虫の知らせ
これは私だけではなく、母にもあるらしいのですが。親しい身内が亡くなることを、予見することがあります。いわゆる虫の知らせというものです。
私が高校3年生の時に、母方の叔父が亡くなりました。母の兄弟で一番下の叔父は、叔父というより少し歳が離れた兄のような存在でした。
当時、叔父は早期の白血病が見つかり、入院していました。当人は至って元気で明るく、治療入院も短期間で済むという話でした。
けれど叔父は亡くなります。
叔父が亡くなる一週間ほど前から、数羽のカラスが我が家の屋根や目の前の電柱で、やたらと鳴くようになったのを覚えています。しかもカラスと目が合うのです。
私を見下ろして煩く鳴き騒ぐ数羽のカラスに、さすがに嫌な気分になっていました。ところが一週間目辺りの朝、カラスが姿を消したのです。
通学の為に朝自宅近くのバス停に立った私は、それまで毎日騒ぎ立てていたカラスの姿が一羽も見えないことに、逆に嫌な予感がしました。
誰か、死ぬかな。
何の気もなくふと、そんなことを考えたのは何故だったのか。
その日の夕方、叔父は息を引き取りました。入院はしていても元気で、死ぬような前触れは全く無かった叔父の急死。あのカラスは、叔父の死を知らせていたのでしょうか。
虫の知らせ、だったのでしょうか。
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