぁ!」

「それに、唐揚げとキャベツがあればご飯3倍はいけますだったなぁ…」

「もう! でも確かに変わっていないかも…」

「でも、孝ちゃんも唐揚げとキャベツは大好物だったねぇ?」

「そうだったなぁ…よく、お弁当の唐揚げだけ交換したねぇ?あまりに好き過ぎてタッパーに入れて、休み時間は唐揚げパーティーだったなぁ…」

「でも、あれは、孝ちゃんが好きだったけど…みんなに悟られない為だったんだから?」

「まぁ、孝ちゃんも同じようにタッパーに入れて持って来たねぇ?」

「そりゃ、薫が好きだったから、キャベツ多めに入れたなぁ…」

「よく、家に来て、勉強教えるついでに、唐揚げを食べて帰ったねぇ?」

「そうそう、薫に似ずに肝っ玉かーちゃんだったなぁ…」

「元気なのかぁ?」

「元気だよぉ、相変わらずにねぇ…」

「でもなぁ…そんな薫を見てみたいなぁ…」

「もう…」

お互いに目が合い、唇を重ねたのだぁ。

はい、すいません、そろそろ時間がないので、戻って下さい。

車は置いていって大丈夫です。

稲村ヶ崎駅に向かって下さい。

「はい、今、行きます。ほらぁ。」

「孝ちゃんの手って、温かいだぁ…」

「そりゃ、生きているからだなぁ…それに、これからは薫と美幸ちゃんの為になぁ…」

「もう、何を言っているんだから、まぁ、考えておくねぇ…」

「おぉ…言ったなぁ…俺も頑張らなきゃなぁ!」


はい、それでは、これより、江ノ電を上から見下ろしながら、長谷に向かいます。

「はやぁ…」

そりゃ、そうですよぉ…鳥のように早いのですから…いやぁ、本来なら鎌倉までは数秒ですから?

「なるほどなぁ…」

「ここは、長谷寺ですねぇ?」

流石は、教師だなぁ…

「すごいなぁ…孝ちゃんは長谷寺って解るんだぁ?」

「ここは、紫陽花の頃が最高何だぁ!」

はい、紫陽花を用意して、お待ちしておりました。

「えぇ…ここは、季節も時間も思い通りになるのですか?すごいなぁ…楽園だなぁ…?」

「本当にすごいなぁ…」

いえいえ、海外のピザの斜塔やビッグベンやエッフェル塔などもご希望に沿ってお見せする事が出来ますが予算の関係と何よりも二人の想い出に沿わないと難しいとは思いますが…

「なるほどなぁ…そっか、思い出した!これは、一緒にデートしたコースだぁ…」

「そうだねぇ?久しぶりだったから、忘れていた。」

「孝ちゃんと一緒に、山形のおばあちゃんが今度、遊びに来るから、鎌倉の下見に付き合って欲しいだったよねぇ?確か、私がお願いしたよねぇ?今度は、江ノ島だよぉ!孝ちゃん誘ってねぇ?」と言って稲村ヶ崎で降りて写真撮ったねぇ。

「という事は、長谷寺→鎌倉大仏→鎌倉小町通り→鶴岡八幡宮?」

はい、その通りですが…時間がおしてしまいましたので、長谷寺で終了です。

「えぇ…見たかったなぁ…!」

大丈夫ですよぉ…見れますから。

今回のように、降りたり、触ったり、匂いを嗅ぐ事は出来ませんが…

「すごいなぁ…紫陽花の花が綺麗だなぁ。こんな時期に行けたら最高だったなぁ…」

「おい、薫、ここにきた時に、同じ事言ったぞぉ。」

「今、来てるってて突っ込み入れたぞぉ…」

「あぁ…そうだったけぇ?」

「じゃあ、何故、赤と青の紫陽花があるかは覚えているかぁ…?」

「えぇ…何だっけ?」

「やっぱなぁ…忘れていると思った…」

「土がアルカリ性なら花は赤くなるし、酸性なら青くなるんだよぉ?」

「へぇ、そうだったんだぁ…」

「たくぅ〜少しは興味持てよぉ…薫の事を大事に思っているんだからなぁ…」

「だって、あの時はそんなに真剣に目を見て言ってくれたぁ?」

「そうだったなぁ…確かに、俺が薫のタイミングを無視して一方的に話をしていたねぇ?ごめんなぁ。」

「大丈夫。今回はちゃんと、覚えたよぉ。」

「薫は偉いなぁ…ナデナデ」

「もう、私は子供じゃありませんよぉ。」

「良いじゃん。好きな人を触りたいのは本能だぁ…」

「まぁ、嬉しいけど…」

「あぁ…そうそう、紫陽花の花言葉は知っているかぁ?」

「知らない、知らない、教えて?」

「紫陽花の花言葉は「移り気」「浮気」「無常」何だぁ…」

「えぇ…「移り気」「浮気」「無常」って、何か好きじゃないなぁ…」

「だから紫陽花の色にも花言葉があるから、そっちの方が良いかなぁ?青色の紫陽花は「辛抱強い愛情」、ピンク色の紫陽花は「元気な女性」、白色の紫陽花は「寛容」何だぁ。」

「素敵ねぇ?青色の紫陽花は孝ちゃんみたいだねぇ?辛抱強い愛情かぁ…」

「そうだなぁ…確かに、辛抱強い愛情を貫いたなぁ…」

はい、それでは、鎌倉大仏殿高徳院に行きます。

「すごい、大仏だよぉ?」

「本当だぁ、上から見た事がなかっなぁ…」

「本当だねぇ?寒くないかなぁ?」

「そりゃ、寒いと思うなぁ…」

「床暖房とかあれば良いのにねぇ?」

「まぁ、当時はなかったからなぁ…」

「今なら、床暖房や冷暖房完備になるかもなぁ…」

「そう言えば、うちらの中学の時は、冷暖房なかったけど、今は冷暖房完備なんだよぉ…」

「そうだけどなぁ…今は、集中するどころかぁ…大半が寝てるなぁ…それに、暑くて、下敷きをうちわがわりにしていた頃が少しだけ名残惜しけどなぁ…」

「あちゃ〜、昔を思い出したら、おじさんに一歩踏み込んだって言われるわよぉ。」

「いやぁ、違うって、隣で下敷きを煽っていた薫の朝シャンの匂いがたまらなく好きだったから…」

「なるほど…確かに、その気持ちは解るようなぁ…」

「だろぉ…薫も良いなぁ〜っと思っていたじゃん。」


はい、それでは、名残惜しですが、鶴岡八幡宮に行きます。


「おぉ…、すげぇ!」

「本当だねぇ…鶴岡八幡宮を上から見るとすごい立派だったんだぁ!」

「そうだなぁ…それに、すごく広かったんだぁ!」

「これだけ、大きいから、初詣ですごく混んでも、そこまで、すごいと感じなかったのかぁ!」

「だって、近くには江ノ島や川崎大師や、寒川神社などに分散されるからねぇ?」

「ここだけなら、間違いなく、足の踏みまもなくなるなぁ…足の踏みまもなく足を踏みましたぁ〜何てなぁ?」

「寒いって…」

はい、それでは、想い出を辿る旅はいかがでしたでしょうかぁ?

「はい、最高でした。こんな、素敵な経験をさせて頂き、本当にありがとうございました。一生の宝物になりました。」

「私も、忘れていた気持ちが蘇って何とお礼を言っていいやら、とにかく、ありがとうございました。」

いえいえ、まだ、お礼を言うのは早いですよぉ…

これより、夢想芸術家カリスマシェフ澤村

和樹のお食事を用意しておりますのでこちらへどうぞぉ?


「すごい!すごいなぁ…」

「本当に、こんな素敵なところがあるんですねぇ?鶴岡八幡宮、鎌倉の大仏、長谷寺でしょ?あっちは、湘南の海に江ノ島に、江ノ電?」

はい、空中をガラス張りにしており、マジックミラーでこちらの姿は見えない構造になっております。

とはいえ、時間が限られておりますが…


では、まずは、食前酒をお持ち致します。

鎌倉のお酒「辛抱の愛情〜紫陽花の滴」でございます。

鎌倉のお酒〜四季の鎌倉に愛情の深さをブレンド致しました。

長年の愛情の深さが蘇ってくる辛口の日本酒となっております。

「くぅ〜、全身に染み渡る感じが堪らないねぇ!美味しいなぁ…」

「あぁ…本当に美味しいわねぇ…何なんだろ、涙がこぼれおちるのは?」

そうですねぇ…これは、大野さんが経験した悔しさとそれを乗り越えた記憶が少し入っていますので、薫さんにはきつく感じたのかも知れませんねぇ?

「そうだったんだねぇ…苦労したんだねぇ?よく耐えたねぇ?」

「いやいや、当時は悔しくてたまらなかったけど…過ぎた事だよぉ。」

はい、それでは、一枚プレートをお持ち致します。

まずは、こちらですが、長谷寺で撮った写真を再現致しました。

長谷寺を型にはめて、今回はあさりご飯をメインとして、上にちりめんじゃこをのせました。

屋根部分を煮物(椎茸、ごぼう、人参、里芋、かぶなど)で仕上げております。

そして、紫陽花は天ぷら(鮪、海老、鯛、鱧、烏賊など)で仕上げております。

さりげなく、赤の紫陽花は桜と紫蘇のエキスを入れて作ったピンクの塩をさりげなくかけており、青の紫陽花は淡水藻スプルリナを使用した貴重なブルーの塩をさりげなくかけております。

こちらが、鯛茶漬けとしらす丼でございます。

やはり、鎌倉、湘南といえば、しらすは食べて頂きたいと思いましてご用意致しました。

ハマグリの姿焼きと伊勢海老の姿焼きも用意致しました。

下にいきますが、こちらが、鎌倉大仏殿高徳院を再現しており、型にはめた羊羮を抹茶でコーティングしております。

周囲の森林などは、抹茶のアイスとソフトクリームなどで再現致しました。


「すごいねぇ?ここまで再現できるとはもはや芸術ですねぇ!食べるのが申し訳ないですよぉ。それに、鎌倉を満喫する事が出来るのはすごいなぁ…」

「いやぁ、すごい、凄すぎるなぁ…この料理で鎌倉や江ノ島を再現するには、時間もかかったでしょ?」

そうですねぇ?

この料理を作るのに…試行錯誤を繰り返し10年ほどは費やしております。

こちらの時間ですが…

「ちょっと…私達の為にですか?」

「そんな、申し訳ないですよぉ。」

いえいえ、夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹の料理は身分や学歴などは一切考えておりません。前世からの行い、現世での行いなど、その時、食べて頂きたい人を選んでおります。

では、お召し上がり下さい。

「いやぁ、本当にどれも美味しいねぇ?俺はこんな料理を食べる事が出来て幸せだなぁ…」

「本当に満足だねぇ…もう、想い残す事もないねぇ?」

ありがとうございます。満足頂く事が出来て光栄でございます。


それでは、これより、夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹をご紹介致します。

本日は夢想芸術家カリスマシェフ〜澤村 和樹の想い出を辿る旅をご利用頂き誠にありがとうございました。

奇跡的に巡り合い、すれ違いにより、長い間、心の奥底でフラストレーションがたまっていたのではないでしょうか?

私達は、その奇跡な出逢いを繋げる事が使命と感じております。

もちろん、忘れてはいけない記憶が時として、素敵な想い出にも忘れる事が出来ない罪になる事もあるでしょう?

あなたがたにとってはどちらになったでしょか?

ここでの、時間も後わずかになりましたが、ゆっくりとお過ごし下さい。


こちらの都合上、申し訳ございませんが姿をお見せ出来ません。声だけの紹介となった事を深くお詫び申し上げます。


「ちょっと、待って下さいよぉ…せめて、一目だけでも、お見せ下さいよぉ…お願い致しますよぉ…」

「私からも、お願いしますよぉ…何のお礼も出来ずに…ただ、頂くのも…」


いえいえ、私達はあなたがたより、素敵な想い出を共有出来ただけでも、お金以上に得る物が多かったと感じております。

寧ろ、こちらの方こそ、ありがとうございました。ありがとうございました。


「大丈夫かぁ…心臓マッサージ!」

「ダメです。血圧が下がっております。」

「頑張れ!頑張って!」

「孝義、孝義、孝ちゃん、ピッピッ…ピー……何でよぉ!何でなのぉ!」

しかし、最高の笑顔と透き通るような涙を流していた事は誰しも気付かなかった。


一方、その頃

「はぁ!」

「変な夢見たなぁ…大野君と楽しく食事したなぁ…あれぇ、抹茶と羊羮の味が口の中に広がっているのは何でだろう…」

「あれぇ、何なんだろ、涙が止まらないよぉ…何で、こんなに悲しいのかしら…」


ガチャン、バタン…

「お母さん!お母さん!大野先生がぁ…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

奇跡の晩餐 夢想芸術家カリスマシェフ〜 澤村 和樹 末吉 達也 @yasu8376

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ