第12話 手紙

まゆ達が来たあの日から、数日。


辰巳先生から、まゆからの手紙を受け取った。


『響へ』

響の主治医の人が手紙なら大丈夫って言ってたから書くことにしました。

手紙とか何年ぶり?小学生の時以来かな。

なんか恥ずいね。

こないだお見舞い行った時、本当にごめん。

心配はもちろんしてたけど、好奇心がなかったとも言いきれない。

それに、あんなことがあったんだから響が男性恐怖症になってる可能性があるなんて考えれば分かる事だった。

それなのに梅田と土方連れていったの本当に謝る。

私のせいで余計傷つけて本当にごめん。

そんなんで許されるとは思ってないけど、また退院してきたらジュースでもおごらせて。

最近関わることは無くなっていってたけど響が大事な幼馴染だってことは変わらないから、退院しても心配しないでね。

余計なこと言うやつは大人でも子供でも、私と葉月が放っておかないから。

先生でも関係なくぶっ飛ばしちゃうよ。

学校にはまだ来れなくても、家に帰れるようになったらまた家に遊びに来てね。

うちも葉月んちも普段は男居ないから、響ママがいない時とか一緒にいられるし。

ごめん、気づいたらめっちゃ書いてたわ。

とにかく、容態悪くなかったらでいいから、返事くれると嬉しいです。あとお見舞い大丈夫になったら誰づてでもいいから教えてください。今度は葉月だけ連れて行きます。お大事にね。

『まゆより』



レターセットの紙3枚分近い手紙からは、まゆの人柄が溢れ出ていた。


まゆと葉月、山南やまなみ葉月はづきとは同じ病院で産まれ、家も近く、幼い頃はずっとそばにいた。


リーダーシップの強いまゆにクールだけど少しやんちゃな葉月、そして少し鈍臭い私で、小学校は乗り越えたようなものだった。


変わったのは中学に入ってから。


ずっと同じクラスになることは無かった結花と同じクラスになって、まゆが離れていって、葉月は一人でいたがるようになって、三人それぞれ別の居場所を見つけたのだ。


またいつか三人で、とか思ってたけど、正直叶う気はしなかった。


お見舞い大丈夫になったら、二人に会えるのかな。


「先生、書くものを貰ってもいいですか?返事、書きたくて」





【最後の事件から数週間、依然としてマスカットが捕まる様子はなく、そして犯行自体も止まっている模様です。警察は____】



「ひびきちゃんよかったなあ。」


「次に行ってもいいんだけど、そろそろ飽きてきたんだよな。」


「んー、次は〜」


「____もありかな?」



「待っててね、____ちゃん。」

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