霊の夢

 古い古い歌謡曲に「夢でもし逢えたら~♪」とありますが、父が現れる霊夢を見ました。

 親しい人が夢に出るだけでは、霊夢ではないと言われそうですが。

 夢の内容は鮮明に覚えています。


 夢の中、両親と待ち合わせをした駐車場へ到着してみると、母がひとりで居るのです。

 私が車の窓を開け、何処に車を停めたのかと母に尋ねると、「お父さん、あっちの方に停めに行ったよ」と奥の駐車場を指差します。

 母を助手席に乗せ移動すると、父の軽トラはあるのですが、父は何処にもいません。

 慌てて携帯に電話をすると、「もしもし?」と父の声。

「父さん何処に居るの?」

 尋ねる私に、返ってきた答えは


「うちに居るよ」


 家から離れた場所に軽トラを停めたまま、一瞬にして帰宅出来るはずがないじゃない……と、内心で反論しながら目を覚ました私。

 その瞬間、ああ、父は私に自己主張しに来たのだと悟りました。


 父を霊園の合葬墓に納骨してきて、3日後の朝に見た夢でした。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る