着地の中で

「着地体制。ただいまより大気圏突入。揺れにご注意ください」


 宇宙船「TB-Sα」は大気圏に入ると、ガタガタッとテレビが動くほど揺れた。

 「着地します。point:A place from 2004へ」


 どうやら2004年の「ホイヘンス」が降り立った場所とほぼ同じ場所に着地するらしい。



「この宇宙船、大丈夫なの??すんごい揺れているけど」

 未だに揺れているというのに、マーシェルはファットに話しかける。



「もうすこしの我慢だ。発射の時は、そこまで怖くないから」


 ベルトに挟まれながら、2人でひそひそと会話をする。そしてそれを遮るようにルーカス。


「何をこそこそ言ってるのか知らないけど、タイタンは空気中の酸素の量が異様に少ないから、酸素ボム持って行ってね」



 マーシェルの目がつやつや光る。

「面白そうだね、タイタン......。一体どんな星なのかな」


 マーシェルも宇宙に興味を持つことはある。ファットの小数倍ぐらいかもしれないが、彼女がこの船にいるのは彼女自身の興味本位かもしれない。



「あと20秒後、着地完了。着地時の激しい揺れにご注意ください」


 三人は唇をかみしめ、机のコップに入っている水が大げさにこぼれるほどの揺れを体感した。



 大きいエンジン音とともに、AIの起動音。そしてアナウンス。


「グロオウン......。 ヒュウーン。ピコピコピコピコ............」





「......無事、着地完了。A place from2004へクリア。これから先はAIの指示に従ってください」


 やっとの思いで、タイタン、到着です。道中お疲れさまでした。

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