第3話

「愛着」って、子供が生まれてから初めて作る、親と子の創作物…なんだと思う。

でも私には私が生まれたばかりの頃の記憶は、もちろんない。


だから

しばらく疎遠だった母親に

電話してみた。

努めてなんでもないように。

努めてシリアスな雰囲気にならないように。

かる〜く、かるく。


母親は、あまりいろいろ考えない人なんだなぁと思った。

改めて…ね。

学校で私が問題を抱えてても、ほぼ気づかない人だったもんな。

父がおかしなことを言ってもハイハイと聞いて、

子供が「◯◯をしたい」と言えばハイハイお父さんに聞いてみなーといなし、

子供がついた嘘にも気づいてたんだか気づいてないんだか。

私、あなたの財布からお金抜いてましたよ?

一度じゃない、何度も何度もやりましたよ?気づいてないよね?


今日聞いた衝撃の事実。

「blueちゃんって初めての子供だったからわかんなくてねー、オムツも変えたしミルクの時間じゃないのに泣いてるなぁと思ってベットに置いといたらおばあちゃんが『こんなに泣くのはおかしい』って抱っこしてくれてたんよー」

はぁ…置いといたんですか…

「赤ちゃんは泣くのが仕事っていうもんねー、blueちゃんもよく泣いとったよー」

そりゃアンタ…赤ん坊が泣くのは親を求めてのことでしてね…

「でもしばらくしたらとってもいい子になったんだよー、大人しく座ってたしね」

あぁ…やっぱり。それ、求めるのを諦めたんだよね、たぶん。

抱っこしてくれるばあちゃんって、半年に一度会えばいいぐらいだったよね…


えらい明るく語ってくださいました。

さすが、放射能を何年も放っておける人ですわ。


この小説、結構重くなっちゃうなーと思ってたのに、

母親が登場するだけでこんなにファニーな感じになるのね。それも発見。

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