第8話

小学生の私は、いつも自信のない子だった。


赤ん坊の頃は二重の目がぱっちりしてて可愛いと言われていた。

きっと言われすぎたんだと思う。父が母に「そんな格好させるな」と言うようになったらしい。まだ物心がつく前だ。レースのついたスカートとか、肩の出たデザインのTシャツとか、そこまでいかなくても流行りのキャラクターのトレーナーとか、そういうものは買ってもらった記憶がない。

私の服は、濃い緑とか、グレーとか黒とか紺色とか、たまにちょっと刺繍が入っているものがせいぜい。

小学生の頃から視力が悪くて眼鏡をかけていた。

それも「レンズが広い方がよく見えるから安全」と言う理由で顔の半分くらい大きな、ガッツリ黒縁のもの。「アラレちゃん」とからかわれて悲しかった。


5〜6歳の小さな頃は気にしてなかった友達の目が、

小学生になると気になるようになってくる。

周りの子が着ているかわいい服や、おしゃれな髪飾りや、先生に見つかっちゃうと注意を受けるか受けないかギリギリの筆箱や下敷き、そういうものが羨ましかった。



そんなことは、忘れていたはずなんだけどな。

でも小学生の私に会いに行ったら思い出した。

「そうだ、私羨ましいって思いながら、親に『これ買って』なんて言えなかったな」って。

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