招かれる

 吸血鬼は窓のすぐ外にいて、中を覗いている。しかし、彼が決して家の中に入れないことを少女は知っていた。


「絵本か何かで読んだことがあるわ。あなたたち吸血鬼は、招かれない限り、人間の家に入ることができないのでしょう?」


 吸血鬼は忌々しげに舌打ちした。


「……知っていたか」


「ええ。絶対にあなたを家に招いたりするものですか! ……ああ、でもいずれにしても心細いわ」


 少女は不安げに洩らした。


「今日ね。パパもママも出かけてて……。家にわたし……ひとりしかいないの……」





 吸血鬼はあっさり家に入れた。

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