タイタン道中膝栗毛 I

 タイタンへ向かう、宇宙船「TB-Sα」にて―



 かきかきかき......かきかきかきかき。

「よし! なんとか書けた! こんなものでいいよね?ファットさん」


 展望台から、こつこつこつ......。男の歩く音が鋭くフロア一面に響きわたる。

「お。 マーシェル。やっとできたのか、どれどれみてやろう.......」


【2004年6月30日近くの人々へ......】


「【昔の技術では、タイタンの謎を解くのには酷すぎた だから今、2300年の最新技術を駆使してタイタンへの研究を再開する】............うんうんなるほど。よく書けてるな。」


「【そして我らには一つの武器がある。それは大きな宇宙船「TB-Sα」のことだ】............おぉ。なんかとってもかっこいいじゃないか!これは過去の人々に見られても、胸を張って私が"未来科学の父"だと言える。」



 マーシェルは、ほげぇ...と目を細くしてファットを見つめる。

 さすがに"後の祭り"になってしまいそうだとマーシェルが喋りかける。

「最後まできっちり読んだ方がいいよ。私もココへついていってるの忘れないでね」


「そんなことより、マーシェルお前文才あったんだな」

 ファットが彼女の言葉を遮るように褒めた。



「ああ......ただの単純な人間なのね彼は」

 そういって現れたのはもう一人の髪の長い清楚系少女。ルーカス。どうやらロボットカフェでのんびりとしていたそう。


「ルーカスは私みたいに過去に送る作文書かなくてもいいの?」

 小さな不満を持って、彼女に聞いた。


「私は別にいいの。ていうか過去にメッセージ送れと言われたのはクソ政府からでしょう? あんなもん放置プレイでよろしい」


「クソ政府は共通理解なのね。ルーカスも書かないのなら、私も書かなくてよかったか。」


 そんなこんなで、いつも通りの日常会話をしている。

 彼らからしたら、これが日常なので、宇宙船での小さな要素である。


 のらりくらりタイタンまでの道を進んでいると、やっと今日メッセージが来た。


「おめでとうございます。地球からタイタンへの直線通路、5割到着しました。今現在残り800,000,000km」



「は?いやおいおいおい。まだまだじゃないか」

 さっきまであんなに喜びに舞っていたファットは、いきなり憤慨し始めた。


「この宇宙船壊れてるのかしら?それにしても本当あなたは単純な人ね。」


 ルーカスは静かに呟いた。

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