のらりくらりⅢ

 やっとのことで階段を駆け上がりランプを見つけたファットは、困った顔をした。


「......ん?これフェーズのランプよな......。なんかオレンジ色になっているけど」


 FEDSのランプは暖かい橙の光をほわほわと発していた。


「あれ......オレンジ色?通常は緑なんだけどね」


 ルーカスはここ数年「TB-S‪α‬」での研究者アシスタントとして働いているはずだが......。


 






 詳しくは覚えていない。

 


 彼女はその記憶がないために、取り付けされている「電子取り扱い説明書」を見つける必要があった。


「説明書ってどこ?ルーカスここ触ったことある?」


「いや、あるけど記憶がないわ。随分と前のことでね......異常なことがあったのは。」



 過去をつかさどるようにして、少し重い空気になるが



「というかあなた研究者でしょ?何故コントロールパネルの操作方法知らないのよ。どうせAIがしてくれるとでも思っているのでしょう?」



 その一言で話題が変わる。



「うぅ......」



 痛い所をつかれたファットは、またまた姿勢を低くした。人任せならぬ、ロボット任せ。

 現代の大きな課題のひとつであろう。



「と......取り扱い説明書。とりあえず......」



 書類が置いてあるのはロビー近くの倉庫。

 散らかっているため探すのに時間がかかりそうだ。



 ファットはエレベーターを使い、まるで腰の曲がったおじいさんのようにして、のっそりと降りていった。




「あっ!!ファットさん!私のリモコン!!」




 マーシェルが気付いた時には、エベレーターは上を指して、のっそり箱だけが動いたのであった。






「主電源から付けなさいよマーシェル」





「あっ。その手があったか」

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