丹堂妙乃様。

 前略。先日は、山を登った帰りに自宅へ送るのが夜中になり、誠に申し訳ありませんでした。ご家族の方も心配されていたでしょう。深くお詫びします。

 しかし、山頂からの景色を見る妙乃さんの笑顔は、その、文章にするのも、とても恥ずかしいですが、本当に美しいと思いました。

 妙乃さんは、青空でも暮れ炉でも、太陽の光を浴びて笑っている姿が一番似合っていると、私は思います。

 それから、先日初めて気づいたのですが、妙乃さんは万年筆のインクで指し染められているのですね。万年筆で絵を描く人は、妙乃さんが初めて会った人で、とても個性に似合った素敵な趣味だと思います。その妙乃さんの好きという気持ちが、指し染められているようで、その色がとても好ましく感じたのです。

 どうやら、私は自分で気づいていなかっただけで、とっくに気持ちは定まっていたようです。

 こんな鈍感で、時には貴女の気持ちを汲み取れずに不満を抱かせてしまうかもしれませんが、そんな時は遠慮なく教えてください。どうかこんな私ですが、呆れずに、側にいれください。

 これからも、恋人としてよろしくお願いします。草々。

 三栗隆文

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