タイタン道中膝栗毛Ⅳ

「......こちら地球との連絡要請が来ています。受け取り許可しますか?モニターに表示されます」


 

 どうやら、地球のスペーステクノロジー(略してET)から状況の説明をしてほしいとのことだ。

 三人の健康状態とかも、AIに任せるよりも本人に聞く方が特徴をつかめやすいそう。


「許可します。ETからどうぞ」

 ファットはすんなりとこの宇宙船と接続することを許可した。

 部屋がとっても色んなもので散乱しているというのに。


 間隙かんげきもなく、ここは接続可能範囲ということもあるので巨大モニターに向こうの人々の顔が映った。


「クソ政府の友達?わざわざ映す必要なんてあるの?」

 マーシェルの馬鹿正直が発動。それを聞くとすぐに


「この人達はクソ政府とは違い、いろいろなことを気にかけてくれるいい人よ」

 ルーカスがマーシェルにそっと言った。


 地球へ出てから初めての交信となる。さっきまで緊張していたようなのか、ファットも顔が晴れて、不安などない状態になった。


「...こちらスペーステクノロジーです。研究旅行お疲れ様です。体調変化とかはありませんでしょうか」


 ファットが彼女らに体調が大丈夫か聞いたところ、三人とも悪くはないらしい。

「三人とも、自覚症状なし。健康だと思われます」


「了解いたしました。念のためですが、そちらの宇宙船に検査AIを手配いたしましたのでタイタン出発の後、アナウンスに従って検査するようにしてください。」



「わかりました。えっと............これか。この青いロボットですね」

 倉庫部屋が散らかっているから、彼は少し焦りながらロボットを探した。



「はい。それでは、土星より先は受信範囲外ですのでここで一旦通話終了となります。タイタンへ降りる際の注意事項もすべて宇宙船に音声搭載しておりますので、ご安心ください。少し移動速度が遅いですが、それはすみません............ブチッ」


 キリが悪いところで通話終了。この宇宙船「TB-Sα」は移動速度が遅いものの、他の機能はしっかりしている。


 するとAIからのメッセージを受信した。

「土星上空へ到達。タイタンまで残り僅か。着地体制を準備せよ」


 どうやら木星から土星までは速いらしい。



「それじゃあ、頑張っていきましょうか!」

 ファットの勢いのある声にみんなが、ゆるい返事をする。




「10分後、大気圏へ突入します。着地体制開始」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る