二匹の悪党の話
@makura1217
第1話
相棒のエレンは激怒した。
何に激怒したって?世間に?仕事にか?きっと社会体制にだろう、激怒するのもわかる。どんなに仕事を頑張っても、肉すら食べれない社会体制だ、俺も同じく怒りを覚えて頃だ。わかる。すごくわかる。
「お前にだ、このクソ野郎」
おっと酒場でそんなに大きな声を出すなよ、みんな見てるぞ、きっとみんなの心の中は真昼間から痴話喧嘩かよ、よそでやれよ、鬱陶しいと思われてるぞ、エレン
「男同士で、そんな事思わねええよ、このクソ野郎、聞こえてるぞクソが」
おっと心の声が漏れてしまった失敬、失敬
「聞こえてるんだよ、コラ」
エレンはすごい形相で睨んでいる。しかし、俺はなぜ怒られているかがわからない。まったくもってわからない。そこで素直な俺は直接聞くことにした。
神様は人間に口というもの与えたのも、相手が怒ってる時に、弁明するためとどこかの偉いような偉くないような奴が言ってたし、てか言ったの俺だったな
「すまない、エレン、君がどうして、恐ろしい形相で怒り狂い、今にもここにいる酒場の客を殺戮するような殺気を纏っているかがわからない、君はどうしてそんなにも怒っているのだ、教えてくれ、エレン!」
ここで俺の情熱的な演劇のクライマックスのようなキザなセリフが発動、これで、世界は救われる、酒場の平和は守られた!完
「貴様、今までの所業を忘れただと?」
エレンの表情に青筋が一つ増えた。どういうことだろうか?
「んー、まさか、あれか?」
思い当たる節はある。
ここ最近、俺の些細なミスが原因で、神殿を爆破してしまったことだろうか
高慢ちきな生臭坊主どもを脅そうと用意した爆薬がうまい具合に炸裂して神殿を木っ端微塵に爆破してしまったために本来もらえるはずだった依頼料はぱあーになり、賞金稼ぎから賞金首に出世してしまうと云う事件があった。
あの後各地を逃げ続け、神殿関係者から鬼のように狙われ続けているのはたしかだ。
「神殿を爆破したのは、悪かったと思う」
この言葉を聞いたエレンは、より鬼の形相になった。
「やはり、あれは貴様のせいかーーーーー」
「いや、つい」
「ついじゃーねーー、お前俺が何でキレてるかわかってないようだな」
「神殿爆破じゃなくて?」
「俺は、今それを知れてさらに怒りが増したところだよかったな」
じゃあ、なんだろう、まてよあれだろうか?
この前、貴族の少年を警護する仕事を受けた。
ちょっとゲスいボンボンの太っちょなガキが来ると想像していたのだが、やってきたのは礼儀正しい美少年、両刀である俺にはたまらないし、滾るしということで、ちょいと味見してしまったことだろうか、まさか護衛に襲われるとは思ってもなかった哀れな美少年は純潔を弄ばれ、心に深い傷を負ってしまった悲劇的な事件、たしかにあれでも賞金をかけられた気がする。
よし、これだろう。
「貴族のボンボンを味見したことは悪かったと思っている。」
俺の言葉にエレンは表情が変わる。
「貴様、まさかあれもお前のせいかーー」
「おう!」
「おうじゃーねー、あれのおかげで信用はぱあーだ。」
「反省はしている、後悔はしてない」
「ふざけるな、てめぇぇぇ」
「エレン、いい加減細かいことなんて気にするなよ」
「細かくねえぞ、このクソが、大事だわ、俺がおまえに怒ってるのは、それじゃない。だがな堪忍袋の尾がすでに三本切れてるぞ、このやろう」
うーむ、じゃあなんだろう。まさか、あれか、あれなのだろうか
それは今日の話だ。
色々と各所から、賞金を掛けられ、刺客と戦い、傷つき、疲れていた俺たちは、ゴロツキどもの用心棒になった。
腕っ節を認められ、ゴロツキどものボスのボンボン息子の護衛になることができたのだが、クソガキすぎて、仕事に身が入らなかったのだ。本当にブサイクの自慢話とか誰得なんだと仕事をしていたら、なんとあのクソガキ、敵対組織に拉致られてしまった。
焦った俺たちはなんとか敵対組織からクソガキを回収することには成功したんだが、あまりにもクソなために、そう堪忍袋の尾がポッキリと切れてしまいサクッとやってしまったのだ。そうサクッと、まあ、世界が平和になったと思えば安いものよ。ええ
「サクッとボスのボンボンをやっちまったこと?」
「そのとおりだ、クソ野郎、どうしようもねーぞ、コラ」
「大丈夫だ、エレン、俺にいい考えがある。」
「なんだよ、いい考えって」
「敵対組織を壊滅させた時に知った話なんだけどな」
「ふーん、うまく行くのか?」
「やるしかないだろう、それに人生は一発逆転を狙って動くもんだぜ」
「敵国の捕まった王女を拉致って敵国に亡命か、こりゃあ、賞金が増えそうだ。」
「人生は楽しんだもん勝ちさ、さあ、王女様を奪いに行こう」
吉と出るか凶と出るかそんなもんは関係ない俺たちの逃走はこれからだ!
二匹の悪党の話 @makura1217
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