少年は妹の悲鳴を聞いて蔵へ駆けつけた。すると蔵の中は荒らされ、異形の化け物によって妹は捕らわれている。


「けけけ……」


「まさか、お前は!」


 それは少年の家に古くから伝わる壺の中へ、百年前に封印されたという妖怪の姿そのものだった。


 見れば封印のお札は壺から剥がれ、床に落ちている。


「なぜだ? なぜお札が! 封印の霊力はまだ衰えていないはずだ!」


「けけけ、教えてやろう! 霊力など問題ではない……。百年の時を経て——」


 妖怪は言った。


「——さすがにお札ののりが持たなかったのさ!」

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