第40話 飛び火の火種

私が、アキラ君に振られた頃。

春さんは、かずくんを振った。

というか、別れてくれと懇願していた。


岡田君の事がバレて、色々と文句を言われメンドウになったらしい。

かずくんは、物凄いイキオイで春さんと岡田君を責めていたのに

別れ話がでた途端、手のひらを返した。

『2番目でもいいから別れたくない』と言い出したのだ。

結局、根負けした春さんは、そのままの関係を維持する事に決めた様だった。


アキラ君に振られた私とは大違いだが、まぁ世の中はそんなものなのだろう。

結婚・離婚をしていて言うのはアレだが、私は、元々『お付き合い』やら

『彼氏』やら、そういうのが、あまりよく判らなくて苦手だったりする。

『好き』は『好き』であり、それ以上でも、それ以下でもなく

その中に順番は存在しないし『好き』は等しく『好き』だ。

苦手な人はいても『嫌い』な人もあまりいない。

強いて言えば『好き』の中に『お気に入り』がたまに存在するだけだ。


アキラ君に振られた私には、連日のようにお客様が

要らぬ世話を焼きに新しいお客様を連れて来てくれていた。

新しい女の子も入った所だったので、タイミング的にはとても良かった。

その中で1人、とても気の合うお客様がいた。

彼は、礼二くんといい、年下だったが、金払いがよく店の子にも優しかった。

当然、仲良くなり飲みにでかけたりしていたが、それだけだった。

が、それがアキラ君の耳に入ったらしく気に入らなかったらしい。

2人は顔見知り程度だそうだが、

アキラ君はなぜか一方的に嫌っていた。

そして

『お別れしたいと言ったのは、なかった事にしてくれ』

『やっぱり雨月の事が好きです』と言ってきた。

礼二くんの事が気に入らなかったのか

私の事が、やっぱり好きだと思ったのか、どっちなのかは判らないが

1ヵ月の『お別れキャンペーン』は終了した。


そして、岡田君も、無傷では終わらなかった。




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