第17話

今回は、辛かった子どもの頃の話。

当時はそんなに辛いなんて思ってなかった。思ってなかったから耐えられた。

耐えられてしまった。

耐えたりなんてしなくてよかったのに。






(性的な内容が含まれています。申し訳ありませんが、ご自身の責任でご覧ください。)







小学校に上がるか上がらないかの頃。

夏。暑かったのだけは覚えてる。

田舎の家で、家族はみんな、一つの蚊帳の中で寝ていた。

暑くて目が覚めたら、父親が私の股間を舐めていた。

何してるんだろうと思った。


その日から、そういうことが何度もあった。

寝入る前でも。手でも、口でも。

中学生になって一人で寝るようになってからも。

家の中の誰かが叱られたり、暴れたりするのとセットだった。

「◯◯ちゃんは、いい子だね。お父さんのこと好き?」

「うん」と言うしかなかった。また機嫌が悪くなるから。

「きもちい?」と聞かれて、「うん」と言うしかなかった。


父親と2人でお風呂に入らなきゃならなかった。

イヤだと言うと決まって怒って暴れだすから。

母親も「入っておいで」と言っていた。

父親の股間が大きくなっているのを見せられた。

「さわってごらん」とさわらされた。


小学校2年生の時。

朝起きてトイレに行ったら、下着に血がついていた。

大泣きして母親に抱きついた。

病院に連れて行かれた。あれこれ検査して、MRTまでとった。

原因不明。3日後検査入院。そう言われた。

でも入院はしなかった。父親が入院を取り消してきた。




大きくなってから知った。あれは性的虐待だったってこと。

血がついていた原因も推測できた。

膜を、破っちゃったんでしょ。だからアンタだけは原因を知ってたんだ。




逃げられたのかもしれない。

助けてって言えば、助けてくれる人がいたのかもしれない。

私は言えなかった。

外で言ってはいけないことだと思っていた。思い込んでいた。

誰もそんなこと言ってなかったから。

私だけが「たったそんなこと」で騒ぎ立てて、我慢できない子だと思われたくなかった。

そんなこと「あたりまえ」だから誰も言わないし、

そんなこと「たいしたことない」から別にみんな平気なんだと思っていた。

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