第2話 幼なじみとの日常。
彼女は、俗に言うJKだった。
来月に誕生日を迎える彼女は、自分の歩む道についてそろそろ考えなければならなかった。
今日も1人、教室で。
机の上には、嫌になるほど真っ白な紙と、1本のペン。
「……分からない」
ぽつんと1つ。
大体、自分の生きる道なんてこれっぽっちも考えた事はない。
どうせ自分の人生だ。
自分のやりたいようにやればいいのだ。
「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました……」
ふと、呟いてみた。
自国の昔話みたいに、登場人物も結末も、何もかも決まっていたらいいのに……そうしたら、考えなくてすむ……。
「……何してんの?」
「…………」
「……なんなの?その死んだ魚のような目は」
机の前に座り込んだ彼は、怪訝そうに彼女を見た。
人形のように長い睫毛とぱっちりとした目で見つめる彼とは反対に、なんだか冴えない彼女だ。
「…帰らないの?」
そう言われ、ふと外の方に目をやる。
日は落ちかけており、窓ガラスがキラキラと橙色に輝いていた。
「…帰る」
「じゃあ一緒に……」
言い終わる前に、彼女は勢いよく立ち上がった。
そのせいか、椅子がガタンと音をたてて倒れた。
彼が驚いている事には気にも留めずに、足早に教室を後にすると、慌てた様子で彼が後をついてきた。
「なんでいつも逃げるのさ。ひどーい」
「逃げてないし。勝手についてきたそっちが悪いんでしょ?」
「俺はただ、
……うざい。
庵は、彼が嫌いだった。
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彼、
腐れ縁というのはこの事で、鬱陶しい程お互い近くで育ってきた。
栗毛色の髪にすらっとした手足。
その容姿からか、唯月は小さい頃からもてはやされ、人気者であった。
そんな唯月がどうして自分と一緒にいるのか、庵はいつも疑問だった。
「庵さ……」
「何?」
「俺、いっつも思うんだけど、1人で寂しくないの?」
「別に」
庵は見栄を張っているのではなく、本当に寂しくなかった。
一人でいるのは、誰かといるよりもずっと楽だ。
自分だけの世界に閉じこもって、やりたい事にだけ没頭出来る。
まあ、今は閉じこもることが出来ないのは言うまでもないが。
家に帰ったら、さっきの続きでも……
「庵?」
「っ!なにっ?」
「なんか思いついた?」
「いや、そうでもない。……て、何の話?」
「いい小説のネタでも思いついたのかなあって思っただけ。庵、考え込むといつもそんな顔するもん」
「…何で知ってるの?」
Joker のいずらぐ @zatuondou
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