第44話 急展開

その年のシーズン中の売上が良かった事が理由だったと思う。

借金マスターは、店やペンションの権利をすべて闇金に抑えられており

借金マスターの代わりに、売上から返済をしていたのだが

店、ペンション共にテコ入れが入る事になったのだ。


閑散期なので、ペンションの客室は、そのまま女の子の寮のままだったが

オバァを追い出し、別の重負債者一家が管理し、

ペンション1階の食堂で『焼肉屋』を始めることになったのだ。

必然的に店のオーダーは、そちらに注文する事になり

店が終わった後のアフターで、そこを使え、ということらしかった。


春さんは、さすがに納得できなかったようで

闇金と話をするために会いに行った。

私は置いていかれた。

坂本さんは連れて行った。

私の予想通り、坂本さんは胡散臭い人だったので

たしかに坂本さんを連れて行くのは間違いではないだろうな、と思ったが

置いて行かれた事は、少なからずショックだった。


話し合いで、春さんが決めてきたことはシンプルで

店を実質回している春さんと、サブ的な私を固定給にして

他の女の子と給料的にも立場的にも差別化を図った。

が、闇金の方でもバカではないらしく、監視役のオーナーを置くと条件がでた。

監視役のオーナーは、ジョージと言い、本当にバカで何の役にも立たなかった。

監視役のハズが坂本さんに丸め込まれ、坂本さんからは1円も飲み代を

取らなくなったのだ。

オーナーとは名ばかりで、店にいる事はあまりなく遊び歩き

接待という名目で、色んなお客様を連れて来ては

タダ酒を振舞った。


店は変わらず繁盛していたが、やる気はドンドンなくなった。

店が繁盛しているので、同時に焼き肉屋も立地の割には繁盛していた。


そんな頃、突然、春さんが『店を辞める』と言い出したのだ。



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