Ⅶ
アンドロイドが普及したことにより人々の生活がより豊かになった事はすでに明白な事実であるが、全ての人が豊かになったわけではなかった。本来なら誰もが幸福な生活を享受できればいいのだが、苦しい生活を余儀なくされている人々はいつの世にも必ず存在する。
現在のヴォレヴィルの経済はアンドロイドを中心に回っている。故に誰もが人生という短い期間を自由に過ごすことができるのだが、それは個人がアンドロイドを所有して初めて得られる自由だ。ならばアンドロイドを購入する資金がなければどうするのかという疑問が上がるだろうが、政府は成人した市民に対してアンドロイドを支給するアンドロイド支給制度を取っているため、問題は解決していると言える。
しかし、物事には常に例外が存在する。
アンドロイドは長期間活動可能であるが物には劣化がつきものだ。もちろん劣化したアンドロイドは新しいアンドロイドと無償で交換可能である。なら例外とは何か。それは所有者とアンドロイドの関係が劣悪である場合だ。
大抵、所有者とアンドロイドの関係が悪化したときの結論は、所有者によるアンドロイドの破壊である。故障したアンドロイドも政府は無償で修理するが、何回も同じ事が続けば根本的な原因を調査する。その結果、所有者が故意にアンドロイドを傷つけているとわかったとき、所有者が持つアンドロイド所有権のはく奪を政府は執行する。そうなるとアンドロイドの再支給を受けられなくなるのだ。
アンドロイドを所有できない市民は生活のために自ら働きに出るしかなくなる。しかし今日の企業ではアンドロイドを雇うのが当然になっており、今更人間の働き手など欲していない。主体的に企業へ奉仕したいという人物に対しては企業も受け入れることを検討するだろうが、上述したような理由でアンドロイドを所有していないのなら雇おうなんて気にはならないだろう。
こうして仕事もなく、生活資金が枯渇した市民が向かう場所というのが貧困街である。
夜九時を回った今、ジャネットとアレットはその貧困街に足を踏み入れていた。帰る家がない男が道端でうずくまって眠り、空き家を占領するならず者達が窓から外の様子をうかがっている。健全な市民なら一切近づこうとしないため、メイドと金持ちの娘が逃げてきたのであれば間違いなく目立つはずだ。
「懐かしい……」
ふとジャネットが呟いた。
「一時期ここで生活してたんだっけか?」
アレット問いにジャネットが答える。
「うん。最低最悪な場所だった」
「確かにまともな奴はいそうにねぇな。そういえば貧困街でフラヴィにスカウトされたんだったよな?」
「まあ、スカウトというよりは拾われたようなもんだけどね」
フラヴィ・アンドロイド相談事務所が設立されたばかりの頃、仕事で貧困街を訪れていたフラヴィはたままたジャネットを発見した。髪もボロボロでやせ細り、しかし見る者を竦ませる黄金の瞳を見たフラヴィはジャネットに一緒に仕事をしないかと誘ったのだ。当時の詳細は割愛するが、フラヴィの誘いを受けたジャネットが今ここにいるというわけだ。
突如フラヴィから無線が入る。
「思い出に浸るために向かわせたんじゃないぞ」
「ごめんフラヴィ。ついね」
「思い出話なら帰ってからゆっくりとしようじゃないか。今は仕事に集中してくれ。ミレイユ、ハルの現在地は変わりないな?」
「はい。ハルさんは現在、お二人がいる場所から南へ百メートル先の空き家から移動していません」
ミレイユの報告を聞いたアレットが景気の良い声を上げる。
「おっけーおっけー。じゃあジャネット、いっちょ娘をひっとらえに行くか」
「うん」
ジャネットとアレットはミレイユが指定した場所へ向かって歩き始める。
念のため二人はすぐに武器を構えられるように気を張っている。生活するために人の物を盗むことすら常習的に行われているのが貧困街だ。ジャネット達もいつ襲われるかわかったもんじゃない。
すると突然、二人の前に初老の男が飛び出してきた。寸での所で拳銃を突き付けそうになったジャネットが自身を落ち着かせるためにそっと息を吐く。
「なぁあんたら、みじめな老いぼれに金を恵んでくれねぇか?」
両手でお椀の形を作りながらニタニタ笑っている男に誠意など微塵も感じられない。
男の言葉を聞いたアレットが鼻で笑った。
「わりぃな、てめぇにくれてやる金なんざねぇんだよ」
「そこを何とか頼むぜおい。こっちは今日食う飯すらねぇんだよ」
「そいつは可愛そうなこった。行こうぜジャネット」
ジャネットとアレットが男の側を通り過ぎようとした時だった。
「んだよ、この前来た姉ちゃんたちは気前よく払ってくれたのによ」
「おい、今なんて言った?」
アレットが男の腕を掴んで凄んだ。しかし男は何か気づいたようにニタァといやらしい笑みを浮かべる。
「なんだよ、知りたいのか?」
「さっさと答えろよジジイ」
「何も恵んでくれねぇ奴に話す事なんてなにもねぇなぁ?」
男の目的を察したアレットが腕を強引に突き放した。
「チッ! どっか行っちまえ!」
ヒヒヒヒと笑いながら男は建物の影に消えていった。
「ああいう奴ってそこら中にいんのか?」
苛つきながらアレットがジャネットに聞くが彼女は涼しい顔をして答える。
「さっきのはまだいい方だよ。私がここで暮らしてた時は暴力とか普通だったから」
「……そうか。わりぃ」
「いいよ別に。それより早く行こう」
ふと気づけばアレットはジャネットの過去を何も知らなかった。アレットが知っているのはフラヴィにスカウトされて初めて事務所へやってきた日以降だ。だからジャネットが今までどこでどのような暮らしをし、何を経験してきたか話す機会もなかった。というのも、フラヴィも含めお互いに過去について詮索するのは控えていたから当然だろう。今の仕事をするのに過去を知る必要はないのだから。
だがどこか物寂し気なジャネットを見て、アレットは何と声をかければいいか分からなかった。かといってジャネットは同情してほしいわけではないだろうから、慰めの言葉をかけるわけにもいかない。
先を行くジャネットの後ろ姿を見ながらもんもんと考えているアレットだったが、不意にジャネットが立ち止まったことで我に返る。
「ここね」
建物を見上げてジャネットが呟く。
ターゲットが潜伏している建物は古くなったが立派な二階建ての家だ。もともと誰かが住んでいたのだろうが、そこで生活していた人物は追い出されたのか自分から出ていったのか……。
「いい家に住んでるじゃねぇか」
「昔は誰かの家だったんでしょうね。でもこんな優良物件が誰にも占拠されずに残ってたなんてビックリ」
「優良物件ねぇ」
おそらくこの家は電気は通っていないだろうし水も流れるのか怪しい。しかしそれでも貧困街にとってはいい物件という事になる。そして優良物件は宿無しの放浪者にとって喉から手が出るほど欲しがるものだ。それが残っている時点で充分怪しい。
「ハルさんの現在地はそこで間違いないです」
「わかった」
ミレイユの言葉に頷いたジャネットが銃を構え、アレットもそれに習う。
ジャネットが玄関の取っ手を手にかけると、鍵がかかっていなかったのか扉をそっと開いた。銃を構えたままアレットが先に中へ侵入し続いてジャネットが侵入に成功する。
家の中はシンとしていて物音一つしない。電気もついていない屋内は窓からの月明りでかろうじて明るいがほぼ真っ暗だ。ジャネット達は銃に取り付けてある小型懐中電灯の電源を入れる。光に照らされた空間にちらちらと埃が反射されているのを見るに、ろくに掃除すらされていないのだろう。
ジャネットとアレットは互いに視線で合図し各部屋をそれぞれ捜索し始める。
ジャネットがリビングを、アレットが寝室を確認したがハルとニィナを見つけることはできなかった。
リビングを探索するジャネットは部屋中を懐中電灯で照らしてみて疑問を覚える。
──生活の跡がない?
仮にハルとニィナがこの家で寝泊まりしていたのなら、少しは生活痕があってもいいだろう。しかし一見すると床は一面ホコリだらけで長年使われている形跡はないし、ソファやクッションも乱雑に置かれたままで、誰かが使った形跡は残っていない。
一末の不安を抱えつつジャネットがアレットと合流すると、今度は二階へ上った。
そこでもいくつか部屋があったため順番に確認していくが、何もめぼしいものは見つけられない。何か違和感を感じながらジャネットが部屋を念入りに確認していると突如声が響いた。
「ジャネット! 来てくれ!」
呼ばれたジャネットが急いでアレットの元へと向かうと、部屋の中央には小さな機械の部品が落ちていた。
「これってまさか……。ミレイユ、ハルの現在地はここで間違いないんだよね?」
「はい、間違いありません」
「こいつはやられたな、ジャネット」
「うん。まさか位置情報を送信する部品を取り除くなんて」
この小さな部品は発信器だ。アンドロイドは位置情報を送信するための発信器がデフォルトで搭載されている。それは所有者がアンドロイドの位置を常に把握するために必要なものなものだ。
ハルは事前にこの発信器を取り除くことで追跡を免れたということだ。
「どうするよ?」
「こうなったら、貧困街をしらみつぶしにするしか……」
言っていてそれがどれだけ無謀な提案かジャネットは気づく。貧困街に空き家は沢山ある。それを一軒ずつ探していったら夜が明けてしまう。
そのとき、家の玄関が荒々しく開け放たれた。そして数人の足音が隠す気もなく聞こえ始める。
「おい本当にここにいんのかよ?」
「黙ってろ! 探せばそこらへんにいるだろ!」
声からして男たちだ。ジャネットは声を潜ませながらアレットを見た。
「誰か来る……?」
「……」
まさか偶然、この空き家を占拠しに来た男たちだろうか。それにしてはタイミングが良すぎる。それに少しだけ聞こえた会話の内容から、誰かを探しているのは明らかだ。
残された発信器と男たちの出現。これらが偶然で片付けられるとは思えない。
ゆっくりと階段を上がってくる男たち。逃げ場がないジャネットとアレットはお互いに視線で合図すると、銃を構えたまま男たちを対峙する道を選択した。
そして身構える二人の元に現れたのは四人の男たちだ。ジャネット達を見つけると下品な笑いを浮かべている。
「おい本当にいたぜ、かわい子ちゃんがよ」
「本当だ。金までもらって女も手に入れるなんてラッキーだな俺ら」
「待てよ、本当にこいつらで合ってんのか?」
「あってるだろ。ほら、そこにいる銀髪とか話にあった通りの外見してるぜ」
四人の男たちが思い思いにしゃべり始めるなか、ジャネットとアレットはすでに臨戦態勢を取っていた。明らかに友達になりましょうという雰囲気ではないからだ。さらに言えば金を貰ったと一人の男が口走っていた事を考えると、彼らは誰かに雇われてここに来たという事になる。
先陣を切って言葉を投げたのはアレットだった。
「あーてめぇら、どうやらアタシらに用があって来たようだが違うか?」
「その通りだぜ金髪ちゃん。だがどんな要件か話す必要があると思うか?」
「いいや、聞かなくたって大体想像できるからいい。そのかわりアタシからは忠告をしてやるよ」
なんだなんだと男たちが面白うそうにアレットを見る。男たちは完全にアレットを見くびっている。それはそうだろう。若い女性二人に対して四人の男が部屋に押し入っているのだ。逃げ道がない場所で力でも圧倒できる男がいる時点でジャネット達は追い詰められたと同じだ。
しかし二人は余裕の表情だ。
「アタシらに手を出したら、二度とナニをしごけないように腕をへし折ってやる。こっちの奴に触ったら、肩から切り落とした後に自分の手を口に突っ込まれることになるぜ」
「おうおう威勢がいいねぇ、なあ金髪ちゃんよぉ」
ヒューヒューと口笛を吹き始める男たちは内輪で盛り上がっているだけで、男たちを冷ややかに見下すジャネット達には気づいない。
そろそろアレットが我慢できなさそうにしているのを見て、ジャネットが口を開いた。
「ねえ、さっきお金を貰ったって言ってたけど、あなた達は雇われたの?」
「ああそうだぜ。それもかなりの大金だ! そこにお前らという報酬までついてる」
「ふーん。誰からもらったの?」
「名前は知らねぇよ。でも男と女の二人組だったな。片方は青い髪をしたいい女だったぜ。男の方はその女をルーダって呼んでた──」
「馬鹿野郎! 喋りすぎだ!」
ペラペラと喋っていた男を他の男が一喝した。相当な大金を貰ったのだろうか、男たちは興奮気味だが口走っていた奴だけそれに付け加えて口が軽かったようだ。
「ルーダ……」
ジャネットがその名前を呟く。
「ジャネット?」
「……ううん、なんでもない。とにかくコイツらはどうでもいいから早く行こう」
「行こうってどこに行くってんだよ──ッガ!」
一人の男がジャネットに顔を近づけてきたため、ジャネットは何の予備動作なしで男の顔面を殴った。
ジャネットの行動を好機と捉えたアレットが正面にいた男のみぞおちを殴り、すぐ隣にいた男を背負い投げで投げ飛ばした。
「んだよコイツら!」
驚いていた男たちが一転、反撃を仕掛けてくるがすでに遅い。
ジャネットはまだ殴られてよろめいている男に今度は飛び膝蹴りをお見舞いした。そして倒れた男の脇腹を蹴り飛ばす。男がうぐっとうめき声を出してうずくまる。
──こいつら、戦い慣れてないな。
威勢だけは一人前の半端者だと判断したジャネットは残りの男を片付けに行く。隣ではすでにアレットが二人を叩きのめしていた。残りはあと一人だ。
「ひ……ひぃい!」
情けない声をあげて背を向けて逃げ出そうとする男だったが──
「よっ」
アレットが男の後頭部に部屋に置いてあったコップを投げつけた。彼女の投球はまっすぐ男の頭にヒットしコップが砕け散り、男がバタンとうつ伏せに倒れて伸びてしまった。
「なんか、大したことない連中だったな」
「うん。多分雇ったほうもこいつらに期待はしてなかったんじゃない?」
「どうしてそう思うんだよ?」
「なんとなく……」
だが事実、彼らは金をもらってジャネットたちを攻撃してきた。ハルの発信機を囮にされたと考えると、この男たちを差し向けたのはハルたちのように思えるが、ジャネットは男が口にした名前を覚えてる。
「ルーダ……」
「知り合いの名前か?」
「さあ、知らない。気のせいかもしれないしね」
できれば気のせいであってほしいと、ジャネットはそう思わずにはいられない。
なんの事かさっぱりわからないアレットが話題を変える。
「こいつらがどうしてアタシ達を狙ってきたのかはしらねぇけど、ハル達ならわかんじゃねぇか? てか、あいつらが黒幕って可能性もあるしな」
「うん。でも妙じゃない? どうしてハルは発信機だけをここに残したんだと思う?」
「そりゃ、跡を追われないためにじゃねぇの?」
「それならネルダの屋敷にいた時点で発信機なんて取っておけばよかったでしょ。わざわざ足取りをつかめるような場所に置いておく理由がわからない」
「……言われてみりゃ確かになぁ」
数秒アレットは考え込むが、すぐに晴れた顔をジャネットに向けた。
「まあハルをとっ捕まえりゃすぐわかるだろ」
「……もうちょっと危機感とかないの?」
「アタシはさっさと仕事を終わらせてゆっくりしたいんだ。来週はリュシーとデートの約束をしてるから、デートコースとか色々考えることがあるんだよ」
「ふーん、あっそ」
アレットの頭はリュシーのことで一杯になっているようだ。
なんだか一気に白けてしまったジャネットは、先程からアレットが言うようにハルの居場所を突き止めることに集中することにした。
「でもどうしようか。ハルがここにいないとなると、本当に手がかりがなくなっちゃうけど」
「そうだよなぁ……」
男の一人がうずくまったまま唸りを上げた。
「うぅん……」
ゲシッ!
伸びていた男の一人が起きそうだったためアレットが再び蹴りを入れる。そこでアレットが何かに気づいたように手を打った。
「あ! そういえばあの野郎はどうだ?」
「あの野郎?」
「アタシたちに金をせびってきた物乞いだよ! 何か知ってそうだったじゃんか!」
「確かにその可能性はある。探そう!」
家を飛び出そうとするときアレットが伸びている男たちを見てジャネットに声をかける。
「おい、こいつらどうするよ?」
「放っておけばいいんじゃない?」
「それもそうだな」
ジャネットとアレットは家を飛び出すとすぐに男を捜索し始めた。二人と別れてから数分しか経っていないためそれほど遠くへ行ってないだろうと踏んでいたが、注意深く周囲を探索するとわりと呆気なく男を見つける事が出来た。
ちょうど男は別の人へ物乞いをしている最中だった。
「おいジジイ!」
アレットがすかさず割り込むと男が迷惑そうな顔で見てきた。
「あんたらはさっきの文無し女どもだな」
「文無しじゃねぇよてめぇに金を渡さなかっただけじゃねぇか」
アレットが介入したため男が物乞いをしていた相手は颯爽とその場から離れて行く。その後を物乞いが追いかけようとするが、彼の正面にアレットが立ちふさがる。ついでに物乞いの後ろにはジャネットが立って逃げ道を塞いだ。
物乞いは舌打ちをするとアレットを睨んだ。
「何しに来やがったんだ。もうあんたらに用はねぇってんだ」
そう言いながらその場に座り込む男の目線に合わせるようにジャネットがしゃがむと、彼女は数枚の硬貨を見せた。
「教えてほしい事がある。あなたが施しをもらった二人組についてよ。どこで会ったの?」
男はジャネットから硬貨を受け取ると幸せそうに笑顔で語り始めた。
「話すと思うか?」
ジャネットが自身の財布からさらに硬貨を取り出すと男に見せびらかす。それを見た男は気を良くしたのか、喋り始めた。
「最初にあいつらを見たのは廃棄区画に隔ててある壁の近くだ。貧困街にいる奴らにしては随分と見慣れない服装だったから、新しい放浪者かと思って話しかけたんだ。二人組の女で、一人は短髪の黒髪だった。ちょうどアンタみたいにきっつい目をしてたからよく覚えてるぜ。もう一人の女は茶髪に巻き髪で、黒髪の奴に守られていたさ。二人ともここじゃ着れないような綺麗な服を着てたぜ」
「その二人があなたのような物乞いに無償でお金を渡すとは思えない。取引したでしょ。安全な場所を教える代わりに金を寄越せって」
ジャネットの推測を聞いた男の口角が上がる。
「へぇ……つまりアンタも安全な場所の事を知りたいってんだな?」
「そうよ」
ジャネットは先ほどから硬貨を見せびらかすだけで男に渡そうとしない。腹立たしく思ったのか男が硬貨を取ろうとするとジャネットはそれをひょいとかわして男を睨んだ。
「安全な場所を教えて。そしたらこの硬貨をあげる」
「金がねぇなら話さねぇよ」
「話しといた方が身のためだぜ、クソジジイ」
ドサッと、アレットが男の肩に腕を回して黒光りする武器を懐からチラチラと見せつける。
さすがの男も拳銃を見て慌てた表情をする。
「お、おい。そりゃねぇだろ。卑怯ってやつだ」
「卑怯もクソもあるかってんだ。情報を吐かないなら吐くまで付き合うぜ? でもこちとら時間に余裕はねぇから、どんな手段になるか予想できねぇけどな」
これでもまだ渋る男に対してジャネットが口を開く。
「情報を教えてくれたら追加で硬貨を支払う。だから素直に言うことを聞いた方がいい。アレットは容赦しないから、明日から二度とその手で硬貨を触ることができなくなるかも」
ジャネットの淡々として口調は一気に現実味を増すことになり、二人が本気だと感じ取った男が怯えた様子で話しはじめる。
「二人はデーモンズっていう店に隠れてる。あそこは訳ありの女たちを匿うことで有名な店だから、まだそこにいるはずだ。店ならそこの道をまっすぐ行った先にある」
「そう」
聞くことだけ聞いたジャネットが硬貨を男の手に乗せると同時にアレットが男から離れた。肩の荷が降りた男が安堵の表情を浮かべると、今度はジャネットが男の顎に銃口をぴったりとくっつける。そしてこう言った。
「私達があなたから情報を受け取ったことは誰にも話しちゃだめだから。もしバレれば、どうなるかわかるよね?」
うんうんと言葉ではなく態度で表した男を見て、ジャネットは拳銃をしまうと立ち上がって男が言ったように店へ向かって歩き始めた。
「あの男が私達の欲しい情報を持っててよかった」
情報を入手した二人がさっそく店へと向かった。
二人が少し進むと男の情報通りに店が見えてくる。地下へと続く階段の先にある扉には何も看板がなく、初見だとここが店かどうかも疑わしく思うだろう。
「行くぞ」
こういう時、アレットは率先して進んでいく。ジャネットが後に続いて扉を開いた。
入店した二人の視界に飛び込んできたのは露出した女性たちの姿だ。あと少しで大切な部分が見えてしまうという格好で店の練り歩いている。その手にはグラスが置かれ、複数の男達 の相手をしている。さらに店の中央では同じように露出した女性がポールダンスを披露している。
つまり、ここはストリップバーという事だ。
「うわぁ……すげぇなこれ」
「なんで嬉しそうなの?」
「いや、べつに嬉しそうじゃねぇよ。ちょっとびっくりしたっていうか……」
とか言いながらアレットの視線は自然と女性たちへと向けられる。リュシーという彼女がいるにも関わらず隠そうとしないアレットにジャネットが半目になって睨みつける。
「はぁい、お二人さん。女性が来るなんて珍しいわねぇ」
店を練り歩く女性の一人がアレットの正面に、ほぼ体を密着させるように近づいてきた。
ズリズリと背後に後ずさりするアレットだがやがて手すりにぶつかり、女性に追い詰められる形になる。
「ねぇお客さんの名前は?」
「あ、アレットだ」
「ねぇアレット。せっかく来たなら私と遊んでくれない?」
「いやぁ、アタシはその……」
助けてくれとアレットがジャネットに視線をよこすが、ジャネットは心底どうでも良さそうにアレットの視線を逸らしてこう言った。
「好きにすればいいんじゃない? リュシーには私から伝えておくから」
「なっ! おいちょっと待ってくれって!」
そう吐き捨ててジャネットは単独でハルとニィナを探しにいく。二人の特徴は覚えているため、もし店の中にいるならすぐに見つけられるはずだ。
この店の露出した女性はおそらくアンドロイドではなく生身の女性だ。貧困街にやってくる人々はアンドロイドを嫌っている傾向が強いから、たとえ風俗業でもアンドロイドを一切利用しないのだ。アンドロイドのせいで職を失ったと考える人のたまり場だから、アンドロイドを利用しないという考えは自然だろう。
だからハルも自身がアンドロイドであることを隠して潜伏しているはずだ。
すぐに見つかるとジャネットは思っていた。だが店内の客を含めて人相を確認して回るが、ハルやニィナらしき人物は見当たらなかった。もしかしたら店の裏側──スタッフルーム──に隠れているのかもしれない。
ジャネットは目に付いた女性店員に話しかける。
「ねえ、ハルって子かニィナって子はいない?」
「ハルとニィナ?」
二人の名前を聞いた女性がジャネットから目線を逸らしながら答える。
「さあ、知らないけど」
「そう……」
そのままさっさと女性店員が過ぎ去ってしまった。不自然な動きにジャネットは男の話を思い出す。この店は安全な場所として紹介され、女性を匿っている。下手に二人の名前を出せば警戒されてターゲットが逃げる可能性がある。
と思っていた矢先だった。ジャネットは視界の端に気になる女性を発見する。
黒髪にショートカットの女性と、彼女にくっつくよう歩く不安そうな表情をしている女性が一人。ジャネットが黒髪の方を見ると、相手もジャネットを見ていたのか一瞬だけ目が合う。お互いに睨み合うが黒髪の女性が店の出口に向かって進みはじめた。
ジャネットはすぐにアレットを呼びに行く。
見つけたアレットはまだ女性客と話し込んでいた。
「ねぇねぇ、なんで遊んでくれないのぉ? お姉さん退屈になってきちゃった」
「アタシは遊びにきたんじゃねぇっての……。あ、ジャネット!」
「いつまで何してんの! 見つけたからついて来て!」
「まじかよ、ごめんな綺麗なお姉さん。お楽しみは次に会った時までお預けな」
アレットが女性をはねのけると急いでジャネットの後を追いかける。
すでに店の外へと出て行ったのだろうか、ハル達の姿はすでに消えている。だがここまで来て逃すわけには行かず、ジャネット達も店の外へと飛び出す。辺りを見渡すと走り去る二つの影が遠くに見える。
「あいつらだな!」
二人は全力失踪でハル達を追いかける。疲れ知らずのアンドロイドは一定の速度で走り続けるが、ハルはニィナを連れているせいか逃げるスピードは思ったほど早くない。これなら取り逃がさずに追いつくことができるだろう。
アレットの方がジャネットより足が速い。そのスピードのまま逃げる二人の背後まで迫った。
二人はがむしゃらに逃げていたのか人のいない場所まで来た。
もう少しで手が届く距離まで来たアレットがさらにスピードを上げる。
「うぉら!」
「きゃっ!」
アレットはハルの後ろを走っていたニィナの腕を掴むと強引に抱き寄せた。
「ニィナお嬢様!」
ハルがアレットからニィナを取り戻そうと反転し襲いかかるが、両者の間にジャネットが入ってハルに応戦する。
「邪魔だ!」
ハルがジャネットをどけようとするが、その腕をジャネットが掴むと背負い投げをしてハルを地面へと叩きつける。しかしアンドロイドであるハルに痛みはない。ハルはとっさに体を捻ってジャネットの拘束から抜け出すことに成功する。
「動くな!」
ジャネットがとっさに銃を取り出すとハルに向けた。だが彼女の表情は変わらない。
「ニィナお嬢様を離せ……!」
「離すかよ。こちとらお嬢さんの身柄確保が目的だからな」
「お前ら、ネルダ様の指示で来たのか」
「指示じゃない。金を使って雇われたの」
「……なら、どうして私達が逃げ出したのか知ってるのか?」
「知らないし知りたいとも思わないけど」
これから破壊するアンドロイドに対して同情するわけがない。たとえどの様な理由だったとしてもだ。
「貴方達、何が目的なの? どうしてこんなことをするのよ!」
ニィナが苦痛の表情で訴え始める。これにアレットが答えた。
「アタシらの目的はアンドロイド・ハルの破壊とニィナお嬢さんをお屋敷まで送り届けることだぜ」
「どうしてハルを破壊するの!? 私が帰ればいいだけでしょ?」
「どうしてって言われても困るんだよなぁ。ハルは破壊してくれって頼まれただけだしよぉ」
アレットが面倒くさそうに答えるとニィナは信じられないといった表情をした。
「どうしてお母様がハルを壊そうとしたのか私ならわかるわ。きっとお母様は、ハルが私を強引に連れ出したと勘違いしてるのよ! でも違うの! 本当は私がハルに一緒に逃げてほしいと頼んだのよ。だからハルはおかしくなってない。全部私のせいなの!」
「それがどうしたの?」
「え?」
ジャネットが放った冷たい言葉にニィナが唖然とする。
「あなたがハルを連れ出して逃げたことと、私達がハルを破壊することは関係ないでしょ」
「そ……そんな。どうして関係ないのよ? お母様はハルが壊れたから、貴方達に破壊してくれった頼んだんじゃないの?」
「違う。私達は一切の理由を聞いていない。ただハルを破壊して貴方を連れ戻してほしいと頼まれただけ」
「うそでしょ。どうしてもハルを破壊するの? 絶対にハルを破壊しなくちゃいけないの!? それはどうして!」
「じゃあ聞くけど、どうしてあなたはハルを破壊される事が怖いの?」
「そんなの、愛しているからに決まってるじゃない!」
バンッ!
火薬の爆ぜる音と同時にハルがひざまづいた。ジャネットが構える銃口から白煙が上がる。ジャネットがハルの足を撃ったのだ。
「いやぁ! やめて! 撃たないで!」
「よく見て! あれはアンドロイドよ! 銃で撃たれても血を流さないし、痛みを感じて悶えることもない! あなたが愛しているのは人間じゃない!」
「ジャネット!」
アレットの呼びかけでジャネットが正面を見ると、先程ひざまづいていたハルが一気に距離を詰めてきた。撃たれた足を庇いつつも最速でジャネットの元まで来ると、彼女は手を突き出して攻撃してくる。
とっさの判断でハルの突きを弾くが二撃目の手刀が振り下ろされ、体を逸らして避けたジャネットの頰に一筋の赤い線が刻まれる。
バンッ! バンッ!
アレットがジャネットを援護するために銃弾を放つが、ハルは全て綺麗に交わしてみせると今度はアレットに向かってきた。
「へっ、いいぜやってやるよ!」
ニィナの拘束を解いたアレットがハルと戦闘を開始する。
ハルの手刀をアレットが弾き、アレットの正拳突きをハルが交わす。二人は何度か打ち合うが技の切れに疲れは全く見えない。
やがてハルの隙を見つけたアレットが蹴りを入れてハルを吹き飛ばした。そしてハルが着地した瞬間である。
バンッ! バンッ! バンッ!
ハルの右腕が撃ち抜かれ内部部品が辺りに散らばる。それだけでなく左肩も弾が貫通し小さな歯車が鮮血のように宙へ飛び散った。ジャネットがアレットの作ったチャンスをモノにしたのだ。
流石に両腕まで使い物にならなくなれば動く事ができない。だがハルは顔だけをニィナの方へ向ける。
その悲壮感。死期を悟ったかのような瞳。アンドロイドがこれほど情熱的な視線を送る事が出来るのだろうか。
「お願いやめて! ハルが……ハルが死んじゃう!!」
ニィナがハルの元へと走り、彼女の体を持ち上げながら涙ながらに訴える。
「お願い! これ以上はやめて……。やめて……」
「そこをどいて。ハルを破壊できない」
「絶対に嫌。ここはどかない。ハルを殺すなら私も殺して」
「いい加減にして! いつまで幻想に浸ってるつもりなの! 貴方が愛しているのは道具よ! 人間がいいように利用して都合が悪くなれば捨てられるのが道具よ! これ以上アンドロイドに夢を見るのは危険よ!」
ジャネットはニィナをどうしても許す事ができない。なぜなら、彼女はかつての自分を見ているようだからだ。
実は過去、ジャネットにも親愛すべきアンドロイドが存在した。肉親とは異なる精神的な母親になり得るアンドロイドだった。ジャネットはそのアンドロイドを心から信じていた。
だが、アンドロイドはジャネットを裏切った。それからというもの、ジャネットは地獄のような生活を送ってきた。
だからこの少女にも同じ運命を辿って欲しくはない。それがジャネットの本当の気持ちである。しかしニィナは辛い言葉を口にする。
「貴方の方が……人間じゃない」
「っ!?」
「お金を貰ったからってこんな事していいわけじゃないでしょ。なのにどうして貴方はハルを殺せるの? 貴方の方がよほどアンドロイドみたいじゃない。命令されたことを忠実に実行するアンドロイドに!」
バチッ!
ジャネットがニィナの頰を叩いた。
「アンドロイドと人間は根本的に違う! 両者の境目を混同してしまったら、その先にあるのは不幸だけ! 人と似た機械に身を寄せ続けた人間は魂のあり方さえもアンドロイドに吸い取られてしまうの!」
「私は違う!」
「……そう」
ジャネットは苦悶の表情を浮かべるハルの額に銃口を押し付けると、そのまま引き金を引いた。
一発の銃声とともに、ハルというアンドロイドの部品が飛び散る。
「いやあああああああ!」
ニィナが額に穴の空いたハルを力強く抱きしめながら叫び声を上げる。
「いや! いやぁ! ハル! ハル!!」
「……」
アレットは黙って泣き叫ぶニィナを眺めるしかできなかった。ジャネットが今までと同じようにアンドロイドを破壊しただけなのに、どうして気持ちが晴れないのか、アレット自身もよくわかっていない。
ジャネットは腕輪を操作するとフラヴィへ連絡を取った。
「フラヴィ。仕事は終わった。これからニィナを連れて事務所へ行く」
「了解した。依頼人には私から連絡して事務所へ来てもらうようにする。そこでニィナを引き渡す」
「うん、わかった」
「……大丈夫か?」
ジャネットの声が低い事に気づいたのだろう。フラヴィが心配して声をかけるがジャネットは粛々と答える。
「大丈夫」
「そうか。二人とも、くれぐれもニィナを傷つけるなよ」
そう言い残すとフラヴィは通信を切った。
アレットがジャネットの前へ進み出る。
「ニィナはアタシが連行する。お前は少し休め」
「気を使ってくれてありがとう。でも大丈夫だよ。慣れてる」
「そうか」
アレットが未だ泣き喚いているニィナの腕を掴むと強引に引っ張り始める。最初は抵抗していたニィナもアレットの腕力に叶わないと知ると、力なくうなだれて足を進め始めた。
ジャネットとのすれ違いざま、ニィナが恨みのこもった瞳でジャネットを睨みつけるとこう言った。
「人でなし」
「……」
ニィナを含めた三人は事務所への帰路を辿り始めた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「帰ったぜ姉御」
アレットの声が事務室に響く。
「お帰りアレット。それにジャネットも」
「うん」
三人が事務室へ帰ってくると、そこにはすでに依頼人であるネルダの姿があった。彼女はアレットに連れられるニィナの姿を見るとすぐに立ち上がり目の前まで来た。そして一発彼女の頰を叩いた。痛々しい音が事務室の静寂を破りニィナが倒れる。
「この恥知らずが! 自分が何をしたのかわかっているの!?」
「……ハルと一緒に屋敷から逃げました」
「アンドロイドとでしょ! 私の娘ともあろう者が、まさかアンドロイドと駆け落ちをするなんて、信じられない! 貴方には婚約者だっているのに!」
「あんな奴! 私は結婚する気なんてないわ!」
「いつまで子供でいる気なの! 結婚の話が嫌だからといってアンドロイドに安寧を求めるなど間違ってるのよ! 奴らは人間に都合の良い道具なのよ! 今後は弁えなさい!」
「……はい、お母様」
決して認めたくない。ニィナの表情はそう言っているが、口から出た言葉は胸の内とは異なっていた。
「ノーム! 帰るわよ」
「はい奥様」
力なく倒れていたニィナは自力で立ち上がると、事務室を出ようとするネルダの後に続く。再びジャネットと視線が交錯するが、今度は何も言わずにすれ違うだけだった。
「貴方達は忌々しいアンドロイドをしっかりと破壊し、娘を連れ戻してくれた。残りの報酬金は明日、必ず振り込むわ」
「はい。ありがとうございます」
最後に契約金の話を交わして、ネルダ一行はフラヴィ・アンドロイド相談事務所から出て行った。後のことはニィナの問題であり、ジャネット達にとっては関係のないことである。
しかし──
「あーあ。なんか今回の依頼はスッキリしねぇな」
アレットが背伸びをしながら思っていたことを口にした。
「今回のように、依頼人が直接ウチを訪れるパターンは珍しいからな」
「ほんとだぜ。アタシらはアンドロイドを破壊するだけでいいのによ。なんて言うか、ちょっと罪悪感とか感じちまったぜ」
事務所が静まり返る。今回の依頼は今まで行ってきた仕事と大差ないはずだが、やはり依頼人が直接関わってくると一気に生々しさが増えてしまう。
そしてジャネットの目の前にミレイユがやってくる。
「ジャネットさん。先程の光景を見て、まだハルさんを破壊してよかったと思っていますか?」
「……」
「ニィナさんは泣いていました。あの涙は愛着の湧いた道具を失った涙ではなく、大切な人を亡くした涙だと私は思います。アンドロイドは道具だと貴方は何度も口にしますが、ニィナさんの涙を見ても同じことが言えるんですか?」
「言える。アンドロイドは道具だよ。ニィナにとっては辛い経験になっただろうけど、これで良かったとも思ってる。彼女は人間を愛さなければ、幸せになれないんだから」
「アンドロイドを愛して幸せになれない。そんな道理はないはずです」
「でもこれが現実。私達がハルを壊さなかったら、きっと警備隊がハルとニィナを探し出してた。その結末はさっきの光景と大差ないでしょう」
「……私にはまだわからないです」
ミレイユは背を向けると事務室の階段を登って部屋へ行ってしまった。
彼女の背中を見送っていたアレットがジャネットに声をかける。
「なあジャネット。お前にとってはミレイユもアンドロイドなんだよな?」
「うん。アレットは違うの?」
「アタシは……わかんねぇ。でも今回のせいでアンドロイドに同情しちまうかもな。人間の勝手で作り出されたあげく、今度は人間の手で壊されてるんだから」
それだけジャネットに伝えるとアレットも部屋へと戻って行った。
「ジャネット。お前ももう休め。ゆっくり寝て今日のことは忘れろ」
「うん」
やりきれないような感情を抱えつつ、ジャネットも部屋へと戻って行った。色々なことがあって頭が混乱している時は、十分な睡眠を取ることがなによりも大切だ。実際に彼女が安眠を取れるかは別だが。
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