第4話

赤ん坊の私に会ってきた。

もちろん生まれた瞬間の記憶があるわけではない。

それでもできるだけ古い記憶と、わからないところは想像で補って、

会うことができた。


私は木のベビーベッドに寝転んで、あまり動かなかった。

抱き上げると少し笑って、アウアウ言った。

「生まれてきてくれてありがとう。待ってたよ。もうblueちゃんを1人にはしない。一緒にたくさん遊ぼうね」

そう言ってもらえた時は涙が止まらなかった。

手を広げたり握ったり、足をばたつかせたり、blueちゃんもすごく喜んでいた。

たくさん遊んだ。


それでもお別れするときはすごくすごく寂しくて、体が裂ける感じ。

赤ちゃんは泣いた時にお母さんが来てくれるのをたくさんたくさん繰り返して、

「今、お母さんは見えないけど、でもちゃんといる。」ということを学ぶ。

きっとそこで私は躓いたんだろう。


現実の私は、やっぱりお別れシーンが大の苦手で、

転校する友達がいたり、転勤する同僚がいたりすると涙が止まらなくなる。

「この人は別の場所で元気にやっていく。それはお別れだけど、決して今までの時間が無駄になるわけでもないし、その人が私との時間を忘れてしまうわけではない。関係性が薄くなることがあるかもしれないけど、お別れ=関係が切れるわけではない」ということがわからなくなる。

彼氏と別れることになったときはもっとひどい。

「私を捨てていくの?嫌だ、捨てないで!」と叫びたくてたまらない。時には自分から振っているにもかかわらず。


だから赤ん坊の頃の私には、何度か会いに行けるといいなと思っている。

何度も会って、何度もお別れをして、大人の私は離れたところにいるけども気持ちはずっと一緒にいるっていうことを、赤ん坊の私が納得するまで会いに行こう。

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